Chapter2_おいしいキズアト
■チャプター2:おいしいキズアト
[チャプター1から4ヶ月、9月上旬・放課後の教室にて・主人公は、あれから数週間に1度のペースで朱音に血を与えている]
(/口に指をくわえたまま)【前方近距離】
んぷ、ちゅる、ちゅぷ……
あは……あなたの血……ちゅる、ちゅ、ちゅぷ……とっても美味しい……
んちゅ、ちゅる、ちゅっぷ、ちゅむ、んむ、ちゅぷぅ……
ちゅむ、ちゅるる、んぷ、んちゅ……
(口に指をくわえたまま/)
ぷはぁ……はぁ……はぁ……
えへ、ありがと。
なんだかあなたの血の味、とっても興奮するのに、どこか心が落ち着くから好き。
まるで、あなたに抱きしめられてるような心地……
もちろん、あなたの事も好きなんだから。忘れないでよね?
お返事は……まだ先かしら?
いいのよ、じーっくり考えて?
急いては事を仕損じる、って言うものね。
私は、いつまでも待ってるわ。
こうやって時々舐めさせてくれるのは、ある意味の愛情表現って受け取ってるから。
……あ、そうだ。これ、あなたにあげる。
(朱音、カバンからパックジュースを取り出す)
何って、鉄分入りの飲むヨーグルトよ。
あんまりあなたの血をごくごく飲むようなことはしてないけど、それでも意図的に出血させてるんだし、ちょっとは心配しちゃうわ。
……私のために体を壊してもらうの、嫌だし。
(貰ったジュースを左手で持って、ちゅーちゅーと飲む主人公)
美味しい?えへ、良かった。
ねぇ……ちょっと右手を見せてくれる?
……もう噛まないわよ。そのくらいの節度はわきまえてるわ。
ほーら!引っ込めないで出しなさいー!
(半ば強引に右手を取る朱音)
うわ……やっぱり……
よく見たらあなたの指、ボロボロじゃない……
いつも私が満足したら消毒もしないですぐに隠してたから、気づかなかった……
今思えばいっつも違う指だったわよね。それに今日は左手だったし……
ごめんね……私のためにこんなになっちゃって……
本当に、ごめん……
(/指をくわえたまましゃべる)
ちゅぷ、れるれる……んぷ、んぷぷ、ちゅる……
痛くない?ん……れる……
んぷ、んちゅ、ちゅるる、れる、ん、んふぅ……
……噛んでないのに血の味がする……
んちゅ、ちゅぷ、ちゅるる……
こんなになっちゃってるなら早く言ってくれればよかったのに。
「私が喜んで舐めてるのを見るのが好きだった」?
(指をくわえたまましゃべる/)
なななな……~~~っもぅ!
何バカなこと言ってるの!【前方中距離】
そりゃ、私のためにって言うのはとっても嬉しいけれど……
でも!こんな風にしちゃって、傷口が化膿したりしたらどうなると思ってるの?
もう、舐めてあげられなくなっちゃうじゃない……
よーし!私、今日からその指が全部治るまで、血液断ちするわ!
「君はそれで大丈夫なのか」?
私の心配より、あなたはその指を治すことに専念しなさい!
いいわね?ちゃんと治るまで、私も我慢するから……
お願い……
うん、よろしい!
……ごめんね?勝手に舐めさせてもらってるくせに、勝手に拒絶しちゃって……
「心配させたくなかった」?
うん……あなたってそういう人よね……
だから……その……好き、なんだって思うの。
ずるいよ。
あなたは「友達から」って言ってるくせに、私にこんなに優しくするんだもん。
どんどん好きなとこが見つかっちゃって、もっともっと好きになっちゃうのよ?
……切ない。
切ないよぉ……
…………ごめん。一人で興奮しちゃってた。
うん。ゆっくりでいいって言ったの、私だったわね。
ごめんね、急かしたいわけじゃないの。
ただ、私の想いをちょっとだけ知って欲しくて。
ほら、またそうやって頭を撫でる……
これからあなたの味を我慢しなくちゃいけないんだから、そんなに優しくしないで……
……もう。
早く指、治してよね?
じゃないと私、寂しくて干からびちゃうわ。