1
■いもうと28『兄王子を旅立たせたくない美姫のいもうと』
■01
むぅ~……お兄様ぁ、どうしても考え直してはいただけないのですか?
我が国のこととは言え、辺境に巣くう魔物の討伐など兵士たちに任せておけばいいではありませんか。
何も王太子であるお兄様自ら旅に出ることはないと思うのですが……。
お、お父様とて、お兄様のあまりの熱意に折れただけで、決してこころよくなど思っていませんよっ。
ましてや、お母様のあの悲しそうなお顔……勿論、私も悲しいし、寂しいです。
もし、お兄様に何かあったりしたら、私はどうすれば。
お帰りになる日まで、毎晩涙を流せと仰るのですか?
お兄様の力量は存じておりますが、得体の知れぬ魔物ども相手……心配するなと言う方が無理な話です。
はい。
お兄様のお気持ちは、十分に伝わっていますとも……うぅう。
でしたら、せめてご出立までの間くらい、こうして一緒にいることを許して下さいっ。
そもそも、私はまだ、お兄様と一緒のベッドで眠りたいのに、すげなく追い出して……。
んもうっ。
年頃であるとか、女性らしさとか、どうでもいいことです。
私にとって重要なのは、こうしてお兄様と一緒にいることなのですから。
……こうして、んん、一緒に。
寄り添って、んん、温もりを感じながら眠ることこそ、私にとって最も安らげる夜なのですから……。
ただでさえベッドを追い出されたばかりなのに、旅に出てしまうだなんて。
お兄様の意地悪……私に、寂しい思いばかりさせて……。
お兄様は、王太子である前に私の愛するたった一人の男性なのですから。
将来は、王妃にして下さって約束だって……。
いいえっ。
私は他国に嫁いだりしません。
ずっとずっとお兄様とこうして、一緒に……お兄様だけが、私の王……私の愛する英雄なのです。
英雄、だからこそ……?
むぅ~。
でしたら、英雄になどならなくても構いません。
私のためだけの愛する人でいて下さい……うぅ。
はい、お休みなさい……。
今夜は離しませんからね?
ずっと、このまま……。
ん、んん……あぁもう、せっかく久しぶりにお兄様と一緒に眠れるのに、どうしてこう目が冴えてしまうのでしょう。
それなのに、お兄様はスヤスヤとお休み中……んもう~っ。
まぁでも、眠っているお兄様を眺めるというのも悪くないかも?
一緒に寝ていた頃は寝心地が良くて、私だけ起きていることはほとんどありませんでしたものね……ふふふ♪
私のことを子供扱いしますけど、こうして見れば、お兄様だってまだまだ幼げな雰囲気を残していますよね……。
勿論、それ以上に凜々しさや男らしさの方が勝るのですけど。
う~ん。
どうしたら、魔物討伐の旅を思い止まらせられるのでしょうか……。
お兄様の意思が堅いことは重々承知していますが、何とか。
こんな時、物語の中だと……んん~?
やはり、恋人や夫婦の熱い思い、とか?
旅立つ前に、私とお兄様の結婚をお父様たちに認めていただくしかないでしょうか。
……んふふっ。
そうですよね、それがいいですっ。
熱い愛情を引き離すことなど、王であろうと、例え神であろうとも不可能です♪
んふ、ふふふ……ですよね~、お兄様~。
ん~っちゅ、ちゅっちゅ、んん、ちゅむ。
あぁ、寝ている隙なら口付けも……あぁん、はしたない♪
ですけど~、んん、んちゅ、んぅん、うっちゅ、ちゅぷ。
あっふ、ふぅ、ふぅふぅ、んん、ちゅむ、ちゅぷぷ。
ふはぁ、はぁ、はぁはぁ、あぁお兄様ぁ、あふん、んっちゅ。
ちゅぷちゅぷ、んっちゅ、ちゅむむ……うちゅ、んぅん。
ぺろっ、ぺろぺろ、うっちゅ、ちゅぷぷ、ん~っちゅるる。
んぁあ、はぁはぁ、あふぅ~……あぁ、結婚だけでは足りないかもしれませんね。
はぁはぁ、赤ちゃんがいれば……お世継ぎを孕めば、危うい真似などできなくなるのでは?
ふふふ、我ながらなかなかの良案です。
後は、子の授かり方ですが……う~ん。
お母様に聞くしか?
あぁでも、お母様はお兄様と私の結婚に反対でしたっけ。
それでは……。
んん?
あら。
起こしてしまいましたか?
ですけど、ちょうど良かったです。
んふふ……ん~っちゅ♪
ちゅっちゅっ、んん、んっちゅ、ちゅむむ……んっはぁ、お兄様ぁ。
私、お兄様との赤子が欲しいです。
今すぐ、孕ませて下さいませ♪
……何を驚くことがありますか。
幼い頃より、結婚の約束はしている筈です。
兄妹だから、何ですか?
ふふ、またそのようなお戯れを。
兄妹だから結婚できないなんて、そのようなことはありません。
むしろ、こうして一緒にいるのですから結婚するのが当たり前……いいえ?
すでに結婚していると言ってもいいくらい。
ですから、お世継ぎを授かるのも当然のこと……。
さぁお兄様。
孕ませて下さい♪
お兄様の熱い愛で、赤子をお授け下さいませ。
そ、それは……赤子がいれば、旅も思い止まっていただけるでしょうし。
あぁそれに、もしもの時のためです。
もし、お兄様に何かあったとしても、お世継ぎがいれば……。
も、勿論、お兄様が無事でなくてはなりませんが……とにかくっ、孕ませて下さいませ。
私ももう、孕める体になっていますので……
いいえ、無理などとは言わせませんよ?
私が孕める体なのですから、お兄様はとうに孕ませられる男になっているのでしょう?
でしたら、私がお兄様の子を宿すのは当然のこと。
あぁ、もっと早くこのことに気が付けば良かった。
ふふ、んふふ……ねぇ、お兄様?
私たちの子なら、三国一愛らしく、大陸一聡明で、龍よりも雄々しく、神のような賢王になるに違いありません♪
そうに決まっています。
ですから……さぁ。
孕ませて下さい。
お兄様の熱い愛で、私の腹を満たして下さいませ。
お兄様はもう、赤子の授け方をご存じなのですよね?
私を孕ませられますよねぇ?
お兄様、愛しています……。
お兄様の男の精を、どうぞ私にお授け下さい。
私こそが、お兄様の子を宿すに相応しい、この世でただ一人の女なのですから……さぁ、どうぞ♪