01_導入
■友人の妹に筆下ろししてもらう ――メロイック
■01_導入
いらっしゃい、お兄さん。
はい、直接会うのはずいぶん久しぶりですよね。お兄さんも、進学してからあまり家に来てなかったですし。
えぇ~、本当ですか? 嬉しいっ、ありがとうございますっ。
ところで、来ていただいて何なんですけど、兄は急用が入ってしまいまして。
今日は戻ってこられないから謝っておいてくれ、と伝言を頼まれました。
ちょうど今頃電車に乗ったと思いますので、そろそろ連絡が来るかと思いますよ。
あら、噂をすれば。
はい~、そうなんですよ~。
隣町に住んでる親戚に呼び出されてしまって、母と一緒に出かけちゃいました。父も仕事帰りに直行するみたいで。
あぁ、私は留守番です。今夜は一人で伸び伸びできますよ~。
いいえ、私も久しぶりにお兄さんに会えて嬉しかったです。どうせなら、もっとお話ししたいくらい。
そうだっ。
お兄さん、どうせ遊ぶ予定だったんですから、これからお時間ありますよね。
ちょっと上がっていきませんか? 兄の代わりに、私がお相手しますから。
遠慮しないで下さいよ。
それとも、私じゃ不満ですか?
ふふっ、ありがとうございます。
それに、ほら。今夜は一人になっちゃうじゃないですか。伸び伸びはできるんですけど、やっぱりちょっと心細いですし、寂しいかな~って。
お兄さんが一緒にいてくれるなら心強いな~って思うんですけど。駄目ですか?
大丈夫ですよ、知らない人じゃあるまいし。
あぁ、もしかして~、んふふっ。
私がお兄さんを襲っちゃう、な~んて思ったりしてますか?
やだなぁ、そんなワケないじゃないですか~。
えぇ? 逆って何ですか? 逆って?
んん~? んふ、んふふっ、大丈夫ですよ。信用してますから、ね。
さぁ、上がって上がって。ちょうどお菓子を開けたところなんです。一緒に食べましょう。
美味しく美味しく、食べて下さいね~?