左耳のお掃除
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「えへへっ、それじゃあ、
左のお耳も、ちょこーっとだけ引っ張るねー? ん……<耳に触れる>」
「このくらいなら、平気……かな?
ん――<耳を引っ張る>――どう? オッカイ」
「へへへっ、平気ならよかったさー。
したっけ、左耳、耳かきするね~。
ん……<耳かき音>」
「あれ? こっちの方がよごれてるねー――<耳かき音>――なんで、かな? <耳かき音>――ん……」
「あ、そっか。さっきお耳のお水とるため――<耳かき音>――こより丸めて、お耳の中にいれたもんねぇ――<耳かき音>」
「したっけあれも……ん……<耳かき音>――
結構効果、あるんだねぇ――<耳かき音>――え?
『自分ひとりで耳掃除するときは、いいかも――』って……(呼吸音)」
「むぅ~オッカイの耳掃除は、パロポロがしてあげるさぁ。
ひとつきに一度でいいんだもの。一回自分で耳掃除したら、また会えるの、もう一月さきになっちゃうし……
もったいないべさ」
「え? あ……ん―――<耳かき音>――
どう、かな……<耳かき音>――
さっきも、ちょべっといったけど……(呼吸音)――
パロポロ、さみしくないんだよ?」
「すなまきだぬきと……<耳かき音>――ユキさんの他にも……<耳かき音>――お紺さんっていう、洗濯狐(せんたくきつね)のお友達もできたし――<耳かき音>」
「あ。洗濯狐っていうのは――<<耳かき音>>――ん。
その名の通りのあやかし……<耳かき音>だよぉ。
川でじゃぶじゃぶお洗濯する、野狐(やこ)……(呼吸音)――ん――バケギツネの、一種」
「もちろんお洗濯大得意だから……<耳かき音>――
お洗濯屋さん……<耳かき音>――してるの、さー。
パロポロのチカルカルペとかアットゥシとかもね――(呼吸音)――ん……こーんなにちっさいのに、綺麗にお洗濯……<耳かき音>――してくれて……」
「あと、ね? ほかにもね? ん――<耳かき音>
えみちゃんっていう、半妖――<耳かき音>――人間と妖怪の間に産まれた、かわいいかわいいことも、おともだちになったから――<耳かき音>」
「したっけ、さみしいことなんて――<耳かき音>――
、全然……(呼吸音)――うん。
ぜんぜん、ないの。
茂伸、とってもとっても、いいところだから」
「だけど――<耳かき音>――さみしくなくたって――
<耳かき音>――オッカイとはまた……
またすぐにだって、会いたいなぁって思うんだぁ……
それが――ん――(呼吸音)――」
「それが、どうしてか、パロポロにもよく……
わかんないけど……(呼吸音)――
したっけ、今日もさ――今日も――さぁ<耳かき音>」
「……耳かき……終わって――<耳かき音>――
日が暮れたら、さ――オッカイ、また……
どっかにいっちゃうんだって……ふっと、思って――(呼吸音)――」
「したっけさぁ、胸がぎゅーって、いたいみたいに、苦しいみたいになっちゃって……(呼吸音)――
さみしくないのに、ないはずなのに……ん……(呼吸音)――さみしい、みたいに……なっちゃって――」
「したっけ……パロポロ――(呼吸音)――
オッカイの耳かき――あ……っと――<耳かき音>――
ちょっとまって――<耳かき音>――
ん……<耳かき音>――」
「<耳かき音>……(呼吸音)――<耳かき音>――(呼吸音)――<耳かき音>――ん……っと、さ……(呼吸音)」
「えと……<耳かき音>オッカイの……耳かき……(呼吸音)――
来月も――その次の月も――その次も――<耳かき音>
パロポロがしてあげたいなぁって……(呼吸音)――思う、べさ」
「って、あぅ……あの……ごめんねぇ、なんだか急に、変な話とかしちゃってさ――
ん――<耳かき音>――
ふ……<耳かき音>――
んっ――<耳かき音>――あ」
;7 顔寄せ、つぶやき
「(ふーーーーっ!)
ん……うん――
お耳、綺麗に……
なっちゃった――」
;7
「おまたせ、オッカイ。
耳かき、こっちもおわったさー。
したっけ、えっと……えっと――ええっと――
なんか――ほかの――(呼吸音)――いやしとか――
冷やし――ひゃっ!?」
;1 密着
「ど、どしたの? オッカイ。
急に、パロポロのこと……その――えと――
ぎゅーって、して――さ」
「え? ――オッカイも? ――わ……
オッカイも、もっとパロポロに、あいたいの?」
「毎月どころか――毎週だって、毎日だって?
わ……わわ――うれしい――あ、けど――
けどね、オッカイ。そんなにたくさん耳かきしたら――
え?」
「耳かきも冷やしも関係なしに?
ただ――会いたいから――会いたい――
あ……(呼吸音)」
「……うん。んと、ね? パロポロも、なの。
オッカイとね? パロポロ――(呼吸音)――
耳かきも、冷やしも、なんにも――(呼吸音)
用事がなくても……話すことがもしもなくても……(呼吸音)――会いたい、の」
「……うん。……うん。――うん。
えへへっ、んだね。オッカイとパロポロ、お客さんとお店の人でなく、お友達どうしだもんねぇ――
お友達同士なら、用事がなくても話がなくても、えへへへ――だよね、毎日だって、会うよねぇ」
「んふふふふ~、パロポロ、なまらうれしいべさー。
うれしくてうれしくて……あうっ――あの……(呼吸音)
あの、ね? オッカイ」
「その――ええと――ぎゅーって、されるの――気持ちよくって、しあわせだけど……そのええと……なんだか、どんどん、ポーってしてきて……顔が、暑くて――(呼吸音)」
;1 (密着解除)
「あ……ぎゅーって……はなれ、ちゃった――(呼吸音)
すごくすずしい……けど――さみしい、なぁ――
ん……(呼吸音)」
「あの……ね? おっかい。
パロポロ、あつくて――(呼吸音)――だから、ね?
もし、オッカイがいやじゃなければ……(呼吸音)」
「パロポロ、さ。東屋んとこに、夏掛けしまってあるからさ……
ん……(呼吸音)――オッカイが――もしも、イヤでなければ――」
「あ――うん。うん。
えへへへ~――うれしい。ありがと、オッカイ」
「したっけ、ね? お昼をすぎたら蓮のお花がしぼんでつぼみにもどるから、それを枕に――
涼しいところで、お昼寝、しよう?」
;環境音 FO