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3_01-04 プロローグ

--- 1ページ --------------------------------------------------------- 変身ヒロイン悪堕ち報告書3正義の味方をドスケベ備品奴隷に洗脳改造 ケース:催眠洗脳戦隊ジュエル・スターズ シーン1 ジュエル・スターズ最終報告書1 国家公認非公開組織のジュエル・スターズに対する最終作戦の準備が終了。概略を説明す る。詳細は前回提出した計画書を参照のこと。 ジュエル・スターズ攻略において現段階で予想される最大の障害はジュエル・レッドとジ ュエル・ホワイトの両名である。 ジュエル・レッド、これまでの報告書で記載した情報の通り、赤壁あかねはジュエル・ス ターズ創始者の一人でジュエル・スターズのリーダーを務めている。サイコキネシスやパイ ロキネシスを得意とする超能力者で、戦闘時は装備をナノスキンスーツに変身して戦うス タイルである。ナノスキンスーツは一見、赤を基本とした全身タイツであるが、拳銃程度の 威力では傷どころかダメージすら通らないオーバーテクノロジーの仕様である。戦闘力も 戦艦級とされているが力と規模が大きすぎるため全力を出しづらいのが弱点である。 ジュエル・ホワイトは本来は外部組織で”聖女”の役割を担う重要人物であるが、激戦区 であった関東地区の支援のため外部協力人員としてジュエル・スターズに派遣されている。 所属組織は”教会”で高次元存在、暫定名称”神”とコミニケションでき、3次元の存在に はほぼ不可能な”奇跡”を起こす事が出来る。この”奇跡”を行使されると今までの作戦の 成果がすべて無になってしまう可能性があり、最も警戒度が高い人物である。 この2つの戦力に対して元ジュエル・スターズを素体とした怪人2体を追加改造して撃 破、可能なら無力化を試みる。 シミュレーションでの作戦の成功率は93%となっているが、正義の味方は予期できな い行動で確率外の結果を出すことがいくつかの前例で確認されており、怪人2体が失敗し た場合の策も3重に積み立てておく。これらは、新たに洗脳した協力者数名を使う予定であ る。 なお、上記の計画を怪人2名に伝えたところ完全成功の際の報酬を要求された。こちらは、 調整中である。 --- 2ページ --------------------------------------------------------- シーン2 ジュエル・スターズ本部作戦会議後の風景レッド視点 「マップは覚えたな。オプト・ムーンの最後の拠点だが残存戦力はほぼ無し。後は現地に 移動して最終確認後、叩くだけだが......各自最後まで気を抜かないようにな」 私はジュエル・スターズ本部の会議室に集まっているメンバーを見渡す。 これから行う、オプト・ムーン壊滅作戦に臨むジュエル・スターズとそれをサポートす る司令官、スタッフ達。今回の敵は規模としては小さかったが、悪の脅威がまた一つ消え るからなのか肩の荷が下りた顔をしているものも多い。 「大丈夫ですよ。あんな雑魚組織、私一人でも十分!」 ジュエル・スターズのメンバーの一人、御船ノノ、コードネームはピンク。私だと街中 での戦闘ではビルを3,4個つぶしてしまうので、いつも前線を任せていて少し罪悪感は あるが、頼りになる仲間の一人だ。 「もう、そんなこと言ってこの前、先走り過ぎてピンチになってたじゃないか、あの時は ほんと心臓止まるかと思ったんだよ」 ピンクの隣にいるのは、ジュエル・ブルー、八島レン。自らの身体を獣化させて戦うス タイルでジュエル・スターズ立ち上げ時から一緒に戦っている中だ。 初対面の頃はかなり警戒されて大変だったな。ホワイトが頑張ってくれて、ピンクの加 入後、しばらくして打ち解けてくれるようになったのも今ではいい思い出だ。 「そうですよ、勝利の後姿が見えた時が一番警戒しないといけない時です。最後まで気を 抜かないよう」 そう言ったのは私の横に座っていたホワイト、栗栖川マリア。”神”に使える信徒で彼 女の奇跡には毎回助けられている。本来なら、争いごとには向かない性格なのにジュエ ル・スターズに参加してもらっているのは感謝している。 「ピンクさん、姉さんをお願いします」 ホワイトの反対側に座っていた自分の弟、聡の発言にちょっと驚く。自分で言うのもな んだが出来た弟で、2年前にジュエル・スターズの司令官をやらせてくれとお願いされた 時以来だ。状況が状況で仕方なかったとはいえ、司令官として実務を行うには年齢的にか なり難しかったのに今まできっちり皆をまとめてきている自慢の弟だ。 「あ、すみません。職場で私用な呼び方をしてしまいました」 「ふふふ、司令官って思ったよりお姉ちゃん子なんだね。ちょっと意外だけど、そういう の好きですよ」 --- 3ページ --------------------------------------------------------- ピンクがからかうが、いままで精神年齢プラス40歳とか、ショタロボ司令官とか言わ れていた無表情さが、家族以外の人物がいる場所で和らいだのはいいことだ。ちなみに、 好意的な意味であったとはいっても私の弟の変な噂を流したスタッフは見かけ次第、10 0枚ほどの始末書の提出を付けておいた。 「え、あ、むぅ、忘れてください」 「まあ、こういうのも変に力が入らなくていいのだろうか」 会議室は和気あいあいとした雰囲気となってしまって、各々好きなようにしゃべってい る。会議は終わったし、時間も余裕はあるので咎めるほどのことでもないのだが。 「ねえねえ、打ち上げパーティーの準備って......」 「もう、気が早いでしょ。......だいたいそれは秘密に......」 会議の補助として手伝ってもらっていたスタッフ達の内緒話というにはちょっと大きい 声だな。司令官の方をみると、顔を背けられた。しっていたな......皆の仲が良くなってい ると喜ぶべきか、規律はしっかりしようとくぎを刺すべきか。 「そうだ、よかったら皆さんの変身、見せてもらえないですか!」 「だから......あ、わたしもみたことないから、できれば」 「そういや、私達ってあんまりそろって変身することなかったよね」 「別行動多かったし。たまにはいいかも」 「......この後すぐ移動だから問題ないか」 会議室にはメインメンバーが10名ほど、いつもはもう少し事務的な雰囲気なのだが... ... 「それじゃ、私から!」 「私の思いを力に変えて、お願い、ペンタジュエル。変身、ジュエル・ピンク」 ピンクの変身する際の決まったポーズ、セリフは無いが、本人の魔法少女のイメージを 具現化して変身するためアニメの変身のようなやり口となっている。 「鋼鉄も切り裂く獣の右腕、今は無き幻獣の両足、神話に語られた毛皮、2番、5番、9 番解放!ジュエル・ブルー。行くよ!」 ブルーは本来全身を獣化させる事が出来るが、人ではない化け物として扱われることを 嫌ってほとんど1部位、多くて2部位しか、変身することはなかったのだが、もうほとん どトラウマを乗り越えたみたいだな。戦力の増強というよりは仲間の成長として喜ばしい ことだ。 --- 4ページ --------------------------------------------------------- 「”神”よ、あらゆる害悪から守る衣を、すべての不遇を退ける奇跡を、御身より授かっ た聖玉に誓います」 ホワイトは聖玉、白い宝玉が内部にある透明な器が付いた錫杖を両手で抱えて祈る。 ごく一般的な”教会”のシスター服だったホワイトの衣装が光に包まれ、”神”の奇跡 で編まれた聖衣に変化する。汚れのない純白にシンプルなだが荘厳な意匠がこらされたデ ザインだ。一見、1枚の布で出来た服だが現在地球上のどんな兵器でも傷つけることので きない聖なる衣だ。 最後に私、赤壁あかね、コードネームはジュエル・レッド、ジュエル・スターズのリー ダーというか現場指示のような役割を務めている。なお、私の場合、他の3人と違い変身 能力は無い。行使できるのは超能力、サイキックなどと呼ばれている単純な不可視の力の みだ。 ただ、いくら山一つ吹き飛ばせる超能力があるとはいえ、身を守る手段は必要なのでジ ュエル・スターズの技術力を集結して制作した防御機能のあるスキンスーツを着用して戦 っている。機関銃程度の攻撃なら衝撃をほぼ無効化できるナノマシンで構成された耐衝撃 スーツは体の80%を覆い、被覆部はもちろん、それ以外の頭部なども99%自動操縦で ガードしてくれる代物だ。 難点といえば、ぴっちりと体を覆ったデザインで体のラインがはっきりと出てしまうこ とと、スーツの上から何かを羽織ると機能が低下してしまうことだが、それはもう慣れた しな。 ともかく、私は手のひらに乗るぐらいのルビーに似た装飾のナノスキンスーツ用変身キ ットを胸に当てて正義の味方に変身する。 「システム、オールグリーン。ジュエル・レッド専用ナノスキン展開......それでは出撃す る」 --- 5ページ --------------------------------------------------------- シーン3 裏切りのジュエル・スターズホワイト視点 油断してなかったわけではありません。でも、今思えば昨日の夜、唐突に””神託”を 頂いた後、危険は承知でレッドさんに相談した方がよかったのでしょうか? 「ボクは大丈夫。遠慮なく......全力で叩いちゃって......」 私達はオプト・ムーンの最後の支部の建物の前で今まで最大の危機を迎えてしまってい ます。 ブルーさんが以前の戦いで受けた傷に仕込まれていた怪人化ウィルスによって操られて しまったのです。1週間の念入りな検査で完全に除去できていたはずなのですが相手が一 枚上手だったということでしょうか。 卑劣なことに操ったブルーさんとレッドさんで1対1で戦うようにとスクリーンの戦闘 員さんからの指示ですが、従わなければ衛星軌道上から日本中に怪人化ウィルスの散布を 行うという脅し付きです。軌道衛星上の話はスタッフの方の調査で全く引っかからなかっ たので嘘と思われますが、どちらにしろブルーさんと対峙しなければいけません。うまく 無力化できれば時間をかけて以前よりも強力な”神”の”奇跡”でウィルスも洗脳も除去 できるはずですが...... 「ここは、レッドさんの全力で......ブルーさん含めて一撃でお願いします。その後は必ず 何とかします」 「......わかった」 非常かと思われるかもしれませんが私の奇跡なら限定的な時間回帰で死もなかったこと にできます。 ”神託”、私の人生で3回。どれも、命に係わる重要なシーンで賜りました。たぶん、 昨日の””神託”はこの瞬間のことを示しているのだと思います。 「レッドさん、危ない!」 レッドさんの背中を守るように向き直り、”神器”、聖玉の錫杖を両手で持って祈りま す。”神”の奇跡を起こすのはこの祈りが必要です。日々の祈りのおかげで1瞬、一呼吸 で奇跡により私とレッドさんを包む聖域が現れます。 --- 6ページ --------------------------------------------------------- 「なっ!?」 「あー、やっぱり、ばれてたかー」 「あぶなかったです。”神託”で油断しないようにと賜れてなければ対応できませんでし た」 「もうっ、そんなのわかるわけないよ。せっかく最高のタイミングでレッドの背後をとれ たのに」 「っく、まさかピンクまでとは......だが、ブルーと違って怪人化ウィルスは受けてなかっ たはずだが......」 「ふふふ、そこは秘密。どう......」 ピンクさんが今まで見たことないような表情でしゃべっている途中で、背後の風景ごと オプト・ムーンの建物と同様に消えました。レッドさんの超能力で目に見える範囲をすべ て”潰した”のでしょう。 「終わった。後は頼む」 「......はい。大丈夫です。任せてください」 ”聖域”は解かずに周囲を見渡します。油断は厳禁です。 ただ、心配なのは先ほどのピンクさんがレッドさんに襲い掛かろうとした瞬間、あの場 面は”聖域”で良かったのでしょうか...... ”神”からの””神”託”では『油断はしてはいけない、躊躇もしてはいけない、相談 してもいけない、信頼できるのは一人のみ。常に最善の行動をしなければすべて泥沼の底 に堕ちる』 とっさのことで”聖域”を張りましたが、あそこで”神”の敵を完全に滅ぼす”滅威” を行えば...... いえ、”滅威”で滅ぼした存在は”神”の奇跡でも復活させることはできません。ピン クさんは操られているだけ、”聖域”を使うのが最善の行動のはずです。 「あははは、レッドさん、ひどーい。いきなりサイコキネシスで避けきれない範囲をつぶ すとか、仲間にする行動じゃないですよね?」 「っく、長引かせないように全力で行ったのだが......」 レッドさんの表情が歪んでいます。私の奇跡ならどんな洗脳も元に戻せますが、気づか なければ意味がありません。 あまりにも想定外です。そこまで仲間を疑うことは...... --- 7ページ --------------------------------------------------------- 「それじゃあ、改めて自己紹介させてもらうね」 前後左右4方向からピンクさんの声が響きます。いつものピンクさんの調子も相まって 悪い冗談のように聞こえてきます。 「私、オプト・ムーンの洗脳怪人、ブラック・フォビュラスでーす。ジュエル・スターズ はちょっと前に辞めちゃってたけど黙ってて後免ね?」 「そこか!」 ”聖域”の外、更地になった場所に一瞬人影が見えましたが全て10メートルはある炎 が燃やし尽くします。 「残念、ハズレですよー。それは、私の能力で作った植物の分身。ぷぷ、レッドさん冷静 に冷静に」 「まずい、いったん退却する!」 「はい!」 合図とともにレッドさんの超能力で私の”聖域”と共に地面が浮かび始めます。 「あ、逃げられるとでも......」 まがまがしい紫色の3メートルはある植物?の葉っぱが四方から現れて地面を縫い付 けようとしてきますが...... 「この程度、問題ありません!」 「このまま引きちぎって......なっ、っぐ」 「レッドさん!?」 ”聖域”を維持したまま振り向くと、レッドさんの首元に植物の蔦が巻き付いて...... 蔦自体はちぎり取れたようですが、蔦の裏には細い金属の首輪。どういうものかわかり ませんが、このタイミングで無視できるもののはずがありません。一刻も早く外さない と。 私がお手伝いするには一度”聖域”を解かないといけませんが...... 「だめだ、”聖域”は解くな!ピンクの思うつぼだ......ぐぅ」 「しかし!」 「命に係わるダメージではない......が、やられた、私の超能力を封じる装置か」 「そそ、シンプルなデザインでおしゃれでしょ?」 「......私の力では無理そうだ。だが、そっちもホワイトの”聖域”を突破はできまい」 --- 8ページ --------------------------------------------------------- 出発前はあんなに和んだ雰囲気でしたのに......会議室で話していた調子と変わらない様 子で話しているピンクさんを見ているととても悲しいです。 「え、誰か一人忘れてないかなぁ?」 今まで聞いたことのない、とてもいやらしい響きでピンクさんの声を聞いた次の瞬間で した。 「っぐぁっ!?」 「きゃぁぁ!?」 あっ、と思ったときはすでに手遅れで、地面が上......そんな”聖域”ごと、吹き飛ばさ れているのですか!? 意識が持ったのはそこまでで、最後に見えたのは更地になったオプト・ムーンの跡地に 立っている大きなオオカミのような黒い影でした。 --- 9ページ --------------------------------------------------------- シーン4 ジュエル・スターズ最終報告書2 ジュエル・ホワイトの予想外の対応があったが現場判断で対処して作戦は成功。ジュエ ル・スターズ残党の2人をほぼ無傷で捕縛することに成功した。捕縛した2人は新拠点の 地下に移送中である。 なお、ブラック・フォビュラスからこの結果の報酬を求められたので、ジュエル・レッ ド、ジュエル・ホワイトの無力化を一任。期限は半日、本日の18:00までとした。 常時監視はつけているので問題があれば即時対処する予定である。 同敷地内で並行して洗脳した人員を集めて最終的な全体の調整の作業を実施中。 現在の作業は深夜0時の完了予定。それにてジュエル・スターズに対する作戦は一度す べてクローズとして、関東支部は次のステップに移る。

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