おかえりにーさん♪
にーさん、おかえりなさい……! 今日も遅くまで、お仕事お疲れ様です。
お姉ちゃんはちょうどさっき夜勤に行ったから、今日は入れ違いだったね。
……さ。荷物は私が持つから、靴脱いで?
にーさんも疲れてるだろうし、今日はお姉ちゃんの代わりに、私が色々してあげるね。
……うん? ああ、えっとね。
普段通り、私が好きでやってるっていうのもあるんだけど、今日は、お姉ちゃんからも頼まれてるの。
にーさんが帰ってきたら、私が代わりにお世話をしてあげてって。
それで、にーさんも仕事終わりでお腹空いてるかなーって思って、ご飯も作ってあるんだ。
温めたらすぐに食べれるようにしてあるから、ね? 早くいこ?
……よいしょ。
それじゃ、にーさん? 先にスーツ脱いで、こっちに頂戴?
私がハンガーにかけて、ちゃんとしまっておくから。
ご飯ももうちょっとで温まると思うし、少しだけ待っててね。
……はい。これでよし、っと。
それで、今日のご飯なんだけど、ハンバーグを作ってみたの。
ちょっと子供っぽいかな? とも思ったんだけど、にーさん毎日頑張ってるし。
これを食べて、元気になってくれたらなって思って。
……うん! ならよかった。
いざ、にーさんの喜びそうなご飯を……! って考え始めたら、色々迷っちゃって。
ハンバーグ以外にも、カレーとかどうかなって思ったんだけど、ひとまず今日はハンバーグってことで。
もし、カレーも食べたかったら、それは今度、作ってあげるね。
それはそれで、次を楽しみにしててくれたら嬉しいな。
……はい。それじゃ、召し上がれ?
…………。
どう? ちゃんと、美味しくできてる?
あ、その顔……!
ふふふっ。私の作ったハンバーグ、そんなに美味しいんだ?
もぐもぐしながら、本当に嬉しそうな顔しちゃって。
にーさんに喜んでもらえたのなら、私もすっごく嬉しいよ。
……っと。それにしても、新婚さんなのに、二人とも本当に大変そうだよね。
逆に、新婚さんだからこそ……なのかな?
ほら。私って、大学に入る時にこっちに引っ越してきたでしょ?
部屋も隣だし。ほぼ毎日こっちに居るから、同居に近い状態だけど。
だから、なんというのかな。
二人が仲いいのは知ってるんだけど、共働きなせいで、二人の時間が中々取れてなさそうだなーって。
……うん。それについては、にーさんとお姉ちゃんよりも、見てる側の私の方がよくわかると思う。
お姉ちゃんは私に、にーさんのお世話をして欲しいって頼んでくるぐらいだし、
にーさんもお姉ちゃんも、お互いのことは本当によく考えてると思うんだけどね……。
……うん? これはさっきも言ったけど、
にーさんのお世話は、お姉ちゃんに頼まれたからやってるんじゃなくて、私が好きでやってるんだよ?
勿論、お姉ちゃんに頼まれた以上は、やらないといけないなーって思うけどね。
それはあくまでも、責任感の話であって、やることは普段と変わらないってこと。
別に、私も家族なんだし、そこらへんは気を遣わなくていいと思うな。
私は、にーさんの義妹(いもうと)なんだから。
にーさんがお姉ちゃんの旦那さんってことを抜きにしても、にーさんはにーさんでいいの。
義妹が義兄(あに)のお世話をしてるってだけなんだし、全然変なことじゃないもんね。
はい! ということで、この話はおしまい!
私は、お姉ちゃんに頼まれなくてもにーさんのお世話はしてるんだし、気にしないで?
というよりも、気にしちゃダメ! にーさんのお世話が出来なくなったら、今度は私が辛くなっちゃうし!
……っとと。ちょっと脱線しかけたね。話、もどそっか。
にーさんとお姉ちゃんが結婚してくれたのは、私もすっごく嬉しかったし、
そのお陰で、私はこうやって二人の部屋に居れるんだから。
私は二人の為だったら、何でもしてあげるよ。勿論、にーさんだけの為にもね。
だからこうやって、にーさんを出迎えたり、ご飯を作ったりするぐらいなら、何でもないの。
忙しいお姉ちゃんの代わりに、私がにーさんを支えてあげられるなら、私はそれで満足かなって。
……ふふふっ。なんだか、告白してるみたいになっちゃったね。
でも、にーさんはお姉ちゃんの旦那さんなんだし、私もそれは理解した上でこうしてるわけだから。
にーさんは別に、難しく考えなくていいからね。
お姉ちゃんがほわっとしてる分、私が色々考えながら行動するから。
……あ。食べ終わった? はーい。お粗末様です。
それじゃ、片付けはこれから私がしておくけど、その後はどうしよっか?
にーさんさえよければ、私から、ちょっとしてみたいことがあるんだけど。
内容については、まだ内緒にしておくね?
何をするのかは、片付けが終わってからのお楽しみ、ってことで。
にーさん、今日もお仕事で疲れてるだろうし、
その疲れを解きほぐす為のこと、とだけ言っておこうかな。
……こう言われると、私が何をしようとしてるのか、ちょっと気になるでしょ?
ふふふっ……。別に、変なことをしようとしてるわけではないから。
それなら、とりあえずおっけーってことでいいかな?
……はい。それじゃ、決まりね。
片付けが終わったら、私から呼びに行くから。
それまでにーさんは、飲み物でも飲みながら、ゆっくりしててね。
改めて、今日も一日、お仕事お疲れ様でした。