Track 5

左耳のお掃除

;7 「えへへっ、それじゃあ、 左のお耳も、ちょこーっとだけ引っ張るねー? ん……<耳に触れる>」 「このくらいなら、平気……かな? ん――<耳を引っ張る>――どう? オッカイ」 「へへへっ、平気ならよかったさー。 したっけ、左耳、耳かきするね~。 ん……<耳かき音>」 「あれ? こっちの方がよごれてるねー――<耳かき音>――なんで、かな? <耳かき音>――ん……」 「あ、そっか。さっきお耳のお水とるため――<耳かき音>――こより丸めて、お耳の中にいれたもんねぇ――<耳かき音>」 「したっけあれも……ん……<耳かき音>―― 結構効果、あるんだねぇ――<耳かき音>――え? 『自分ひとりで耳掃除するときは、いいかも――』って……(呼吸音)」 「むぅ~オッカイの耳掃除は、パロポロがしてあげるさぁ。 ひとつきに一度でいいんだもの。一回自分で耳掃除したら、また会えるの、もう一月さきになっちゃうし…… もったいないべさ」 「え? あ……ん―――<耳かき音>―― どう、かな……<耳かき音>―― さっきも、ちょべっといったけど……(呼吸音)―― パロポロ、さみしくないんだよ?」 「すなまきだぬきと……<耳かき音>――ユキさんの他にも……<耳かき音>――お紺さんっていう、洗濯狐(せんたくきつね)のお友達もできたし――<耳かき音>」 「あ。洗濯狐っていうのは――<<耳かき音>>――ん。 その名の通りのあやかし……<耳かき音>だよぉ。 川でじゃぶじゃぶお洗濯する、野狐(やこ)……(呼吸音)――ん――バケギツネの、一種」 「もちろんお洗濯大得意だから……<耳かき音>―― お洗濯屋さん……<耳かき音>――してるの、さー。 パロポロのチカルカルペとかアットゥシとかもね――(呼吸音)――ん……こーんなにちっさいのに、綺麗にお洗濯……<耳かき音>――してくれて……」 「あと、ね? ほかにもね? ん――<耳かき音> えみちゃんっていう、半妖――<耳かき音>――人間と妖怪の間に産まれた、かわいいかわいいことも、おともだちになったから――<耳かき音>」 「したっけ、さみしいことなんて――<耳かき音>―― 、全然……(呼吸音)――うん。 ぜんぜん、ないの。 茂伸、とってもとっても、いいところだから」 「だけど――<耳かき音>――さみしくなくたって―― <耳かき音>――オッカイとはまた…… またすぐにだって、会いたいなぁって思うんだぁ…… それが――ん――(呼吸音)――」 「それが、どうしてか、パロポロにもよく…… わかんないけど……(呼吸音)―― したっけ、今日もさ――今日も――さぁ<耳かき音>」 「……耳かき……終わって――<耳かき音>―― 日が暮れたら、さ――オッカイ、また…… どっかにいっちゃうんだって……ふっと、思って――(呼吸音)――」 「したっけさぁ、胸がぎゅーって、いたいみたいに、苦しいみたいになっちゃって……(呼吸音)―― さみしくないのに、ないはずなのに……ん……(呼吸音)――さみしい、みたいに……なっちゃって――」 「したっけ……パロポロ――(呼吸音)―― オッカイの耳かき――あ……っと――<耳かき音>―― ちょっとまって――<耳かき音>―― ん……<耳かき音>――」 「<耳かき音>……(呼吸音)――<耳かき音>――(呼吸音)――<耳かき音>――ん……っと、さ……(呼吸音)」 「えと……<耳かき音>オッカイの……耳かき……(呼吸音)―― 来月も――その次の月も――その次も――<耳かき音> パロポロがしてあげたいなぁって……(呼吸音)――思う、べさ」 「って、あぅ……あの……ごめんねぇ、なんだか急に、変な話とかしちゃってさ―― ん――<耳かき音>―― ふ……<耳かき音>―― んっ――<耳かき音>――あ」 ;7 顔寄せ、つぶやき 「(ふーーーーっ!) ん……うん―― お耳、綺麗に…… なっちゃった――」 ;7 「おまたせ、オッカイ。 耳かき、こっちもおわったさー。 したっけ、えっと……えっと――ええっと―― なんか――ほかの――(呼吸音)――いやしとか―― 冷やし――ひゃっ!?」 ;1 密着 「ど、どしたの? オッカイ。 急に、パロポロのこと……その――えと―― ぎゅーって、して――さ」 「え? ――オッカイも? ――わ…… オッカイも、もっとパロポロに、あいたいの?」 「毎月どころか――毎週だって、毎日だって? わ……わわ――うれしい――あ、けど―― けどね、オッカイ。そんなにたくさん耳かきしたら―― え?」 「耳かきも冷やしも関係なしに? ただ――会いたいから――会いたい―― あ……(呼吸音)」 「……うん。んと、ね? パロポロも、なの。 オッカイとね? パロポロ――(呼吸音)―― 耳かきも、冷やしも、なんにも――(呼吸音) 用事がなくても……話すことがもしもなくても……(呼吸音)――会いたい、の」 「……うん。……うん。――うん。 えへへっ、んだね。オッカイとパロポロ、お客さんとお店の人でなく、お友達どうしだもんねぇ―― お友達同士なら、用事がなくても話がなくても、えへへへ――だよね、毎日だって、会うよねぇ」 「んふふふふ~、パロポロ、なまらうれしいべさー。 うれしくてうれしくて……あうっ――あの……(呼吸音) あの、ね? オッカイ」 「その――ええと――ぎゅーって、されるの――気持ちよくって、しあわせだけど……そのええと……なんだか、どんどん、ポーってしてきて……顔が、暑くて――(呼吸音)」 ;1 (密着解除) 「あ……ぎゅーって……はなれ、ちゃった――(呼吸音) すごくすずしい……けど――さみしい、なぁ―― ん……(呼吸音)」 「あの……ね? おっかい。 パロポロ、あつくて――(呼吸音)――だから、ね? もし、オッカイがいやじゃなければ……(呼吸音)」 「パロポロ、さ。東屋んとこに、夏掛けしまってあるからさ…… ん……(呼吸音)――オッカイが――もしも、イヤでなければ――」 「あ――うん。うん。 えへへへ~――うれしい。ありがと、オッカイ」 「したっけ、ね? お昼をすぎたら蓮のお花がしぼんでつぼみにもどるから、それを枕に―― 涼しいところで、お昼寝、しよう?」 ;環境音 FO