Track 1

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01 季節外れの帰省

(トラック1)--------------------------------------------------------------------- は~い…どなた? あら、誰かと思えば…あんたか。 もうお正月だっけ? こないだお盆が過ぎたばかりだと思ったけど… 違う、わよねぇ… まぁ、そんな所に突っ立ってないで…ともかく上がんなさいな。 ほら! 顔上げて… はい、お茶。 お母さん達、居ないから たいしたおもてなし出来ないけど… うん、二人で旅行行ってるのよ。しばらく帰って来ない。 戻ってきた娘にはお構いなしで、いつもラブラブ。 やんなっちゃう。ふふふ… でも、丁度いい時に帰ってきたわね、あんた。 私一人じゃ退屈で…話し相手が欲しかった所。 こっちの友達、皆よそに行っちゃって誰も居ないの。 商店街もシャッターだらけ。寂しくなるばかりね… ところで… ねぇ、あんた彼女出来た? そう。まぁ…そんないい人がいたら 思い詰めた顔して帰ってなんか来ないか… 向こうで…何かあったの? 連絡も無しに戻って来て… 暗い顔のあんたがいきなり玄関に立ってるんだもの。 お姉ちゃん、生霊かと思ってびっくりしたわよ。 いったいどうしたの? 言ってごらんなさい。 そんな不幸のズンドコに落ちたみたいな顔して… えっ、どん底? う、うん、それそれ… で、何なの? 何か失敗したとか…誰かに酷い事されたとか? 私に話してみなさいな。相談に乗るから… ん…お姉ちゃんにも言えない事? 悩み事も話せない姉なんだ、私。 ちょっとがっかり… えっ!? あ、あんた…泣いてるの? ちょっと…何があったの? 言いなさい! やっぱり…言えない? そんな大の大人が涙ぽろぽろ流して… ちょっとこっち来なさい。 ここ…お姉ちゃんの膝の上。 泣くんだったらここで泣きなさい。 畳、シミになっちゃうから… ふぅ… やっぱり…こんな大きくなってもあんたは私の弟ね。 いじめられて泣いて帰って来たあの頃と ちっとも変わらない。んふふ… そりゃ、男の人だって泣きたい時あるわよね。 人生、色々あるんだもの… まぁ、あんたがどうしても言いたくないなら、しつこくは聞かない。 でも帰って来た理由が、ただ逃げてごまかすためなら… お姉ちゃん、許さないよ? 家でしばらくゆっくりして、気持ちの整理が出来たら、 またいつもの生活に戻ってやるべき事をやる…それで良いわね? そのための手助けだったら、私いくらでもするから…ね? うん、良し! ふふ、少し笑顔が出てきたわね。 そうそう、顔上げて笑ってなさい。 あんたは笑顔が一番可愛いんだから… それにしても…あんた汗ダクね? 背中シミになってる。 外、暑かった? もう残暑って季節でも無いのに… すんすん…ん~、ちょっと臭うわね。ふふ… 男の人の、匂い…すんすん、すん… そうだ。ねぇ、お風呂入る? ぱっと一風呂浴びてすっきりしちゃいなさいな。 うん、そうしましょ。 今、沸かすから待ってなさいね…

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