Track 01
;基本的には「彼氏」と会話での進行となります。
;【美咲】と台詞前についている場合は浮気当時の言葉になります。
シーン1・発覚
;プルルル、と携帯の呼び出し音を少し
;その後、通話ボタンを押した音
「んぅ、何よぉ……こんな夜に電話なんて、珍しいじゃん……どうしたの?」
「んー……? そうねぇ、最近全然会えてないねぇ……この前もあたしの方に急な用事あったし、あの時は本当にごめんねぇ? ……で、用件は何?」
「クリスマス? 随分気が早いじゃん、まだ二ヶ月も先だよ? ……んー、そうだねぇ、出来るだけ予定あけておくよ」
「仕方ないじゃん、バイトとか忙しくて……だーかーら、嫌だって。バイト先に彼氏来たら、まともに接客できないかもしれないじゃん?」
「んー? こんなに会えないのは……あたしが浮気してるからじゃないかって? ああ……今頃、気づいたんだ」
「よく聞こえなかった? あっそ、それじゃもう一度言ってあげようか? 今頃、気づいたんだ、この駄目男!」
「あは、何怒ってるのぉ? 駄目男って言われて、怒っちゃったぁ? ふーん、そう。でもさぁ、あんた……あたしを怒る権利とか、あるの?」
「何、きょどってるんだか……あのさ、あたし達、付き合い始めてもう三年じゃん? うん、高校の頃から付き合ってきて、んで、同じ大学に行こうね、って色々と頑張ってきたわけじゃん」
「それから頑張って勉強して、同じ大学、同じ学部に入って、1年目は授業割りも同じにしたよね……んで、2年目から急に授業割りは別々にしたいとか言い出したじゃん。なんだっけ? 将来を見据えて、資格取得の為に俺はこれをやりたいんだ、だっけ? ……は、笑わせてくれるじゃない」
「高校生の頃は本当に良かったよねぇ。だって、あんたはちゃんとあたしの事、好きでいてくれたじゃん……もう一度言うけど、あんた、あたしの浮気を怒る権利、あるの?」
「……ふ、あははは……あはははは! 何が『ど、どういう事だよ……』よ……あのさ、舐めないでくれない? あんたが浮気してたの、あたしが気づかなかったとでも……本気で思ってるの?」
「今更誤魔化しても無駄だし。相手も知ってるから……同じサークルの清美でしょ? ふふん、何慌ててるの? だからさぁ……全部、知ってるんだってば」
「あんたが1年目の最後の方から清美と浮気してて、んで、ついこの間振られたのも、ぜーんぶ……知ってるんだけど?」
「2年目の授業割りもさぁ、清美と合わせてたの知らないとでも思ってるの? 何、自分がそんなに誤魔化すの上手だと思った?」
「本当、残念だったわねぇ……正直、浮気を始めて二ヶ月くらいには、気づいてたのよ……何で言わなかったのかって? そりゃ、あんたの事、好きだったからに決まってるじゃん」
「……そうよ、あんたの事好きだったし、別れ話も切り出されなかったからね。あたしね、正直に言えばあんたが清美と別れるか、正直に言ってくれるの、待ってたんだよ?」
「でも、あんた……ぬけぬけと浮気をし続けたじゃない……だからさ、決めたのよ。あたしも浮気して、あんたが気づいた時に、ぜーんぶぶちまけてやろう、ってね」
「ええ、そうよ? 最初はね、単なる嫌がらせ……正直、それ以上の意味なんて、まーったく無かったんだけどね……ふふ、何焦ってんの?」
「誰と浮気してたか、ねぇ……それにも気づかないんだ……本当、なんであたしはこんな男、好きになったのかしら」
「ふふ、じゃあ、ちょっとずつ教えてあげる……あんたが浮気してる間、何してたのかをね……」
;ちょっと間
シーン2・標的
「あたしが浮気を始めたのは二回生になってから……そうよ? 気づいてからね、二月くらいはあんたの事、信じて待ってたのよ?」
「ま、そうやって待っててもあんたは何も言わない……どころか、浮気して何か勘違いしたのか、日に日に態度が大きくなって横暴になる。デートじゃセックスだけして終了、っていうのも何度もあったわよね?」
「聖女じゃないんだから、そんな事されて頭に来ない女が居る訳無いでしょ? 二回生になって、あんたと授業割りが別々になってあたしにも自由な時間が出来たから……それから、浮気してあんたに嫌がらせしてやろうと思ったのよ」
「相手は……ま、正直に言えば誰でも良かったわ。だって、好きになっての浮気、じゃなくてあんたに対して嫌がらせの為の浮気だもの。だから、相手なんて正直誰でも良かったのよね」
「ただ、あんたが気づいた時、出来るだけショックを受けてくれた方があたしの溜飲も下がるじゃない? だから、自分の中で許せる、ギリギリのラインの相手を狙ったのよ」
;ちょっとガヤ。居酒屋音
【美咲】
「ふふ、そうなんですよぉ……彼、今日は忙しいらしくて……いえいえ、その代わり、私が相手しますから。今日はとことん、飲みましょう」
「誘ったのはサークルの新歓コンパ……そ、あんたが清美と浮気する為に欠席した、あの時のね。相手はね、あんたが居なくて残念だなぁ、って言ってたわよ? ふふ、だからあたしが『彼女』として、あんたの代わりにお相手してあげたわけよ」
【美咲】
「あ、はい。いただきます……ふふ、ええ、普段は彼にあんまり飲むな-って言われてるんですけど……でも、彼が居ない時くらい、ちょっと羽目を外しても良いかな、って。あははは、私、実は意外と飲めるんですよ-?」
「まぁ、正直に言えばね、お酒って得意じゃないの。あんたも知ってるでしょ? あたし、酔いやすいから、あんたがいつも飲み過ぎるなって言ってたよね……でもさ、その後の事を考えると、べろべろになるくらい酔っておいた方が良いかな、ってその時はかなり飲んだのよ」
【美咲】
「ん、ごく……こく……こく……ぷぁぁぁ……えへへ、良い飲みっぷりですかぁ? ありがとうございますぅ……んー、じゃあ、次はカシスオレンジいただきますー……ん、こく……こく……ごく……ぷぁぁぁ……っ」
「ま、普段あんまり飲まないのに、いきなりヤケ酒みたいな飲み方しようなんて、無茶したなぁ、って今なら思うけどね。実際、飲み会始まって一時間くらいであたし、ふらふらで自分がどうなってるのか、周りがどうなってるのかも判らなくなってたし」
【美咲】
「んぁ、はぁ……ん、ふぅ……ぅぁー……ぅぅ、すいません……ふふ、すぐに支えてくれるなんて……優しいですねぇ……あ、ふぁ……うう、すいません、私……これ以上、無理です……送って貰えませんかぁ?」
「周りも変だと思ってたみたいよ? でも、仲の良い連中は薄々、あんたと清美の事を知ってたみたいだから、なーんも言わなかったわねぇ」
【美咲】
「ふふ、ありがとうございますぅ……すいません、よろしくお願いしますねぇ……駅まで行けば、大丈夫ですからぁ……んぁ、ふぁ……ふぅ……」
「それにさぁ……あんた、友達とかには自分で言ってたんでしょ? 正直、あの頃のあんた、ウザがられてたよ? 当り前じゃん、彼女居るのに、浮気して俺モテてるとか勘違いしてる男、ウザクないわけないじゃん」
【美咲】
「ん、ふぁ……はぁ、あ……うう、ごめんなさい、駄目です……駅まで、持ちそうにありません……あの……休めるところ、連れて行ってくれませんかぁ?」
「ま、それは良いわ。んで、駅まで向かって貰う最中に……本当に気分悪くなったのもあったけどね、当初の予定通り、相手を誘ったのよ……ほら、いつも飲み会する居酒屋の近くにラブホあるじゃん……あ、そ、こ」
【美咲】
「いえ、良いんです……というか、ですね……その、私も限界なので……タクシー掴まえて貰うまで待つ余裕、多分ありません……」
「あの人は……最初は親切にタクシー呼ぼうか? とか言ってくれたんだけどそれじゃ計画も狂うし、実際、浮気云々抜きにしても飲み過ぎて気持ち悪くなってたからね。ラブホテルにもう一度誘ったら、渋々頷いた訳よ」
;ちょっと間