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1.君の体は私の操り人形 1

Track1 (眠っていたヒーローが目を覚ましたのを見て) あら、ようやく目が覚めたみたいね。一向に起きる気配が無かったから、実験が失敗して廃人にしちゃったんじゃないかと思ったわ。 おはようヒーロー君。目覚めたばかりでまだ状況が掴めないでしょうけど、 どこか苦しかったり、痛かったりするかしら? あぁ、悪いけど君が着てたものは全部預からせて貰ったわ、色々と、邪魔だったからね。 だから裸なのは別に気にしなくて良いわ。それ以外に変なところとか、違和感とかはない? まぁ、君の様子を見る限り、特に問題は無いみたいね。 ここはね、私たちの組織の本拠地よ。 覚えてる?君は私の組織の戦闘員たちと戦って、やられちゃったのよ。 そうして気を失ったところをここまで運ばれてきたの。 ふふふ。今まで散々手こずってきたヒーロー君が、ちょっと人質を取ったぐらいで簡単に無力化できちゃうなんてねえ。 こんなことならもっと早く試せば良かったわ。今まで真面目に相手をしてたのが馬鹿みたい。 全く。君さえいなければ、今頃とっくに我が組織による世界征服が達成されてたでしょうに。毎度毎度邪魔しにきてくれちゃって、本当、忌々しくて憎々しいわよねえ。百回殺したって殺し足りない、私にとっての最大の敵。 でも、そんな君も今や囚われの身。もう私の邪魔をする者は誰もいないわ。 ふふ。見てなさい。君を失った世界なんて、あっという間に征服してやるから。 (拘束具から逃れようとするガチャガチャ音) へぇ、目覚めたばかりなのに随分元気なのねえ。 でも、無駄な足掻きよ。見苦しいから止めなさい。 それに、万が一その拘束を解けたところで、君はもう手遅れなのよ。 ふふふ、もしかして、君が眠っている間、この私がただ目覚めを待っていただけだと思ってたの? 我が組織最大の敵である君が無防備に気を失っている姿を何もせずに眺めていただけだと? 本気でそう思ってるなら、君の頭の中には綺麗なお花畑が広がってるんでしょうねえ。まあ、さっき見たときはそんなの無かったけどね。 ふふ、君の体を自由にいじり回せる機会をみすみす見逃すわけないでしょう。 君に施した処置はもう全て完了しているわ。君に抗う術は、もう何も無いのよ。 まぁ、そう言われてもピンと来ないだろうし、今からそれを心ゆくまでわからせてあげる。 まずはその拘束具、お望み通り全て外してあげるわ。 (スイッチSE) (拘束具の外れるガチャガチャ音) ほら、これで君は自由よ。さぁ、目の前には敵である私がいるわ。 今なら倒せるかも知れないわよ。戦闘力だけなら、君は私よりもずっと強いんだしね。 どうかしら、君が戦い続けてきた強大な組織の、そのトップに立つ人間を倒せる大チャンスよ? あぁ、でも、そんなおちんちん丸出しの状態じゃ動きにくいかしら? ふふ、気にすること無いわよ。君の意識が無い間もずっと見られてたんだし、今更隠したって遅いわよ。 それにね。言ったでしょう?君に抗う術は無いと。 ま、そう言われただけじゃわからないわよね。 それじゃあ端的に言ってあげるけど、私が持ってる端末のこのボタン。 これを押すと君は動けなくなるの。足先一つ、ピクリとも、全くね。 だから、もし私を襲おうと思って飛び上がったとしても、もう無駄なの。 君の手が私に届くまで、私はこのスイッチを押せばいいだけなんだから。 こうやってね。 (スイッチSE) はい、これでめでたく君はただの人形。何も出来ないただの肉の塊になったはずよ。 さぁどう?動けるかしら?起き上がって、私に襲いかかってこれる? …ふふふ、無理みたいねえ。必死な顔してるけど、身体はピクリとも動いてないわよ? ねえ、ほら、君の倒すべき敵、世界の征服を目論む悪の組織の、そのトップである私が目の前にいるのよ。なのに何も出来ずにいるってどんな気分かしら? でも、もうどうにもならないもの。もうその体は、君のものじゃないのよ。 ふふふ。そんなに睨んだって無駄よ。これは外科的な処置。君の意思の力でどうにかなるものじゃないんだから。 でもまぁ、何が何だかわからないまま動けないっていうのも気持ち悪いでしょうし、君に何をしたのか、教えてあげるわ。 今君の頭の中にはね、ある装置を埋め込まれているの。 組織で研究中の人体操作チップ。その試作品よ。 ふふふ。大丈夫よ。埋め込み手術自体はちゃんと成功したから。 まぁ、中々君が目を覚まさなかったから少しヒヤッとしたのは事実だけどね、 そのチップは、君の脳内から肉体へ意識的に発せられる電気信号を完全に止めてしまうの。 だから君はいくら強い意志で体を動かそうと思っても、その信号は全部シャットアウトされちゃってるから、今みたいに身じろぎ一つできなくなってしまうわけ。 でも、脳から肉体への信号は止まってるけど、その逆、肉体から脳への信号は止まってないからぁ、動けない君を好きなだけ痛めつけて、今まで散々邪魔されてきた鬱憤を晴らすこともできるってことなんだけど…。 ふふ、貴重なヒーロー君の実験隊だもの。まだそんな勿体ないことはしないであげる。 さて、これで無事に君を無力な人形にすることに成功したわけだけど、勿論、これで終わりじゃ無いわよ。 君の横にあるこのモニターなんだけど、人体図が映っているのが見えるかしら?この人体図はね、君の体中に張り巡らされた神経と、筋肉、関節、その他諸々の再現データなの。 一切の妥協なく、末端神経の一本、筋繊維の一筋に至るまでに完全に再現しているわ。 で、この人体図は私の持ってる端末で自由に動かす事ができるんだけど、 その動作データは電気信号として君の体に流れるようになってるの。 そうすると、どうなるかわかるかしら? 君の体は、それを脳からの電気信号と判断して、動作デ ータと同じように体を動かしてしまうのよ。 ふふふ、わかる? つまり、今君の体は、君の脳からではなく、この人体図の動作データからの信号を受信して動く操り人形になってるってこと。 ふふ、驚いちゃったかしら?まあ無理も無いわ。自分の体が他の人間の好きなように動かされるなんて、考えたことも無いんじゃない? 人体図を動かすことで、再現した神経配列や筋肉が連動して反応するようプログラムされてて、その反応信号が君の体へ…って、難しい話をするより実際にやってみた方が早いわね。上手い具合に機能してるかどうか、確認も兼ねてやってみましょうか。 えーと、私の端末で、こうしてデータ上の君の右肘を曲げるように動かせば、 お、おぉおぉ、動いた動いた。 凄いわぁ、データ上の動き方と寸分違わず君の右肘が曲がってるわよ。 んぅー、苦労して作った甲斐があるわねえ。実際に動いてるところを見ると感動しちゃうわ。 ねぇ、どんな気分?自分の体が、全く意図せずに勝手に動くっていうのは。それもただ勝手に動くだけじゃ無くて、他人のいいように操られてるのよ。 あは、良い顔するじゃない、自分がどういう状況か、ようやく理解できたみたいね。 そうよ、今の君はリモコン一つで動くラジコンロボットみたいな存在なの。 君が何をするのか、何ができないのか、今や私の操作一つに全てがかかってるってわけ。 わかったかしら。これが今研究している人体操作チップよ。 今はこうして大がかりな設備が必要だし、動作も少しぎこちないけど、ゆくゆくは、設備を小型簡易化して、リモコンも単純なボタンやレバー入力で対象の人間を自在に動かせるよう工夫していくつもりなの。 本当は人体実験はまだまだ先だと思っていたんだけど、都合良く仇敵である君が転がり込んできてくれたものだから、またとない機会と思って施術しちゃった。 だから君は偉大な発明の栄えある人体実験第一号ってわけ。 どう?嬉しいかしら? でも、今の動きを見るだけでも、動作入力から実際の肉体へ反映されるまでやっぱり少しラグがあるみたいだし、動作ももっとスムーズになるようにしたいし、まだまだ課題は山積みね。 ただ、邪魔なヒーロー君を完全な支配下に置けたことには変わりないわけだし、そういう意味では実験成功といって差し支えないでしょう。 んぅ?あらあら、なぁに怖い顔しちゃって。 ダメよ。そんなに睨み付けたって、いくら気持ちを高ぶらせたところでどうにもならないんだから。 それに、君は皆の希望の星なんでしょう? 子ども達にも人気があるって聞いてるわよ?そんな君がそんなに人を睨み付けるもんじゃ無いわ。 そうねぇ、そんな君には、動作テストも兼ねて、誰にでも親しんで貰えるような、可愛い格好させちゃおうかしら。 折角君を好きに動かせるんだもの。普通にテストするだけじゃつまらないしね。 それじゃあまず、両手をゆるーく、ふわぁっと握った状態にしてぇ、それを頭の横に置いてっと、後は軽いがに股でだらしなーく足をひらかせればあ。 はぁい、たったこれだけでもう可愛い可愛い赤ちゃんポーズの完成よ。 ふふ、んふふふふ。 あのヒーロー君が、私の計画を悉くぶち壊してきた生意気な男の子が、 私の前でこんな姿を無防備に晒すなんて。ははは、愉快でたまらないわ。 どうかしら?これなら君がどんな怖い顔してたって、赤ちゃんがぐずってるようにしか見えないわよー? ほーら、どうしたんでちゅかー? お腹すいちゃったんでちゅかー? んふっ、あははは、 身体を好き勝手動かされて、自分の意思とは関係なく恥ずかしいポーズとらされて、普通に命令されるよりもずっと屈辱的でしょう? しかもね?君の基本姿勢をその格好で設定すれば、操作指示が無い間の待機状態では自動的にそのポーズを取っちゃうようにすることも出来るのよ。 素敵でしょう?次の命令が来るまでの間、君はずーっとそのポーズで操作を待ち続ける赤ちゃんになっちゃうの。 んふふ、ゾクゾクしちゃうわ。 ん?なぁに?やめて欲しいの?ふふ、そう、やめてほしいんだあ。 そうよねえ、いい年してこんな格好させられるの、とっても恥ずかしいものね。 それに、私にお腹を丸出しにした降参のポーズにもなってるわけだし、ふふ、君にとっては絶対にしちゃいけない格好かもしれないわね わかったわ。そんなにその格好が嫌なら少しだけ変えてあげる。 じゃあ今度は顔を右に向けてぇ、 んふふ、そしたら、右手をギュッと握らせて、親指を立てて、 うんうん、そうしたら今度は、その指を口元までもっていってと、 そのまま親指を口の中につっこめばあ、 あはは、どう?もっと赤ちゃんらしくなれたわよお。 ふふふ。そんなに親指ぢゅぱぢゅぱしちゃって。 どうしたのぉ?ママのおっぱいが恋しくなっちゃったのかなあ? んー?何か喋ってるみたいだけど、全然わからないわよ? もしかして言葉まで喋れなくなっちゃったんでちゅかー? ふふふ。哀れねえ。されるがままに体を操られて、何も抵抗できないなんて。 あぁそれと、これ、もう一つ機能があってね。こうした動作の組み合わせを登録しておくことができるの。例えば今の君のその格好を、赤ちゃんポーズって名前で登録しておくわよ。 それで、また君をさっきと同じ、手も足もまっすぐに伸ばした格好に戻してっと。 で、この状態から、さっき登録した赤ちゃんポーズを実行させるとね、 君はまたさっきと同じようなだらしなーく足を広げて、親指ちゅぱちゅぱする可愛い可愛い赤ちゃんになっちゃうのよぉ。 ふふ、やってみましょうか? あはは、なぁに?もう嫌なの? 駄目よ。これはシステムが正常に稼働してるかどうかのチェックも兼ねてるんだから。君の意見なんて聞いてないの。 ふふ、じゃあ、はい、赤ちゃんポーズっと。 うふふ、あははは、凄いわねえ、さっきと寸分違わぬポーズよ。 本当にロボットみたい。 ふふふ、そうなるとわかっていても、いざ実際に目の当たりにすると想像以上に面白いわねえ。 んぅぅ?なぁに?その目は。いくら睨み付けたって、そんな間抜けな赤ちゃんポーズしてたら滑稽なだけよ。 ほら、喋ろうとしたって指を咥えてるからろくに話せないでしょう? おしゃべりまで出来なくなっちゃって、本当に赤ちゃんみたいね。 ふふ、あはははは。 あーいい気味だわ。今まで私たちの活動をしつこく邪魔してきた報いよ。 君がいなければ今頃とっくのとうに世界征服を済ませていたはずなのに。 いつもいつも、君が現れて、全部台無しにしてくれちゃって。 ま、でもいいわ。こうして君は私たちの手に落ちて。 何も出来ない可愛い可愛い赤ちゃんにされちゃったんだしね。 さ、引き続き動作テストを続けるわよ。 これは君を使った人体実験なんだし、確かめられるところはどんどん確かめていくからね。 一応神経の掌握と、外部からのコントロールには成功したけれども、 各筋肉の操作に再現データと実際の肉体でのすり合わせのチェックとそれに伴う修正作業、やることは盛りだくさんなの。 少し君の体を動かしたぐらいで終わると思ったら大間違いよ。 ま、そのテストの為にどんな風に君を動かすかは、私の好きにさせてもらうけどね。 じゃ、姿勢をまた最初の真っ直ぐ状態に戻してっと。 ふふ、指が抜けて喋れるようになった途端わめき立てちゃって。 随分怒り心頭ね。まぁ、当たり前と言えば当たり前かしら。 半ばオモチャみたいに遊ばれてるわけだからね。 うーん、でもこのまま騒ぎ立てられたらちょっと耳障りだし、予定より早いけど 次の段階のテストをしちゃいましょうか。 君の体を100%制御下に置けるかどうかの最終段階の実験をね。

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