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オープニング~和耳旅館へようこそいらっしゃいませ♪

/SE:田舎の森の音 /SE:旅館のドアを開ける音(引き戸) ;ボイス位置:1 正面で普通に会話 【篠葉】 「あ、いらっしゃいませー。えーっと……ご予約のお客様でしょうか? ちょっと確認させて貰ってもいいですか?」 :紅葉=もみじ 【篠葉】 「お名前は……あ、はいはい、ありました。ふふっ、当旅館に来てくださりありがとうございます。滞在は一泊二日、部屋は紅葉の間を希望、とありますが、間違いありませんか?」 :最後の「北月ー…」から、後ろを向いて発声 【篠葉】 「……分かりました。それではまずは、お部屋の方にご案内致します。……っと、その前に、少々お待ち下さい。北月ー、お客さんが来たよー? 」 :最初は遠くで。「お待たせしました」の前で、徐々に近づいて ;ボイス位置:1 正面 【北月】 「あ、ちょ、ちょっと待って……よっと。……ん……お待たせしましたー。旅館、和耳温泉へようこそいらっしゃいました」 【篠葉】 「こちらが今日のお客様。紅葉の間をご希望なので、案内をよろしくね? 私も後でそっちに行くから。……あ、説明する内容は大丈夫?」 【北月】 「だ、大丈夫です……かも? えーっと、お部屋の話と、温泉のことと、後はお出かけする時の注意と、あと……」 【篠葉】 「夕飯の用意と、アレルギーについて、でしょ? ちゃんと確認しておくこと」 ;それじゃあお客様、から一気に近づく 【北月】 「あ、そうでした、すみません。ちゃんとお話しておきます。……それじゃあお客様、お部屋の方へご案内いたしますので、ついてきてください」 /SE:ここから足音(床は木製) ;ボイス位置:3 すぐ隣で話す形で 【北月】 「お兄さん、この旅館のことはどこで知ったんですか? やっぱりネットで調べて、そのまま予約した……って流れだったんでしょうか?」 【北月】 「ふふっ、やっぱりそうなんですね。他のお客さんもそういう人が多いんです。料理とか温泉の画像もあるから、凄く分かりやすいって言ってます」 【北月】 「……というのも、私インターネットのこととか、あまりよく分からなくて。えへへ……あ、機械音痴ってわけじゃないんですよ?」 【北月】 「スマホとかちゃんと使えますし、メッセージを飛ばすのだってよくやりますもん。暇な時はゲーム触ってますし」 【北月】 「だから機械音痴なお姉ちゃんより全然……あわわ、な、なんでもないです、忘れてください。また怒られちゃうんで、あ、あはは……」 【北月】 「えーっとそれで、紅葉の間は、こっちの方……あれ、右だっけ……。え、でも受付から真っ直ぐ進んで、……うん、こっちですね、えへへ」 【北月】 「ま、間違ってませんよ? 本当ですよ? お料理運ぶ時に何度も進んでるんで。……その、受付からの案内が初めてなので、ちょっと混乱しちゃっただけです」 【北月】 「う……す、すみません。私、今までずーっと裏方の仕事ばかりだったんです。それで今日お兄さんのお世話をするのが、初めての女将としての仕事で……」 【北月】 「あの……至らないことがあったら、すぐに教えてください。あ、あと、これして欲しい、あれして欲しいっていうのもあったら、お願いします」 【北月】 「まだまだ未熟ですけど……でも、折角来てくれたお客さんには、いっぱい気持ちよくなってほしいって気持ちはちゃんと持ってるんです」 【北月】 「だから……ふふっ、よろしくお願いしますね、お兄さん。ご飯も美味しいし、温泉も気持ちいいので、どうかゆっくりくつろいでいってください」 【北月】 「……っと、着きました。ここがお兄さんが泊まる部屋、紅葉の間になります。えへへ、それでは中にどうぞ」 /SE:襖を開ける音&閉める音 【北月】 「ふふ、どうですかー? 窓から見える、キレイな山並み。ふふっ。今日は晴れてますし、気温も温かい方なんで、窓を開けてゆっくり過ごすのもいいと思いますよー」 【北月】 「あ、温泉は、向こうの部屋を出たところにあります。湯船は結構広めなので、ゆっくりくつろげますよ? どうかのんびりしてってください」 【北月】 「それと、夕飯はどうしますか? お兄さんのご希望どおりに運ぶことができます。特に希望が無ければ、7時頃になりますけど……それで大丈夫ですか? あ、分かりました」 【北月】 「それと、もし外にお出かけするときなんですけど、22時までに戻るようにしてください」 【北月】 「帰りがそれより遅くなりそうな時は、あらかじめお姉ちゃんに……じゃなくて、フロントに連絡をお願いします」 【北月】 「あとは……えーっと、特に話しておくようなことは無かったような……んー、でも何か忘れているような気がするんですよねぇ……えーっと……」 /SE:襖を開ける音 ;ボイス位置:1 正面で会話 【篠葉】 「失礼しまーす。あ、ちゃんと案内は出来たんだね、ふふっ。お疲れ様」 【北月】 「あ、案内くらいは出来るって! ……ちょっとだけ迷いそうにはなっちゃったけど」 /SE:襖を閉める音 【篠葉】 「ふふっ、だろうと思った。それで、お客様への説明はもう終わった?」 【北月】 「う、うん……。温泉の場所、ご飯のこと、お出かけする時の注意……。でも、なんかあと忘れてるような気がして……」 【篠葉】 「もう……まぁ、普段は隠してるから、忘れるのもしょうがないけどね。……まずは見てもらったほうが早いし……えいっ」 【北月】 「わ、わわ……ちょっとお姉ちゃん、耳、耳! お兄さんに見られたらまずいんじゃ……」 【篠葉】 「これを出しておかないと、おもてなしが出来ないからねー。ほら、北月も出していいよ?」 【北月】 「ほ、本当に? 見られちゃってもいいの? それじゃあ……んしょっと……」 【篠葉】 「ふふ、驚かせちゃってすみません。……この耳、変じゃないですか? ふふっ、形を見れば分かると思いますけど、狐の耳なんです」 【篠葉】 「私達姉妹は……というか、旅館の従業員は、全員狐の末裔……。妖狐って言えば、なんとなーく聞いたことがありませんか?」 【篠葉】 「ふふっ、今は昔と違って、妖怪と人の境界線が明確に分かれてしまったんですよね。しかも人間の住む場所が、どんどん広がってきちゃいまして……」 【篠葉】 「それで、少しでも生活できる範囲を広げようと、一族で旅館を営むことにしたんです。勿論、出来るだけ人間には悟られないように」 【北月】 「だ、だよね……普段からぜーったいに見せちゃいけないって教わってたのに。なのにどうしてここでは出しちゃっていいの? やっぱり隠しとかなきゃ駄目なんじゃないの?」 【篠葉】 「あぁ、そっか。北月にはまだ教えてなかったもんね、というか色々と未熟だし……。ま、大丈夫だって、安心して? こうやってお兄さんに教えとくのも必要なことだから」 【篠葉】 「ってことで……もし私達のことが怖かったりしなければ……このまま泊まってくれると嬉しいんですよね」 【篠葉】 「最近はお客さんも少ないし、北月もそろそろ女将として働かなければいけない時期だから、色々教えてあげないといけませんし……」 【北月】 「あ、あの、ネットで旅館のことを知ったってことは、評判はすっごくいいの知ってますよね? 料理も美味しいし、温泉も凄く気持ちいいって……」 【北月】 「だから……泊まって貰えると、私も嬉しいです……。さっき話してて、お兄さんのこと……いい気分で休んでもらいたいなーって思いましたし……」 【北月】 「あの、どうですか……? 私達が狐とか関係なく、泊まって貰えますか? ……あ、いいんですか? あはっ、ふふ、ありがとうございます!」 【篠葉】 「ふふ、よかったね。それじゃあ、初めてのお客さんだし、しーっかりおもてなししてあげること、いい?」 【北月】 「え、おもてなしって……。ちゃんと普通に接客するつもりだけど……」 【篠葉】 「そうじゃなくて。もう、当旅館にしか出来ない特別なおもてなしがあるでしょ? この前教えたばかりじゃない」 【北月】 「あっ、そうだった……。ごめん、そのこと完全に忘れてた……」 【篠葉】 「ま、こうして接客するの初めてだし、今日だけは、ちょっと忘れるくらい平気だから」 【篠葉】 「むしろ、北月が失敗しても大丈夫なように、こうして私がいるんだから。……というわけでお兄さん、当旅館の特別なおもてなしについて、お話させて頂きますね」 【篠葉】 「この旅館では、宿泊してくださったお客様に心から満足して貰えるように、様々なサービスを施すことになっております」 【篠葉】 「具体的な内容は、耳かきやマッサージ、そしてお風呂での洗髪などですね。……ふふっ、ドキッとしましたか? 勿論、洗髪する時は、お風呂にご一緒させて頂きます」 【篠葉】 「もしお客様が、お風呂では1人でゆっくりしたい、とお考えであれば、勿論お断りされても構いません。そこはお兄さんの自由です」 【篠葉】 「他のサービスも同様で、特に必要ないというのであれば、しなくても構いません……ですも、私個人の話になっちゃいますが……」 【篠葉】 「北月が直接お客様をお世話するのは、今日が初めて。しかも他のお客様も少ないので、私も付きっきりで色々と教えることが出来るんです」 【篠葉】 「だから出来れば、お兄さんには是非おもてなしを受けて欲しいなー……なんて思ってるんですけど……いかがでしょうか?」 ;ボイス位置:1 一気に近づく 【篠葉】 「私達のサービス……受けて貰えませんか? せめて一番人気がある耳かきだけでも、しっかりと教えてあげたいんです。お願いします」 【北月】 「あ、わ、私からもお願いします。あの……おもてなしとか初めてで、満足させられないところもあるかもしれませんけど……」 【北月】 「でも……初めてだからこそ、やってみたいんです。お客さんに満足して貰うことが、どんなに嬉しいことか、知りたいんです……」 【北月】 「だから……お姉ちゃんと一緒に、お兄さんのお世話をさせてください。お願いします」 【篠葉】 「どうでしょうか。たまにポカはしちゃいますけど、やる気だけはちゃんとあるんです、この子」 【篠葉】 「どんなおもてなしをすれば喜んでもらえるかはしっかり教えますし、北月が至らないところは、私がフォローします」 【篠葉】 「だから……気軽な気分で、おもてなしを受けて貰えませんか? ふふっ、後悔だけは絶対にさせませんので。……どうでしょうか?」 【篠葉】 「……ふふふ、体験してくれるんですね? ありがとうございます」 【北月】 「あはっ、いいんですね? 本当に本当にいいんですね? ふふっ、分かりました。私、精一杯頑張りますっ」 【篠葉】 「この旅館では、このおもてなしをこなせてこそ一人前、というしきたりがあるんです。ふふっ、北月ってば、相当楽しみだったらしくて」 【北月】 「えへへ、やっぱり働いているからには、ちょっとかっこつけたいなーってどうしても思っちゃうんですよねー」 【篠葉】 「やる気があるのは結構だけど、空回りしたりしないでね? お兄さんのことを傷つけたりしたら、またお皿洗いから出直しだから」 【北月】 「うへぇっ……そ、それはもうやだぁ……。うぅ……し、慎重かつ丁寧に頑張ります……」 【篠葉】 「むしろそれくらいが丁度いいの。あんまり力を入れてご奉仕すると、逆効果なんだから。……ってことで、まずは私がお兄さんにおもてなしをしてあげるから、それを見ててね?」 【北月】 「うん……やり方、ちゃーんと覚える。だって次は私がやるんだし、一から十まで覚えておかないと」 【篠葉】 「ふふっ、そういうわけで……お兄さん? まずはこちらに来てもらえますか? 私の膝に頭を乗せてください」 【篠葉】 「……ふふっ、こんな小さな女の子……しかも狐の子に膝枕をされるのは、抵抗がありますか? 安心してください、北月ならともかく、私はもう慣れていますので」 【篠葉】 「だから遠慮はしないで、こちらへどうぞ。……この旅館では、そういう気遣いは無用です。ただ楽になって……身も心も、私達に委ねてください、ふふっ」