01 座れ、豚!
【学園の片隅にある古びた別棟の一室。そこへ連行されてきた男子生徒。待ち受ける副会長】
[ギィ~…バタン!(鉄格子の扉閉まる)]
こっちだ。早くそこへ座れ。
グズグズするなッ! 命令には速やかに従え!
[ピシッ!(ムチ)]
【男子、頬を擦りながらイスに座る】
[ガタッ(イス)]
フゥー…
ここは汚染者隔離棟。
本来は学園の風紀を乱す不良生徒の懲罰棟だったが、
貴様の指導のために特別に改装した。手間をかけさせおって…
今日から貴様は、ここで体の汚れを落とす事に専念して貰う。
その身が浄化されるまでは教室には戻さん。
私か? 私は生徒会で副会長をしているが…
今回、貴様の特別清掃を受け持つ事になった。
ここでは私の命令には絶対服従だからな。勝手な言動は慎め。
さて、今年度より共学となった我が学園だが…
よもや入学して来た男子生徒が貴様一人、とはな。
生徒数の減少に歯止めがかかると期待した学園長も落胆しておられた。
まぁ、それは良い。
一番の問題は…その男子特有の体臭だ!
貴様が入学してからというものの、女生徒からの苦情が絶えない。
臭いが気になって授業に身が入らない、とな。
特にお前と同じクラスの女子からだ。
苦情が来てから貴様のクラスに空気清浄機を設置したが、一日で壊れた。
何だ、フィルターに詰まったあの謎のカスは?
自治体がゴミとして処理をするのを拒否したぞ。
ともかく…
教室に常に澱んだ空気が漂っているのも、
具合が悪くなって保健室に運ばれる生徒が急増したのも、
貴様の隣の席の生徒が不登校になったのも、
すべてはその臭いのせいだ!
何? しっかりとケアはしている?
嘘をつけ! 発酵豚野郎!
[ピシッ!(ムチ)]
自覚が無い様だからハッキリ言わせてもらう。
お前はくさい!
頭がくさい。息がくさい。脇がくさい。股がくさい。足がくさい。
心もくさい。存在そのもの、全てがくさい!
その臭いで何の落ち度も無い他人を害している。身も心も蝕んでいる。
スメルハラスメントどころではない。もはやバイオテロだ!
くさいのは…貴様の体が汚れているからだ。
よって、その臭いの元を徹底的に排除せねばならん。
それが特別清掃係を仰せつかった私の責務だ。
今から貴様の体の隅々を掃除する。
服を脱げ。全部だ!
それはマズい? 学園の中? だからどうした。
この清掃作業をする所を誰かに見られようとも、私は何も恥じ入る事は無いが…
もし貴様が恥じるとすれば、それは神聖なる学び舎に
悪臭を撒き散らしている事に対してだろう。あぁん?
だから、その臭いの元を断たなくては…
これは汚染源の貴様の義務だ。拒否権は無い。
さあ、脱げ! 脱ぐんだ!
[バタバタ…バササッ!(強制脱衣)]
ぐぶッ! げほっ、けほ…むき出しの肌の臭いが直接鼻に…けほっ!
劇物か貴様は!? 危うく気を失いそうだった…はー、はぁ…
フン、これが悪臭製造工場の貴様の体か…実にだらしない。
栄養をムダに摂取した報いだな。
百歩譲って見苦しさだけは目をつぶってやる。
だが、臭いだけは許す訳にはいかん。
生徒の健康にも関わる事だからな。
何? 掃除とはどんな事をするのか、だと?
チッ! 質問の多いヤツだ。
許しも無く勝手に口を効くな、おしゃべり豚野郎!
ぐほッ!? 貴様…息くさっ!
この密室で無遠慮に吐きかけおって…
自分の吐いた息を他人に吸わせている事に対して、罪の意識を持つべきだ。
少しは呼吸を遠慮しろ、生ゴミブレス!
[パァン!(頬にビンタ)]
はー…では、これより特別洗浄を開始する。
まずはその口臭を何とかせんと…
会話するだけで体力を削り取られそうだ。ぐぶ…