第6話:夢を見たにゃ。
[数ヶ月前、とある橋の下にて:天候・雨]
……なんにゃ。
人間がにゃあになにかようにゃ?
「こんなところで何を」って……
そんなことお前には関係ないにゃ。
にゃあは人間が嫌いにゃ。
だからさっさとどこかへ行ってしまうにゃよ。
「ほっとけにゃい」?
にゅふふ……お前は相当物好きなやつみたいにゃね。
でもにゃ、人間を信用するとろくなことがないっていうのは、にゃあはよく知ってるにゃ。
きっとお前にはわからないことにゃし、わかるつもりもにゃいだろ?
にゃあはにゃ……人間に捨てられてここにいるんにゃ。
大好きだった人間に、「こんな姿になったから」っていう理由で捨てられたんにゃよ?
その気持ちが……お前にわかるかにゃ?
かわいそうっていう同情の気持ちだけじゃ、何にも救えないんにゃよ。
わかったらさっさと何処かへ……んにゃ!?(腕を掴まれる)
こら、離せ……離すにゃ!
にゃにゃにゃ!(ひっかく)
にゃ!こ、こら!抱きかかえるにゃぁ!
がぶ!むぐぐぐ……(肩に噛み付く)
んにゃ!
……ふー……ふー…………
(冷静になる)
なんでにゃ。
なんでこんなにされてもにゃあのことを離さないにゃ。
なんでそんなにお前は暖かいのにゃ……
にゃ、にゃぁ……(な、なぁ……)
お前は……お前は信用しても……大丈夫にゃのか?
お前は絶対に……にゃあのことを裏切らにゃいのか……?
……だったら……ちょっとだったら……ついていってやっても……いいにゃよ?
[主人公の家]
人間の家……久しぶりだにゃ。
(主「ずっとあの橋の下にいたのか?」)
にゃあは捨てられてから、色んな所を行ったり来たりしていたのにゃ。
だからもう、最初に住んでいた家がどこにあるのかもわからないにゃ。
どうしたにゃ、きゅうにしおらしくなって。
「服を脱げ」?
にゃ!?お前、にゃあをそういう目的のために連れてきたのかにゃ!?
嫌にゃ……!ここまでいろんな奴らから逃げてきたのに、こんな所でこんな罠に引っかかるにゃんて……!
にゃ?「違う」のにゃ……?
……「お風呂」……?
お風呂ってあれかにゃ、人間が毎晩体の汚れを落としに行ってる……
……わかったにゃ。お前いいやつみたいだし、ちょっとだけ信用してみることにするにゃ。
[風呂場]
(シャワーにびっくりする)
ふにゃぁ!?
あ……ごめんにゃ。熱くてびっくりしただけにゃ。
あまり慣れてないから、もうちょっとぬるめにして欲しいにゃよ。
うん、これくらいがちょうどいいにゃ。
洗って……くれるのにゃ?
にゅ……恥ずかしいけど、いいにゃよ。
んぅ…………にゃふ…………
にゅ……ふ…………ん…………
……ちょっと水を止めるにゃ。
人間……その腕の傷……
もしかして、さっきにゃあが引っ掻いたときの傷かにゃ?
痛く……にゃいか?
そうか……
ごめんにゃ……さっきはお前がこんなにやさしい人間だとは思わなかったんにゃ。
だから……
(シャワー再開)
ん……みゅう…………
[居間]
ふわ……にゃあの髪ふわふわにゃぁ……
それにとってもいい匂いにゃよ……
お前……ありがとにゃ。
(白い液体のはいったカップを差し出す主人公)
ん……?それは何にゃ?
牛乳……ミルクみたいなものかにゃ?
ん……別に悪いものじゃにゃさそうにゃね。
じゃあいただくとするにゃ……
ちゅる……(牛乳を啜る)
……熱っ!
……ちょっとお前……これ熱すぎるにゃよ。
さっきも言ったにゃけども、にゃあは熱いのが苦手だにゃ。
もうちょっと冷ましてから欲しいにゃ。
にゃ……人のコップに指を入れるにゃよ……
(指ですくったミルクをニアの口に含ませる)
……んぷ、ちゅる……
にゃるほど、これだったらちょうどいい温度にゃね……
ん…………おいしい。
……にゃあ、もっと欲しいにゃ。
はぷ、ちゅ、ちゅる、ん……ぷぁ……
…………(指に牛乳を絡める間)
んぷ……ちゅ、れりゅ、んちゅ、ちゅぷ……
…………(指に牛乳を絡める間)
れりゅ、んりゅ、あぷ、はむ、んちゅ……
…………(指に牛乳を絡める間)
んぷ、れりゅ……じゅるる…………
ぷは……ぁ…………
にゃ……にゃぁ、お前。
お前は、にゃあをこれからどうするつもりなのにゃ?
「問題がなければこのまま一緒に」……にゃ?
それは、お前がにゃあを飼うってことでいいのかにゃ?
(頷く主人公に、涙腺が緩むニア)
本当にゃ?本当の本当なんだにゃ?
うにゅ……嬉しいにゃ……
意を決して付いてきてみて、本当によかったにゃ。
てことは……今日からお前がにゃあの飼い主になるんにゃね。
飼い主……飼い主……
なんとも甘い響きにゃね。
呼ぶ度に……心が暖かくなる気がするにゃ。
にゃふふ……飼い主……飼い主……飼い主ぃ…………
(回想終了)
[朝、寝室にて]
(寝ぼけて飼い主の指を舐めてるニア)
飼い主……んちゅ、ちゅぷ、れちゅ……
んちゅ、ちゅ、んぷ……飼い主ぃ……んちゅぷ、んりゅ、ちゅ、はむ……
飼い主……んちゅ……ちゅ、ちぅ……
(アラーム音)
んにゅ……
ふんっ……ふんっ……(猫パンチでアラームを止める)
ふみゅ…………
ん……んぅ……なんだか懐かしい夢を見てたような気がするにゃ……
飼い主……にゅふふ、気持ちよさそうな顔で眠ってるにゃね。
ふわ~ぁ……むにゅむにゅ……
だったら……邪魔するにも悪いにゃ……
にゃあも……もうひと眠り、させてもらうにゃよ……
(寝息)
………………
………………
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