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;学校終わり、自宅に弟帰宅。姉、キッチンで料理中
「あ、お帰りー。今日はちょっと遅かったんだね……あはは、判ってるよ、うん。今度試合があるから、部活が忙しいんだよね? うんうん、ようやくレギュラー入りだもんね、気合い入るの判ってるよ。だからお姉ちゃん、きちんと気合いが入るようなご飯作ってあげるから……ふふ、それは前日にね。やっぱり験担ぎのお料理は試合前日、っていうのが相場だからね」
「うん、夕ご飯の支度……ふふ、鼻が良いんだから。うん、あまーい匂い、してるのはね……明日、何の日でしょう? ……くすくす、とぼけたふりなのかな、それ。お姉ちゃんには一発で判っちゃうんだから。はい、正直に言う言う……はい、正解。バレンタインデーだよー。そ、実はさっきまで友達が来てて、それで一緒に作ってたんだ。その匂い、まだ残ってるんだね」
「誰にあげるのかって……もー、お姉ちゃんからかって。毎年、あなたとお父さん、後は友達と交換しかしてないの知ってるくせに……そういうあなただって、毎年二つくらいはもらってくるでしょう? 今年はどうかなー……また、手作りチョコもらえるかな? あーあー、ごめんごめん。そうだね、手作りチョコレートって響きは凄いけど、味は……って事も多いもんね」
「ふふん、そうだよ? お店と同じくらい美味しいチョコレート、ちゃんと作れるのって凄いんだからね? そんな凄いお姉ちゃんのチョコレート、毎年もらえて? ……くすくす……だーめ、ちゃんと言ってくれないとあげないよ? はい、そんな凄いお姉ちゃんのチョコレート、毎年もらえて? ……ふふ、そう言ってくれるとこっちも作りがいがあるな」
「え、もう食べたいの? ……あー、うん、そうだよね。疲れてるときにチョコレートってすっごく美味しく感じるもんねー……んー、でもせっかくならちゃんとバレンタインだよ、ってあげたいし……あ、そうだ。えっと……はい、これなら食べて良いよ」
「うん、お手本作りで作った奴。これなら食べても良いよ……ふふ、味は大丈夫だよ。ただ、ゆっくり作ってお手本見せながらだから、ちょっと不格好なんだよね……判らない? ほら、こことかちょっと泡だっちゃったままになってるし。表面もちょっとざらっとしてる感じだし……もー、お姉ちゃんのチョコがどれだけ凄いか、判ってないんだから。明日の本番チョコ、楽しみにしてなさいよ、ふふ」
「どう? ……ふふ、美味しいでしょう。あはは、それはそうだよ、だってお姉ちゃんの愛がたっぷり入ってるからね……くすくす……そうだね、お手本用チョコレートだから、本番用はもーっと愛を込めちゃうんだからね、ふふ……」
「はい、お粗末様でした……うん、ご飯もう少しかかるからお部屋で寝てて良いよ。出来たら起こしに行ってあげるから。それとも起きてすぐお風呂の方が良い? ……ん、判った。それじゃ、準備出来たら起こしてあげるから……おやすみ、ふふ……」
;バタン
;3秒程度間