Chapter14:Merry christmas to you
Chapter14:Merry christmas to you
[クリスマスイブの夜・自宅にて]
【正面近距離】
メリークリスマス!
うふふ。二人だけのクリスマスパーティーって私、好きよ。
みんなでワイワイっていうのも、勿論楽しいんでしょうけど、
あまり騒がしいのは苦手だし、それに……
あなたと過ごす聖夜は、いつもよりもしっとりと楽しめるような気がするもの。
えへ……愛してるわ、あなた。
ねえ、これ……あなたにプレゼント。
(小さな箱を取り出し、渡す朱音)
開けてみて?
(箱の中には時計が入っていた)
どうかしら、その腕時計。喜んでもらえたかしら?
それの文字盤って、私のバッグに付けてる懐中時計と一緒のデザインなのよ。
ええ、ペアルック。
ものが同じじゃないから分かり難いかもしれないけれど、そんなに見せびらかすものでもないと思うし……
私たちだけでわかっていれば、十分素敵じゃないかしら?
(主「ありがとう」)
えへへ。どうしたしまして。
(主「僕もこれを、君に」)
え?あなたからもプレゼントがあるの?
一体何かしら?
(主人公から渡された箱を開ける朱音)
わぁ。これ、ネックレス?
ハートのチャームがついているのね。かわいい……
あら、これもしかして、あなたの手作り?
(主「よくわかったね」)
ん。なんだかこの婚約指輪と雰囲気が一緒だったから。
えへへ、嬉しいわ。
でも、これと比べると随分と綺麗だわ。
あ、この指輪に文句を言ってるわけじゃないのよ?
ただ、今回のは本当に売り物みたいに綺麗で、びっくりしてしまって……
時々、私に隠れて練習してたの?
うふふ。あなた、アクセサリー職人にでもなるつもり?
(「えっと、これ見て?」と、自分の財布についたアクセサリーを指差す主人公)
え?そのキーホルダーがどうしたの?言われてみれば初めて見る気がするけれど……
あ!もしかして、そのハート型の窪みにこれが嵌る仕組みになっているのね。
もう……あなたも私とペアルックがしたかったんじゃない。うふ。
でも、こんなものを作る技術、あなたどこで手に入れたの?
家にいるときにはこういうこと、していなかったと思うのだけど……
(主「バイトしてる店が、そういうとこだから」)
ああ!なるほど!あなたのバイト先ってアクセサリーのお店だったのね。
どこでバイトしてるのか、聞いてもうまくはぐらかされて教えてくれないから……
私、少し寂しく思っていたのよ?信用されてないのかなって……
ん……でも、こういうことだったのね。
あの日、教室でのプロポーズ。
そのときにくれたこの指輪がきっかけで、ってこと、なのかしら?
私を喜ばせるために……えへへ……
そう言われると……私にはあなたを咎められないわね。
うん。大切にするわ。
この指輪共々、あなたにもらった愛の形を……
あなた……ん……
大好き……愛してる。
(主「喜んでもらえたようで」)
うん……本当に嬉しい……
でもそうなると、私ももう少し気の利いたプレゼントを用意すればよかったわね。
(主「僕は十分嬉しいよ」)
えへ。そう言ってもらえると、私も。
ダブルでペアルックなんて、いよいよって感じもするけれど、
あなたのも、私のも、ぱっと見にはわかりにくから……
これは暗号ね。二人だけにしか伝わらない、愛のパスワード……なんて。
あ、そうだ。そろそろケーキを食べなくちゃ、よね。
せっかく特注で作ってもらったのだし、あまり放っておくと温まってしまうわ。
[しばらく後、ケーキを囲む二人]
えっと、クリスマスケーキのろうそくって吹き消すものだったかしら?
なんだか誕生日と一緒になってしまってる気がするけれど、せっかくつけてもらってるのだし、いいわよね。
うん、じゃあ電気消して?
(電気を消す)
うふふ。あなたの顔がぽやっと見えてて、なんだか面白い。
ね、一緒に吹きましょ?
ん。せーの……
ふー(ろうそくの炎を吹き消す二人)
ん……真っ暗になってしまったわね。
(暗闇を手探りで主人公の顔を探す朱音)
あなた……顔は……あ、ここね。
じっとしててね?
ん……ちゅ、ちゅぷ……ちゅる、ちゅ……
えへへ……暗闇の中でのキス……少しドキドキしてしまうわ……
(電気をつける)
(主「じゃあ、切ろうか」)
あ、ええ。そうね。予行練習……するんだったわよね。
(一緒に包丁を握る二人)
【右側・近距離】
うふふ。小さいから普通の包丁で十分足りるの、なんだか違和感……
じゃあ……
たーんたーたたーん、たーんたーたたーん(結婚式のテーマ(婚礼の合唱)の冒頭)
えへへ。ちょっとだけ雰囲気づくり。
ん……
(ケーキに包丁を入れるふたり)
ふぅ。うまく切れたわ。
(主「包丁を温めておいたからね」)
へぇ……包丁を温めておくと切りやすいのね。だからお湯に浸してたんだ。
おばあちゃんの知恵袋(ぼそっと)……いえ、なんでもないわ。
じゃ、こっちがあなたで、こっちが私。(ケーキを取り分ける朱音)
サンタさん、食べる?
(主「うん、じゃあもらうよ」)
じゃあ私はこのトナカイの方を。えへへ。
(シャンパンを開栓する主人公)
あ、それ、シャンパン?シャンメリーじゃなくて?
(うん。そうだよ)
アルコールは……うぅ。少し怖い、かも……
(主「少しだけなら大丈夫だよ」)
ん……ええ。そうね。
少しだけなら……それに、この幸せをもっと深く味わいたいし……
ん。じゃあ、お願いするわ。
(グラスはないので、コップに注ぐ主人公)
うふ。コップに入れると、あまりジュースと変わらなく見えるわ。
でもこれはお酒、注意して飲まなくちゃ……
(主「気にしすぎだって」)
気にするわよ……だって、またあなたに迷惑を……
ううん。そうね。気にしすぎだわ。
それに、またああなりそうになったら、あなたが私を止めてくれるんでしょう?
だったら……ね。
あなた。
今日という日に……幸せな聖夜に。
乾杯。
(マグカップで乾杯をする二人)