Track 1

Chapter1_甘い匂いに誘われて

---------------------------------------------------------------------- タイトル『ちょこっとヴァンパイアな彼女からの危険な(?)求愛系吸血!』 ---------------------------------------------------------------------- 編集などを加える前の台本データです。実際の内容とは異なる箇所もございます。 ---------------------------------------------------------------------- 本編 ■チャプター1:甘い匂いに誘われて [5月中旬・主人公の教室前の廊下にて@放課後] 【※左後】 ちょっと!そこのあなた! そこのあなたってば! そうそう、あなたよ。あなた。【※前方中距離】 単刀直入に言うわ。あなた、私と付き合いなさい! ……なによ、そんな鳩が豆鉄砲食らったみたいな顏しちゃって。 私の顔、覚えてないのかしら? むむむ……普通女の子にあんなことされておいて、そのこと忘れちゃうかなぁ!? ほら、先週の体育の授業で…… そうそう、その時に転んで怪我をしたあなたを介抱してあげたの、私だったのよ? ね?思い出したでしょ? 「それはわかったから、詳しい理由を話せ」? あ、そうね。じゃあちゃんと順を追って話してあげるわ。 あの時、怪我をしたあなたの膝、ちょっとだけ舐めさせてもらったの。 ……ちょっと、そんな「ドン引きなんだけど」みたいな目で見るのやめてくれない? 話は最後まで聞いて。 えっとね、驚かないで聞いて欲しいんだけど、私……吸血鬼なのよ。 あ、吸血鬼って言っても、その血を継いでるってだけで、別に特別な力があったり人の生き血をすって生きてる~みたいなのじゃなくって。 ……なんていうか、好きなの。 血が。 なによ、黙っちゃって。 驚きすぎて声も出ないって感じ?ふぅん。 でもね、案外あなたが気がついてないだけで、世の中不思議な存在って沢山あるものなのよ。 私はその中でもほんのちっぽけな存在。 それこそご先祖様は、ずっと昔にはずいぶん恐れられていたらしいわ。 でも私は、あなた達とほとんど何も変わらない、普通の女子高生なの。 ま、私の身の上話はここら辺にしといて…… えっと、どこまで話したかしら…… そうだ。 それでね、あの時舐めさせてもらったあなたの血が、とーっても美味しくて……忘れられなくて…… 私たちの一族は今でこそ普通の食生活をするようになっているけれど、やっぱり血液は最高の美味なの。 どんなお菓子よりも、どんなお肉よりも、血液が大好きなんだって遺伝子に刻まれてるの。 (/とろけたような甘い口調) その中でも人間の血は格別で…… 本当に、脳みそとろけちゃいそうなくらいキュンってなってしまうの…… ……今までも、ことあるごとにいろんな人の血を舐めさせてもらったことがあったのだけど…… この前舐めたあなたの血……あれは今まで舐めたどんな血よりも甘くて、美味しくて…… あの味を思い出すだけで、舌とお腹がキュンキュンしちゃうのぉ (とろけたような甘い口調/) ……あー!また引いてる! んもぉ……女の子からの告白なんだから、黙って聞きなさいよぉ…… んで、いつでもこの味を楽しめる方法ってないのかなぁって考えた結果、あなたを手篭めにするのが一番なんじゃないかって思ったわけよ。 あー!ちょっと、逃げないでよ~!? まあ、確かに? めんどくさい奴に捕まったなぁ~って思う気持ちもわかるわ? 私自身、こんな体質嫌だなぁって思うことあるもの。 「そういう理由なら付き合うことはできない」? 「好き同士じゃないと」って…… うう……あなたって思ったより純情なのね…… いいわ、じゃあ言い方を変えましょ。 あなた、私のおやつになりなさい! (主人公、ダッシュで逃げる) って、こらー!逃げるなぁ~! [誰もいない図書室に追い詰められる主人公] はぁ……はぁ……(息切れ気味) やっと追い詰めたわよ…… 「なんで追いつけたんだ」って? ふふふ…… 私、確かに足は遅いけど、あなたの血の匂いを辿ればどこへだって追っていけるの。 だって、あなたの血が好き、だからぁ…… あなたは、私のこと嫌い? あなたも……私のこと気持ち悪いって……思う? ……うん、私、昔からね、こういう話を切り出すたびに引かれて、気持ち悪がられて、のけ者にされて…… ……だから、慣れっこなの。 あなたも、私のこと嫌いなら嫌いって言ってくれていい……のよ? それだったら私、諦めるから。 諦めるのも、慣れてるから…… うぐ……ぐすん…… (頭をなでる主人公) ……ふぇ? 撫でて……くれるの? 私と、付き合ってくれるってこと? 「それはできないけど、まずはお友達から」? えへ、えへへ…… 私のお話を聞いて、そう言ってくれたの、あなたが初めて…… 私って運がいいわ。 たまたま気になった男の子が、こんなに優しい人だなんて。 ……ありがと。 ……じゃあさ、晴れてお友達になってもらったことだし…… あなたの血、舐めさせて? (「それはちょっと」と主人公) いいじゃない、ちょっとだけ、ちょこっとチクってするだけだからぁ~ んもー、いじわる…… 「普通は友達同士で血を舐めあったりしない」? そうだよ?だって私、普通じゃないもの。 それでもいいって言ってくれたのは、あなたなのよ? 責任、とってくれなきゃ嫌だわ。 (覚悟して自分の右手人差し指を差し出す主人公) へ?急に指を差し出しちゃって…… も、もしかして……くれる……の? 大丈夫?噛んじゃうよ?血が出ちゃうよ? ……痛いんだよ? 「お前が望んだからこうしてるんだ」って…… それは……そうだけど…… ……ねぇ、あなた? なんでそんなに優しいの? なんで私のために自分を差し出したりできるの……? 「いらないならいい」? あ!いや、貰います!舐めますってばぁ! はぁ、はぁ……じゃあ、いただきまぁす……【※前方近距離】 はむ…… (/舌で入念に舐めながら喋る) んぷ、れる、れろれろ…… まずはこうやって……んちゅ、んぷ、れりゅ…… ぺろぺろして、血行を良くするんだ……ちゅる…… ふふ、あなたの指……んぷ、くぷ……もうこの下を流れる赤いものの匂いが……んじゅる、れぷ……するわ……んちゅ、ちゅ、んぷ…… はぁ……はぁ……ちゅる、ちゅ、んむ……ぷはぁ…… (舌で入念に舐めながら喋る/) ふふふ……ドキドキ……してきちゃう…… えと、今から軽く噛んじゃうけど……大丈夫かな……? 「そんなこと心配するな」? うう……でも私……こうやって男の人から直接もらうのって初めてで…… 「普段はどうしてるんだ」? 言った通り、私たちはご先祖様とは違って、血がないと生きていけないわけじゃないんだ。 だから日常生活でこうやって誰かの血を舐める、なんてこと、滅多にないの。 友達が怪我した時……くらいかな? 昔はそれで恐れられたこともあったっけ。 あの子の前で怪我すると舐めに来るぞー、って。 自分の?自分の血は……あんまり美味しくないなぁ…… やっぱり、この血を引いていない、遺伝子的に離れた位置にある人の方が美味しく感じるみたい…… ……わかった? うん……それじゃあ、いくね…… ぁくっ(歯を立てる) (/口に指をくわえたまましゃべる) ふぁ……ビクって…… ごめんね?痛かった……よね? はぁ……はぁ……ちゅる…… ドクドクって、出てる……君の血……れりゅ……熱いわ…… ごめんね……ちゅぷ……ごめんね……んぷ…… ちゅぷ、ちゅる……おいしい……ちゅ、んぷ……おいしいよぉ…… はぷ、んちゅ、んる、ちゅぷ、んぷ、ぢゅる…… 「目が座ってる」……? やぁ……見ないでぇ……んぷ…… だってこんなの……はぷ、んっ、ちゅる……あなたの血が美味しくて……んぷ、ぢゅるる……どきどきしちゃって……んく…… ……あ、あなたが悪いんだからね? れる、ちゅる、んぷ……んちゅぷ、ちゅぱ、ぁぷ…… こんなに……ちゅる……おいしいんだもん……んちゅ…… 脳が痺れて……っる、んりゅ、れる……舌が溶けちゃうわ……ぷちゅ、ちゅ、ちゅぷ、ちゅる…… 甘くて……んちゅ……甘くて……ちゅぷ……あまぁい……んっ…… はぷ、ぁむはむ、んぷ、ちゅる、れぷ……ぢゅるる……ごくん…… れる、んちゅ、るろるろ………… (口に指をくわえたまましゃべる/) ぷぇっ……やぁ……逃げないでぇ…… もっと舐めたいよぉ…… 「こっちが限界」……? あ、やっぱり痛かったかなぁ…… ごめんね……血もいっぱい出ちゃったし、辛かったかしら……? え?違うの? 「いろんな意味で」ってどういうこと? ……まあ、私もあんまり無茶は言えないし、今日はこれくらいにしておくわ。 ……ありがと。私のために痛い思いしてくれて…… えへ、えへへへ…… ……ねぇ?最初に言ったこと、じっくりでいいから考えておいてくれない? 確かに、最初は血が目当てだったんだけど…… でも、私を受け入れてくれて、嬉しかった。 私、あなたに恋しちゃったみたい…… 「なんか最初とキャラが違う」? っそ、そんなこと…… …………うん。 さっき言ったみたいな生き方だったから、私、ちょっとだけ歪んじゃってるの。 こっちの方が、もとの私。 でも、あの私だって、ニセモノってわけじゃないんだよ? 多少強気でいる方が、うじうじしてるよりはずっといいもの。 どっちも私なの。間違いなくどちらの私も本物の私。 こんな面倒な私だけど、それでもよければ、考えておいてほしいなって。 【前方中距離】 えと……今日は呼び止めてごめんなさい。 名前……? あ!そうだった! 自己紹介がまだだったわね。 私は「あかね」 朱色の音って書いて「朱音」よ。 (自己紹介をしようとする主人公・割って朱音が話し出す) ふふふ、あなたの名前は知ってるわ。 だって、今日ここに来るまでに徹底的に調べたんだもん。 (「うわ、ストーカー……」と主人公) 酷い!ストーカーじゃないわよぉ! ……ただ、気になって気になってしょうがなかったから、クラスメイトや先生に聞いて回っただけ。(恥ずかしそうに) 嫌われるのは全然慣れてるけど、もやもやしたままなのは嫌だから、ね? でも、あなたが私を拒絶しないでくれて、本当に良かったと思ってるの。 ……慣れっこって言っても、心に傷を負わないわけじゃないんだから。 ……まずは友達から、だったっけ。 うふ、これからよろしくね! あと……気が向いたらまたあなたの血、舐めさせてね?