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おかえりー。人間。
んー? どうかしたかー? なんか、暗い顔してるなー。
余の配下の魔物だって、そこまで暗い顔はしてなかったぞー?
何か、仕事で嫌なことでもあったのか?
ふふ。
うん、いいよ。
余の胸の中に来なー?
うん。ぎゅーーーーーー……。
よーし、よーし。よし、よし。
よーく頑張ったなー。偉いぞー。
それで、何がそんなに辛かったんだー?
話せないことかー? そうだったら、無理には聞かないがー。
でも、言うだけで気が楽になるってこと、あるだろー?
余、別に誰かに言いふらしたりなんてしないからさー。
よかったら、言うだけ言ってみろー?
ふんふん。ふんふん。
へー。そんなことがなー。ふーん。
ふんふん。ふんふん。
なるほどなー。
んー。人間ってすごいなー。
そんなに嫌なことされたのに……人間にそんなことした奴、なんで燃やさないんだー?
余だったら、塵も残さないんだがー?
今度、余が代わりに燃やしてやろーかー? 世話になってるから、それくらいはしてやるぞー。
……やらなくていいのか? そっか。
んー。でも、人間、それだとスッキリしないだろー?
じゃあさ、今度、そいつの髪の毛とか、よく身に着けてる持ち物とか、持って帰ってきなー?
そうすれば、余、そいつに呪いかけてやるから。死にはしないけど、一か月くらい、いい感じに苦しめられるやつー。
うん。もし人間が望むんだったら、いつでも言ってこいー? 余、人間のためなら、結構色んなことしてやるぞー。
まあ、それはともかく。
ほんっとに、よーく頑張ったなー。
えらいぞー。えらい、えらい。
文句一つ言わずに働くなんて、人間は、ほんとに偉いなー。
この国の仕事ってのは、大体、嫌だったり大変だったりするのが多いんだろー?
なのに人間は、毎日毎日、決まった時間に起きて、きちんと会社に行ってるもんなー。
それ、魔王的にもすごいことだって、余、思うぞー。
余の配下たち、魔物だけあって、魔王城に出勤してくる時間とかめっちゃ適当だったしなー。
人間がどんなに怒られたって、どんなに否定されたって……真面目に仕事してるだけで、偉いって思うぞー。
でも、少しくらい文句言ったっていいんだぞー?
余だって、配下から待遇についてめちゃくちゃ文句言われてたしなー。魔物、そういうとこ、めっちゃ容赦ないからなー。
まー、人間の立場的に、どうしても言いづらい、っていうのは分かるけどなー。
そんなときは、すぐに余に言えよー? 余、できる範囲で何とかするからー。
あと、“ぎゅー”は、いつでもしてやるからなー?
余って、この国の中だと、結構おっぱいおっきいほうなんだろー? おっぱいにフカフカ埋まってたら、人間も嬉しかろー?
人間の気が済むまで、好きなだけぎゅーってしてていーからなー。
仕事中も、辛くなったらいつでも余のとこに帰ってこいよー? すぐにぎゅーってしてやるからなー♪
ぎゅーーーー。
よーし、よーし。
よーく頑張ったなー。
えらいぞ、人間。
えらい、えらい。
すごいぞー、人間。
余の前では、なーんにも頑張らなくていーからなー。
人間の年齢は、人間的には、もう大人なのかもしれないけど……
余にとっちゃ、生まれたての赤子みたいなもんだからなー。
だから、余を、母だと思って甘えるんだぞー。
子どもは、母親の前で見栄を張ったりしないからなー。
ほーら。体の力、抜けー?
人間の体は、余が全部支えてやるから。体重、ぐってかけていいぞ。
で、胸に頭、埋(うず)めてなー?
ぎゅーーーーーーー。
よーし、よーし。
よし、よし、よし。
いーこ、いーこ。
えらい、えらい。
よーーし……よーーし♪
……んー? もう大丈夫?
ふふ。嘘つくの下手だなー、人間は。
遠慮するなー♪ いーんだぞー。このまま、一時間でも二時間でも。一日でも二日でも♪
ずーっと、余に甘えてなー?
よーし……よーし……。
よし、よし♪
偉いぞー、人間は、ホントに偉いぞー♪
ふふっ♪