オープニング〜お兄さん。わたしの赤ちゃんになってくれませんか?
/SE:町中の音
/以下立ち位置:1 普通に話す距離
【緋奈】
「こ、こんにちはー。あの……お兄さん、でいいんですよね? 待ち合わせ場所もここだし、時間もピッタリだし……」
【緋奈】
「……あ、はい、私です! 掲示板で募集してたの……。ハンドルネームは、ひなちーで……赤ちゃんになりたい人は来てくださいって……」
【緋奈】
「ってことは、やっぱりお兄さんでいいんですよね? あは、初めまして。応募してくれてありがとうございます」
【緋奈】
「私、美国緋奈っていいます。……はい、ひなちーってハンドルネームも、ここからきてます。どんな名前にすればいいのか分からないから、簡単につけちゃいました」
【緋奈】
「でも……ふふっ、本当に来てくれるとは思いませんでした。書き込んでくれた人は、他にもいたんですけど、みんな冗談だって思われたみたいで……」
【緋奈】
「やっぱり、赤ちゃんになりたい人募集中、なんて変だったんですね。私こういう提示版に全然慣れてなくて……やっぱり無理なのかな、ダメなのかなって、半分以上諦めてたんです……。」
【緋奈】
「だから、お兄さんの書き込みは本当に嬉しかったし、今日ここに来てくれて、冗談じゃなくてよかったって、安心しました」
【緋奈】
「……あ、お兄さんもそうだったんですか? ふふっ、似た者同士なんですね、私たち。……応募してくれて、ありがとうございます」
【緋奈】
「それでは早速行きましょうか……はい、なんでしょう? ……あっ、どんなことするのか、まだ話してませんでしたね、ごめんなさい」
【緋奈】
「イタズラだって思われないように、提示版にちょろっと書き込んだんですけど……えっと、私、将来保育園とか、託児所で働きたいって思ってるんです」
【緋奈】
「子供のお世話とか、そういう仕事がしたいなって、ずっと、ずーっと思ってたんです。……勿論、働けるのはまだまだ先のことなんですけど……」
【緋奈】
「でも、子供とか赤ちゃんをあやす練習なら、今からでもできるなって思いついて。そういうことに付き合ってくれる人がいないかなーって、募集してみたんです」
【緋奈】
「それで、えっと……簡単に言っちゃうと、私のおままごとに付き合ってくれないかなって、そういうことになります……」
【緋奈】
「……やっぱり、私変なことお願いしてますよね。ごめんなさい。……あの、もし嫌だったら、今から断っても構いません」
【緋奈】
「私も……無理やり巻き込むのは嫌ですし、優しいお兄さんに迷惑とか掛けたくありませんから。……で、でも、その……ちゃんとお礼はします」
【緋奈】
「お金も……ちょっとだけならありますし、それに、お兄さんがもしして欲しいこととかあったら、私も頑張ってしてあげます……」
【緋奈】
「だから……出来ればでいいんです。……私に付き合って貰えますか? ……え、いいんですか? 本当ですか? えへっ、ふふふっ、ありがとうございます!」
【緋奈】
「お兄さんが優しい人で本当によかったです……。分かりました、じゃあ私も頑張りますから、どうかよろしくお願いしますね」
【緋奈】
「ふふっ、それじゃあ……これからお兄さんの家にお邪魔してもいいですか? 本当は私の家の方がいいんですけど……」
【緋奈】
「今日は家族がいるので……ちょっと無理かなって。……なので、お兄さんのおうちが一番いいかなって……大丈夫ですか?」
【緋奈】
「……そうですか、ふふ、分かりました。それじゃあ案内してください」
/時間経過
/SE:ドアを開ける音
【緋奈】
「失礼しまーす。……わぁ、ふふっ、独り暮らしって感じの部屋なんですね。なんか大人って感じで、凄くいいと思います」
【緋奈】
「あと、意外と……って言ったらお兄さんに失礼ですけど、結構綺麗で、整理整頓もしっかりされてて……とっても過ごしやすそうです」
【緋奈】
「荷物はどこに置けばいいですか? ……あ、ここですね、分かりました。よ……っと、ふぅ……」
/以下立ち位置:3 普通に話す距離
【緋奈】
「……なんか、ちょっとドキドキしますね。実は私、男の人の部屋にお邪魔するの、初めてなんです。親戚の子に、年が近い男の子もいませんし……」
【緋奈】
「あと、通ってるのがエスカレーター制の女子高なので、男子の友達もいないんですよね。だから……ふふっ、少しテンション上がってるんです」
【緋奈】
「……ちなみにですけど、今日は何時ごろまでここに居ていいんですか? ……はい、はい……なるほど、ふふっ、私が満足するまでいいんですね?」
【緋奈】
「それじゃあ……明日の朝まで、1日中お邪魔してもいいですか? お母さんには、友達の家に行ってくると伝えてあるので平気です」
【緋奈】
「家も駅から近いので、すぐに帰れる距離ですから。……ゆっくりと、お兄さんとの時間を楽しませて貰います」
【緋奈】
「それで……あの、もう1つ聞きたいことがあるんですけど、いいですか? お兄さんは……どうして私の募集に参加してくれたんですか?」
【緋奈】
「……あ、いえいえ、迷惑だなんて全然そんなこと思いません。ただ……他の人は、みんなイタズラだって思ってた書き方をしていたのに……」
【緋奈】
「お兄さんだけ……理由も聞かず、行きたいって返信してくれたので……。それに、おままごとみたいなことをするだけって言ったのに……」
【緋奈】
「それでもいいって答えてくれて……。もし理由とかあれば、教えてくれると嬉しいなって思って……」
【緋奈】
「……はい……はい……うんうん、……あぁ、なるほど……。お仕事が大変で、毎日苦しくて……それで誰かに甘えたいって、そういう気分だと……」
【緋奈】
「なるほど……お兄さんも一人暮らしで、それに働いているから……。大変なんですね、大人って……」
【緋奈】
「その気持ち、すっごく分かります。私も辛いことがあったら、家に帰ってすぐお母さんに甘えちゃいますし……」
【緋奈】
「お兄さんも……そういう気分になってるんですね。だから私の書き込みに反応してくれた、と……」
【緋奈】
「……ふふっ、お仕事、本当にお疲れ様です。そんなに疲れているんですね。……身体も心も、ヘトヘトになっちゃってるんですね……」
【緋奈】
「分かりました、それなら……今日は私が、お兄さんのお母さんになります。お母さんになって……いっぱいいっぱい、甘やかしてあげますっ」
【緋奈】
「保母さんとかも、きっとこんな感じの仕事と同じです。色々と教えたりするのと一緒に、子供たちの気持ちを癒してあげて……」
【緋奈】
「そして、時にはお母さんの代わりとなって、子供を甘やかしてあげる……。うん、絶対そうです、間違いないです」
【緋奈】
「ですからお兄さん……今日だけは、大人をやめてください。私の前だけでは、我慢とか、かっこつけたりとかするの禁止です」
【緋奈】
「赤ちゃんに戻って、私にバブバブしてください! ワガママ言ったり、私を困らせたり、して欲しいことたくさんお願いしたり……私、そういうの全部受け止めますから、ふふっ。」
【緋奈】
「あっ……でも、具体的にどういうことすればいいんでしょうか……。赤ちゃんらしいこと……お母さんらしいこと……えーっと……うーんっと……」
【緋奈】
「あの……ちなみにですけど、こんなことをされたいとかっていうお願いとかありますか? こう……お母さんにお世話されたい、お願いしたい感じのこと……」
【緋奈】
「例えば、ご飯をふーふーして、あーんするとか……あ、もう食べたんですね……。じゃ、じゃあ……隣でよしよしされながら寝たりとか……は、まだ早いですもんね……」
【緋奈】
「うーん……他には、えーっと……お部屋の中に、何か使えそうなのは……あ、これ、これですお兄さん! 耳かきです!」
【緋奈】
「お母さんが小さい子供にしてあげること……耳かきもその1つだと思うんです。だから……ふふっ、私からお兄さんに……耳かき、してみてもいいですか?」
【緋奈】
「人に耳掃除してもらう時って、自分でするより、何十倍も気持ちいいですよね。ですからお兄さんも、きっと気に入ってくれるはずです」
【緋奈】
「だから……こっち来てください。今から大人をやめて、赤ちゃんに戻ってください。ふふっ、遠慮しなくていいんですよ?」
【緋奈】
「だってお兄さんは、もう赤ちゃんなんですから……ふふっ。ほら、私の膝の上に、頭を乗せてください……?」