Track 1

オープニング~相談? いいわよ、先生に何でも話して?

/SE:ドアノック音 /SE:ドア開閉音 【深雪】 「あら、いらっしゃい。……って、また君? 今日はどうしたの? ……具合が悪いから、少し休ませて欲しい? ふふ、いいわよ」 【深雪】 「どうする? 椅子に座る? それともベッドで横になる? 今は誰もいないから、ゆっくり休めるわよ? ……ベッドね、ふふ、いいわよ、こっち来なさい」 /SE:カーテンを開ける音 【深雪】 「……はい、どうぞ。保健室に行くこと、先生には伝えてる? ……まだ? そう。いいわ、じゃあ後で私から伝えておくわ」 【深雪】 「えーっと、担任は砂山先生でいいのよね。了解。じゃあ後は、気分がスッキリするまで、そのまま休んでていいからね」 【深雪】 「……いいわよ、謝らなくても。君の身体が弱い事、重々承知済みだから。ふふ、ある意味ここのベッドは、君の特等席みたいなところもあるからね、先生覚えちゃった」 【深雪】 「ふふ、だってほぼ毎日のように保健室に来るじゃない、君。覚えない方が無理っていうものよ。ほら、早く横になって楽になりなさい」 /SE:ベッドがきしむ音 【深雪】 「気分がよくなったら教えてね? 先生はそっちで仕事してるから。……ええ、おやすみなさい」 【深雪】 「…………。……ねぇ、先生の勘違いだったら悪いんだけど、1つ聞いてもいい? ……具合悪いっていうの、嘘なんじゃないの?」 【深雪】 「あ、顔に出た。ふふっ、可愛い性格してるのね、君って。……どうして分かったかって? ふふ、気になる?」 【深雪】 「今まで君みたいな生徒を何百人と見てきたからね、なんとなく分かるのよ、そういうの」 【深雪】 「授業が分からない、勉強についていけない、クラスメイトからいじめられている、学校にいる時間がつまらない……」 【深雪】 「理由は様々だけど、そういう子たちがゆっくり息をつけるのが、保健室だからね。どうしても分かっちゃうのよ」 【深雪】 「君もそうなんでしょ? 今までのも仮病だったりするんじゃないの? ……やっぱり。ふふ、今までの何百人の中でも、君ってとっても分かりやすいタイプね」 【深雪】 「……もう、謝らなくていいのよ。別に悪いことじゃないし、保健室はそういう子のためにある部屋だから」 【深雪】 「勿論、サボってばっかりはいけないし、本当に具合が悪い子、怪我をした子が来たら、そっちを優先しなきゃいけない。でも……」 【深雪】 「少し疲れた、やる気が出ない、とにかく休みたい……そういった理由で来ても、私は蔑ろにしたりしないわ。ふふっ、だから謝らなくていいの、分かった?」 【深雪】 「……それで、君はどうしたの? よかったら聞かせてくれない? もしかしたら、力になれるかもしれないわよ?」 【深雪】 「……うんうん……うん、なるほどね。勉強がつまらない、する意味が分からないと。それで? ……うん、うん……」 【深雪】 「学校にいてもつまらない、早く家に帰りたい……か。なるほどね。だからここに来て、時間を潰していると、そういうことでいいのね?」 【深雪】 「……あ、また謝ってる。だからいいのよ。少なくとも、保健室で休んでいる時くらい、私に甘えるくらいのつもりでいたら? 私、そういうの許しちゃうタイプだし、ふふっ」 【深雪】 「あ、それとも、甘えることって、恥ずかしいだって考えてたりする? それ大間違いよ? 甘えるっていうのは、心に平穏を求めている証拠だから」 【深雪】 「だから、全然悪いことじゃないの。大人だって、誰かに甘えたい時があるのよ? そーれーに……ねぇ、君ってもしかして、マザコンだったりしない?」 【深雪】 「……ふふっ、本当に分かりやすいのね、君って。どうして分かったか気になる? まずは、家に帰りたがるところ。学校にはない安心があるから、そういう欲求があるのね」 【深雪】 「2つ目は、自立したがっているところ。甘えるのはいけないこと、と考えているということは、甘えたがりな自覚があるということでもある」 【深雪】 「他にも、逃げ場所があると、そこに依存してしまう。こっちがいいと言っているのに、何度も謝ってしまう……」 【深雪】 「まぁ、あくまで統計から導いただけなんだけど、その様子だと当たっていたみたいね、ふふっ」 【深雪】 「別に悪い事じゃないのよ、マザコンって。むしろ君くらいの年齢なら普通な方じゃないかしら。だってほら、まだ学生じゃない」 【深雪】 「君がどう思っているのかは分からないけど、まだまだ大人に甘えても許される年齢よ? 恥ずかしがらなくてもいいわ」 【深雪】 「……でも、そっか。マザコンの自覚があるから頑張らなきゃいけない、でも学校にいるとつまらない、と……。その2つの気持ちに板挟みになっているのね……」 【深雪】 「そうなると、どこかで吹っ切れさせないと、解決しないかもしれないわね、君の心って。……ふむ……」 【深雪】 「……そうだ。先生が、魔法の言葉、かけてあげよっか? 一発でモヤモヤした悩みが全部スッキリする、不思議の言葉、ふふっ」 【深雪】 「君の悩みが全部解決するわけじゃないと思うけど、少しはマシになると思うわ。それじゃあ、ちょっと失礼するわね、よっ……」 /SE:布団にもぐる音