Track 2

耳マッサージ開始

はい、じゃあはじめるから、そのままベッドへ横になってくれる? うん、最初は仰向け。 大丈夫、天井のシミでも数えてる間に終わるから、怖くない怖くない! ん? どうして心が弱ってるか聞かないのかって…そうね。 君が話したいなら、私は全霊をもって、夜が更け月が笑うまで、星が眠る東雲(しののめ)を迎えるまで、いくらでも聞くわ。 けどね…話すことさえ辛いことだってあるでしょう。 話すためには、組み立てなきゃならない。 それは思い出すってことでしょう。 どんな事であれ、そんな君になってしまった一因を、また追体験させる事を、私からはしたくないわ。 お腹が減って死にそうな人に、パンのおいしさをいくら言って説いても自己満足。 お腹を満たすのは、ひときれのパンだけでしょ。 そう、あなたに必要なのは、何事もない癒しなのよ。 だから、今はただ私に集中して欲しい。 ほら、少しだけ目を閉じてみて。 こちこち、時計の秒針。 聞こえるかわからない、恥ずかしそうな小鳥の鳴き声。 風が木の葉を撫でる…そんなものたちよりも、今近くにあるのは、私の声。 ね、私の吐息まで聞こえた? そう、じゃあ、今の君は私でいっぱいよね♪ ふふっ、ではでは、はじめるわ! んしょっと…あ、これ? これは、耳をきれいにするものよ。 注射の前にするでしょ、あれと同じだと思ってくれて構わないわ。 パフにとって…っと、じゃあちょっとひやっと、すぅ~っとするけど、我慢よ。 目は開けててもいいし、つむっていてもいいわ。 もちろん、じっと私を見ててくれたって構わない。 ただ、私がここにいることだけは感じてて。 じゃあ、こっちからね… ん ふぅ んんっ 耳のでこぼこに沿って丁寧に… ん、んしょ ん、ふぅ… はい、じゃあもう片方。 んんっ ふぅ んしょっと ここはしっかり拭いて、と… んんっ ふぅ んしょっと…さて綺麗になった。 じゃあ一緒にリンパマッサージもするわ。 両手で両側いっぺんにするから、ちょっと覆い被さるみたいになるけど、我慢して。 って、鼻をくんくんさせて…呼吸はゆっくりしててよね。 ん ふぅふ んしょ ここに、老廃物がたまると、よくないの。 こうして、流れにそって…指をはわせて… んっ ふぅ んしょ んっ んんっ うん、いいみたいね。 あまりやると揉み返しで痛くなるからね。 これでおしまいよ。 じゃあ次に行くわよ♪