Track 6

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夏掛け、添い寝

;FI 環境音 湖畔、夕方、虫の声 ;3 「ん……(呼吸音)」 ;SE うちわパタパタ 「……すずし、きもちい。 オッカイ、うちわ、ありがとねぇ。 蓮の葉っぱのうちわはさ、匂いもよくて、しあわせだねぇ」 ;パタパタ 「あ……そうだオッカイ。喉かわいてない? 夏掛けとってくるときにねぇ。 えへへっ、パロポロ――じゃーん」 「いいでしょう。スイカズラの花。 オッカイも、蜜のむ? のむんだったら、パロポロより先にのんでいいよ?」 「のみかた、わかる? うん――そこの細い部分から、ちゅーって」 「そうそう、蜜、あまーいから、安心して? ふふっ――(呼吸音)――どう? ね? だよねぇ。あまーいよねぇ」 「それにさ、へへへっ。きっと普段のオッカイだったら、ものたりないって思うだろうけど―― このおっきさだと、コロポックルの体のサイズにちちんでるとさ、なかなか、吸いごたえあるでしょー」 「え? もういいの? したっけ、パロポロ、残りのむねー」 「ん……(ちゅうっ、ちゅう、ちゅうううっ――こくっ)……ん……ふぁ――おいし――あっ」 ;↓間接キスに気づいた 「え!? ううん――な、なんでもないべさ…… なーんも……(呼吸音)――うん…… パロポロ、なーんも……気にして、ないさ…… (自分の唇を指先でそっと撫でる)」 「だた……ね? へへっ―― 今日の蜜――いっつもよりも――甘いなぁ、って―― はぅ……(呼吸音)」 「って、なんでオッカイも赤くなるべさ―― え? 『なんでもない』? よね――うん。 なんでもない、なんでも――(呼吸音)――」 「なんでもないのに、ふぁぁ、なんだか、顔、暑いねぇ。 夕方の風も、水音も、こんなに涼しいのに――あっ」 「ふふふふっ――マレウレウ……ちょうちょ、クロアゲハ。 いいとこで、羽をやすめてくれたねぇ」 「くらぁくなって……うふふふふっ……アゲハの羽がゆっくりゆっくりぱたぱたすると――ん……(呼吸音)―― ゆっくりゆっくり、涼しい風にくすぐられるねぇ」 「ん……ふぁ……ん。 ね? おっかい――涼しくなったぶんだけさ―― もうちょこっとだけ――寄ってもいぃい?」 「えへへっ。ありがと。したっけ――(呼吸音)」 ;7 密着 「あ――オッカイのにおいがするねぇ、いい匂い」 「おひさまの匂いと、汗の匂いと……オッカイの―― シャンプー、せっけん? の、まじったにおい」 「なんだかおちつく――(呼吸音)――オッカイに―― つつまれてるみたいな感じする……」 「えへへへへっ――(呼吸音)―― クンネレカムイ、ふくろうの羽にうずもれて、眠るときより――もーっと安心で、あったかだべさ……え?」 「あ、うん――たまぁに、ね? 台風ビュービューだったり、雷ごろごろだったりで、 ひとりぼっちじゃ怖い夜は、さ」 「クンネレカムイは、いつでもコロポックルの味方だから。 茂伸のクンネレカムイもおんなじだから…… 怖い夜には、パロポロのおうちにきてもらって―― 羽にうずもれて、眠ったり……ときどき」 「え? 『うらやましい』って―― えへへっ、ちょべっともうらやましがることなんてないさー。 オッカイだって、クンネレカミムイの羽をおふとんにしてねむれるんだから」 「うん、そう。クンネレカムイ、アイヌ―― んと、人間のことも好きだから。 パロポロから頼んだら、オッカイのこと絶対に、羽につつんで眠らせてくれる……あ」 「したっけ、ね? 夜になったら、一緒に背中にのせてもらおう? えへへへへっ、オッカイとパロポロふたりでさ、夜の森の上、月と星の下――すべるみたいにとんでもらうの、きっととっても――しあわせだべさ」 「え? 『それも誰でも頼めるの』って…… うん、頼めるさ。 さっきもいったとおりに、ええと……クンネレカムイ―― 人間のこと……大好き、だから」 「ええと――でも、あの―― オッカイ……ね? その――誰か、他に…… パロポロとじゃなく――一緒に、乗りたい、誰かが……いる――え? 『そうじゃない?』」 「そうじゃなくって? ……うん……うん……うん―― ふぁ」 「え? あ――アイヌって、人間って―― ただ、乗せてもらって飛ぶだけでももう、うれしいの? それが――新しいいやしになるの?」 「だからオッカイも、さっきそこらのヤヤン・コペチャ――マガモの背中にのっかってあんなにはしゃいでたの?」 「へぇえ、そうなんだー。 パロポロそんなの、夢にも思ってなかったさー」 「あ、じゃあさ、そしたらさ。 ケロこの背中にのっかって、水をすーいすいわたってもらうのとかも―― あ、そうなんだ。そんなのも、あたらしい癒やし体験になるんだ」 「うん……うん……フィールドアスレチック? って―― ああ――お外で遊ぶ遊園地」 「え? ぎったんばっこんも簡単につくれる? あ、そうだよね。オッカイ、普段は人間なんだもんね。 あのおっきな手なら、コロポックルの大きさの遊び場なんて、いくらでもかんたんにつくれるよねぇ」 「したっけ――したっけ――したっけ、オッカイ。 オッカイが、もし、イヤでなければ―― あ――」 「オッカイの方から、いってくれるの? うん……うん――(呼吸音)――うん―― えへへへへっ」 「オッカイがいろんな遊びどころをつくって、 パロポロがポンポンアイヌの術をつかって、 人間のお客さんをちっちゃくして」 「それで遊んでもらったり、いろんなカムイとかコペチャの背中にのってもらって、冒険したり」 「うん、それ、たのしそう。 たのしそうだし――いまよりもっと、素敵ないやしを、お客さんにとどけてあげられそう」 「それに……えへへ」 ;7 密着ささやき 「……そうできたらさ。 毎日ずうっと――おっかいとパロポロ、ずっと、一緒にいれるべさ」 ;7 密着 「えへへへへっ――ん――あ――(あくび)――あぅっ」 「汗かいて、あたまつかって、甘い蜜すって、うれしくて、安心して、暗くて、涼しくて…… ん――パロポロ……なんだか、ちょべっとねむたくなってきちゃった――」 ;SE うちわパタパタ 「あ……ありがと。けどね? パロポロ、もう十分に涼しいから――さ」 ;SE 手をにぎる 「うちわじゃなくって、パロポロの手…… つかまえててくれたほうが、うれしいべさ」 「ん……(呼吸音)――オッカイの手、あったかいねぇ――安心するねぇ――(呼吸音)――」 「したっけ、いまは、ね? いっしょにねむろ? 寝て起きたら、また――フィールドアスレチック? のこと、たくさんたくさん、たーくさんはなそ?」 「ん……えへへへへっ―― おやすみなさい。ピリカ・オッカイ。 おんなじゆめを、きっとみようね? ――(あくび)」 「ん……ふっ――ん――(呼吸音)――」 「ん……(寝息)……(寝息)……(寝息)」 「(寝息)……(寝息)……(寝息)」 「(寝息)……(寝息)……(寝息)」 「(寝息)……(寝息)……(寝息)」 ;環境音。F.O. ;無音 ;おしまい

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