Track 2

にーさんにマッサージしてあげる

お待たせ、にーさん。 準備ができたから、こっちへきて? そう、こっち。 ……さて。これは、なんでしょうか? ふふふっ。さすがに、一目じゃわからないかな? んっとね。私がにーさんにしてみたかったことっていうのは、マッサージのことなの。 そう、リンパマッサージ。だから、疲れを解きほぐす為のこと、って言ったんだよ。 こうして実際に聞いてみると、ほぼそのままのことを言ってたでしょ? ふふっ。むしろ、ストレート過ぎて、ちょっと拍子抜けしちゃったかな? それとも、普通に安心してくれたのかな。それなら、私としては嬉しいんだけど。 さ。にーさんは服を脱いで、ここでうつ伏せになって? まずは腰のマッサージから始めていくから、自分の丁度いい具合でうつ伏せになったら、そのまま力を抜いて、目を閉じてね。 ……うん。これはマッサージだし、疲れてるにーさんを癒してあげる為にすることなんだから。 私がどうこうお願いするよりも、にーさん自身が楽な体勢でやれたらいいかなって。 ……これで、体勢は大丈夫かな? ちゃんとリラックスできてる? はい。それじゃ、このままマッサージ、始めていくね。 ……あ、そうそう。もしも、力が強いなーって思ったり、痛かったりしたら、すぐに言ってね? にーさんの為に色々勉強してきたけど、力の加減とかには好みがあると思うし。 言ってくれれば、すぐに変えるからね。遠慮とかはしなくて大丈夫だよ。 ……んしょ。まずは、マッサージオイルを……と。 ちょっと最初はくすぐったいかもしれないけど、少しだけ我慢してね。 肩甲骨の下の辺りから、そのままお尻まで、手のひらを使って……。 ん……。んしょ……。ん、っ……。 ……どう? にーさん。力の加減とかは、大丈夫? ……うん。なら、このまま続けていくね。 ん……。…………。 ん……。……んしょ。 ……にーさん、毎日デスクワークで疲れてるだろうから。 長時間座り続けてることが多いと、毛細血管が圧迫されて、腰の痛みに繋がっちゃうらしいし……。 だから、こうやって……。念入りに、マッサージして……。 早いうちから、労わってあげないと……。ね……? ……ん。……んしょ。 …………。…………。 ……ん、と。ここからは少し、動きを……変えて……。 今度は、腰の真ん中から……。お尻の形に沿って、内側から……外側に。 ……あ。くすぐったかった……かな? もうちょっと、丁寧に……。もうちょっと、じっくり……やっていくね。 ん……。ん……っ。 …………。…………。 ……そうそう。ちなみにね? こうやって、上から下にかけて、じっくりマッサージしてるのはね。 足の太陽膀胱経(たいようぼうこうけい)っていう、後頭部から足の小指まで繋がってる経路があるからなんだ。 ここの流れをよくすると、腰痛の改善に繋がるっていうから、デスクワークが多いにーさんには、丁度いいかなって。 ……ふふふっ。そうだよ? 私、にーさんのことを考えて、ちゃんと詳しいところまで勉強したんだよ? だから、こうして……。気持ちよく、なってくれてると……。 私も……勉強した甲斐が、あったかな……? なんて。 ……ん。……んしょ。 それじゃ、このまま……脚の方に、流れて……っと。 今度は、膝の真後ろ……。委中(いちゅう)っていう、腰とか背中の痛みに効くっていうツボを押していくよ。 左右片方ずつ、1回10秒で2セットに分けて押していくから。私がゆっくり数、かぞえるね。 それじゃ、まずは左から。……はい、始めるよ。 ……いち。に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう……じゅう。 今度はこのまま右に移って、またゆっくり、数をかぞえるね。 ……いち。に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう……じゅう。 はい。それじゃ、また左に戻って……同じように。 ……いち。に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう……じゅう。 今度は、また右に。これが最後だから、また10秒、ゆっくりかぞえるね。 ……はい。いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう……じゅう。 んしょ。それじゃ、これで腰のマッサージはおしまい。 手で丁寧にマッサージをした後は、仕上げに……これ。 うん。ハンディマッサージャー、持ってきたんだ。 これを今から、腰のマッサージをした場所に当てて、仕上げのマッサージ……していくよ。 これも手でマッサージをしたのと同じように、ゆっくり、時間をかけてやっていくから。 リラックスして、手のマッサージとは違う感触を楽しんでね。 ……はい。まずは、肩甲骨の下の辺りから……お尻にかけて。 …………。…………。 上から下に、少しずつ……。時間をかけて、動かしていくからね。 …………。…………。 …………。…………。 ……うん? 気持ちいい? ふふふっ……。気持ちよかったら、そのまま寝ちゃってもいいよ……? 体勢を変える時とかは、ちゃんと声、かけてあげるから。 私のことは気にせず、好きなように……。にーさんのしたいように、していいからね。 …………。…………。 …………。…………。 ……仕上げだし、せっかくだから。このままお尻から、膝の真後ろ……ツボのところまで、続けてやっていこっか。 ……うん。 ここも、時間をかけてやっていくから。にーさんはそのまま、楽にしてていいよ。 …………。…………。 …………。…………。 ……そういえば、こうやってマッサージしてて思ったんだけどね? にーさん、いつも頑張ってるのはとってもかっこいいと思うんだけど、やっぱりそれは、にーさんが元気っていう前提があってのことだし。 にーさんにも色々あるとは思うけど、たまには自分の体のことも、ちゃんと考えてあげて? にーさんのこと、私もいっぱいサポートしてあげるから。少しでも疲れを感じたら、無理をする前に、私のところへ来てね。 ……うん。約束だよ。私とにーさんの間の約束ね。 ……はい。これで腰の方は、仕上げもおしまい。 そしたら今度は、首と肩のマッサージだね。 こっちも、腰と同じぐらい疲れが溜まりやすいところだし。 ……ほら。体起こすから、私に掴まって? 体勢、変えるよ。 ……んしょ。はい、これで大丈夫。 そしたら、鎖骨の下の辺りから、肩の下にかけて。さするように、マッサージしていくね。 これは左右に分けて、左から。はい、始めるよ。 ……ん。……んしょ。 こうやって、ゆっくり……丁寧に、すりすり……すりすり……って。 ……ふふっ。こういうところをこうやって触られるのって、ちょっと不思議な気分でしょ? これはマッサージだけど、逆に、そういう時ぐらいしか触られないもんね。 ……鎖骨の下から、肩の下へ。手でゆっくりとさすられて……どう? 気持ちいい? それとも、くすぐったいかな? ……そっか。だったら、このまま続けていくね。 ……ん。…………。 ん……。…………。 それじゃ、今度は……こっち。右側を同じようにマッサージしていくよ。 ……すりすり、すりすり。すりすり……すりすり……。 …………。…………。 これをもう少し続けたら、次は首のマッサージに移るつもりなんだけどね? やっぱり首回り、特に首筋って、デスクワークをしてると、負担がかかりやすいと思うし。 この肩のマッサージから続けて、首回りは重点的に、じっくりと時間をかけて解していくからね。 ……はい。これで、鎖骨の下から肩の下へかけてのマッサージはおしまい。 次は、ここ。耳の下から、首の根元まで。 指先を使って、円を描くような形で、両手で首筋をマッサージするね。 ……んしょ。ここから、こうして……。 ……ん。…………。 ん……。…………。 ……力、強すぎたりしない?  首筋だから、力の加減も微妙に変えてはいるんだけど。 ……うん。大丈夫なら、よかったかな。 ここらへんって、変にマッサージすると、逆に違和感が出たりしちゃうし。 他のところよりも、もっと丁寧にやらないとね。 ん……。…………。 …………。…………。 ふふっ……。にーさん、気持ちよさそう。 そのまま、全部私に任せてくれていいんだよ……?  これは、にーさんの為のマッサージなんだから。 ……よし。首筋も、これぐらいでおしまいかな。 それとも、もうちょっとしてて欲しかった? 大丈夫? うん。それじゃ、今度はこっち。今度は手首から、脇の下にかけて。 これは、リンパの流れを良くする為のマッサージだよ。 脇の下にあるリンパ節って、首回りとか腕全体に関わる、とっても大切なところだから。こっちも、丁寧にね。 まずは、左からいくよ。 ……手首から、脇の下にかけて。手のひらで、すーっとさするように……。 こうやって、リンパを流すようなイメージで……何回か、さすっていくからね。 よしょ……。んしょ……。 …………。…………。 …………。…………。 もう一回、手首から……すーっと……。 最後の一回、すーっ……。 ……それじゃ、今度は右側ね。こっちも同じように、手首からやっていくよ。 まず、最初の一回。すーっと……このまま脇の下へ……っと。 ん……。んしょ……。 …………。…………。 ん……。…………。 すーっと……流すようにして……。 こっちも、最後の一回……。すーっ……。 ……はい。手首から脇の下にかけてのマッサージは、これでおしまい。 今度はまた、肩の方に戻って……と。 次は肩の上から、にーさんの胸の上らへんまで。左右に分けて、流すように、かな。 今回も、左側から始めるね。 さす……さす……。さす……さす……。 …………。…………。 …………。…………。 ……このまま、右側に移るよ。力の加減とかが気になったら、私の手を掴んでくれればいいから。 ……はい。 さす……さす……。さす……さす……。 …………。…………。 …………。…………。 ……これで、肩から胸にかけてのマッサージも終わり。 もう一回、うつ伏せに寝てもらって、肩にあるツボを指圧してから、仕上げに移ろっか。 うん。私に掴まったままでいいから、体を倒して……?  ……はい、ごろん。 ……ふふふっ。なんだかこういうことをするのって、ちょっと楽しいよね。 なんていうのかな。にーさんのお世話をしてるって感じがするから、かな? あ。別に、変な意味じゃないよ?  ちゃんとお世話できてるんだなって考えたら、ちょっと嬉しくなっちゃって。 ……うん。じゃあ、にーさんにまたうつ伏せになってもらったことだし。ツボ、押していこっか。 瞼を閉じて、私に全部任せてくれればそれで大丈夫だからね。このままの体勢で、仕上げまで全部やっちゃうよ。 ……んっとね。ツボは二か所押すつもりなんだけど、最初に押すのは、肩井(けんせい)っていうツボかな。 首の付け根から肩の先にかけての、ちょうど真ん中辺りにあるツボなの。 コリを解す以外に、冷え症とかにも効くみたい。 ここを左右片方ずつ、10秒かけて押していくね。 ……それじゃ。数、かぞえるよ。 ……いち。に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう、じゅう。 ……どう? 痛かったり、違和感が残ったりはしてない? そっか。だったらこのまま、右側も同じように……数をかぞえながら、指圧していくね。 ……はい。いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう……じゅう。 どう? こっちも違和感とかは無さそう? うん。じゃあ、また左に戻って、もう一回ずつ指圧していこっか。 ……はい、数かぞえるね。 いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう、じゅう……。 このまま右に移って、最後にもう一回。 いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう……じゅう。 これで肩井っていうツボを押すのはおしまい。 次は、首の方。首の裏側、付け根から三つ下の骨……かな。この骨がでっぱってるところの両隣にあるツボだよ。 位置は……はい、はい……と。骨から指二本分、ここだね。 ここは風門(ふうもん)っていうツボで、風邪の予防とか、頭痛にも効くみたい。 ここも左右片方ずつ、10秒かけて指圧していくよ。 じゃ、数……かぞえるね。 いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう……じゅう。 右に移って、いち……に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう……じゅう。 ……気持ちいい?  ふふふっ。この後は仕上げもするから、そのままリラックスしてて大丈夫だよ。 それじゃ、左に戻って……もうワンセット。 ……はい。いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう、じゅう。 もう一度右に移って、いち……に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう……じゅう。 ……んしょっと。これで、首と肩のマッサージもおしまい。 最後はハンディマッサージャーを使って、首回りの仕上げ、するね。 これを、首の左側に当てて……と。 ゆっくり、時間をかけつつ、肩に向けて動かしていくから、ここが気持ちいいとかあったら、いつでも教えて? ん……。…………。 …………。…………。 ……ふふっ。にーさん、眠そう。 でも、それはつまり、それだけにーさんが疲れてたってことだと思うから。 私のマッサージでリラックスしてくれたのなら、私もとっても嬉しいし。別にこのまま寝ちゃってもいいからね。 ……うん。 今日は、私がにーさんのお世話をしてるんだもん。 したいことを、したいようにしていいよ……? …………。…………。 …………。…………。 ……はい。今度は、右側も同じように仕上げ、していくね。 首回りにこうやってハンディマッサージャーを当てられるの、気持ちいいでしょ? 私も自分で軽くマッサージとかしてると、眠くなってきちゃうから。にーさんの反応も、自然かなって。 ……あ。それと、この仕上げが終わった後なんだけどね? マッサージとはまた別に、にーさんを癒すにはピッタリなことを思いついたんだけど、どうかな……? ……ううん。何を思いついたのかは、実際にするまでは内緒。 ふふふっ。だって、そっちの方がワクワクするでしょ? 事前に聞くのもそれはそれでいいとは思うけど、せっかくなんだし。 うん。じゃあ、この後はそれで決まりね。 マッサージで眠くなっちゃったと思うけど、もうちょっとだけ我慢……だよ? これが終わったら、それこそぐっすり眠れそうなこと、してあげるから。 ……うん。きっとにーさん、これなら喜んでくれると思うな。 だからそれを楽しみにして、もうちょっとだけ起きててね。 …………。…………。 …………。…………。 ……よいしょ、っと。はい、これで仕上げもおしまい。 マッサージ、お疲れ様でした。もうにーさんの好きなように動いても大丈夫だよ。 それじゃ、私はこの後のお楽しみの準備をしてくるから。 敢えて何も聞かないまま、ここで楽しみに待っててね。 ……うん。ありがとう。 それじゃ、改めまして。マッサージお疲れ様でした、にーさん。