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先輩、お疲れ様です! お疲れでしょうし、肩揉みは如何でしょうか?

「あっ、先輩、お疲れ様です」 「……鼻歌……聴かれてしまいましたね、少し恥ずかしいです」 「先輩がそろそろお風呂から帰ってくると思ったら、つい嬉しくて……」 「やはり一日の疲れを癒すにはお風呂に限りますよね! シャワーだと少しだけ物足りなさを感じてしまいます」 「『あ゛ー』と言いながら湯に浸かる、それだけで明日も頑張ろうという気になったりもしますよね、先輩」 「あ、い、いえいえ、一番風呂はやはり先輩のものです。先ずは疲れている先輩からお風呂に入って頂かないと!」 「それに……先輩の後のお風呂は……先輩の空気とかそういうのが感じられて好き――」 「…………」 「……こ、こほん。今のは聴かなかったことにしてください、先輩」 「と、いうわけで……先輩、どうぞこちらに腰を」 「…………」 「えーっと……お疲れでしょうし、肩でも揉んであげようかな、という私なりの気遣いです」 「それに……私の楽しみでもありますからね、先輩の肩揉みをするの」 「ですので、遠慮せずにこちらにどうぞ」 「ふふっ、有難う御座います。遠慮しつつもちゃんと私の言うことを聞いてくれて、先輩は本当に優しいです」 「では、先輩の肩、失礼しますね。揉み方が弱過ぎたり強過ぎたりしたら言って下さい」 「先輩の肩……いつも頼り甲斐があって大きく見えるのに……実際に触っているとこんなに細くて柔らかいんですね」 「それに……さらさらでふんわりした髪からふわっと感じられる良い匂いも……」 「……と、この話は毎回してしまっている気がします。すみません、先輩」」 「……んっ……しょっ……と。やっぱり肩、凝っていますね。先輩は少し頑張り過ぎな気がします」 「もう少し肩の力を抜いて――と言っても、それでも先輩は頑張ってしまうのでしょうけれど……」 「それでも私は、もう少し肩の力を抜いて頑張って欲しいなあと思います」 「……肩の力を抜いて頑張って、というのも変な表現ですね」 「ですが敢えて言わせて下さい。もう少し肩の力を抜いて頑張ってください、と」 「……だってほら、先輩の肩、こんなに凝ってるんですから」 「肩こりの原因の1つにストレスもあるといいますし、やっぱり少しは肩の力を抜くべきですよ、先輩は」 「頑張っている先輩の姿を見ているのは大好きですが……あまり無理をして欲しくない、というのも本音ですから」 「ですので、やはり先輩はもっと肩の力を抜いて――」 「…………」 「……このままでは同じお話を延々と続けてしまいそうです」 「……先輩が肩の力を抜いて頑張れるように、私も……もっともっと成長して、先輩の力になれるように頑張らないと! ですね!」 「まだまだ未熟で先輩の足を引っ張ってしまうことも多いですが……出来る事からコツコツと、です」 「というわけで……今は、肩揉み、一生懸命頑張らせて頂きます!」 「……よいしょ……っと……うんしょ……っと……」 「……この辺が少し……凝ってるような……」 「……先輩? 肩の揉み心地は如何でしょうか?」 「痛くはありませんか? 揉まれて苦しくなったりは……」 「……していないのでしたら良かったです。私としても大満足です」 「私の手の力だとちょっと物足りなさを感じてしまうかと思いますが……肩に限らず、マッサージは強すぎずに行うのが良いと見たことがあります」 「なんでも、あまり強くしすぎてしまったり、下手にマッサージをし過ぎてしまうと『揉み返し』というのが起こってしまい余計に辛くなってしまうのだとか」 「……強く、は私の握力ではなかなか厳しいかもしれませんが、下手にですとちょっと自信が……」 「肩揉みなんて、先輩の肩をお借りしたことくらいしかありませんし……一応、あれやこれやと調べてイメージトレーニングはしているのですが……」 「先輩? 私の肩揉みは……大丈夫でしょうか? 後で実は肩が辛くなっていたりなどは……ありませんか?」 「有難う御座います。先輩は優しいのでそう言ってくれると信じていました」 「先輩は冗談は言っても嘘は……きっとつかないはずなので『私のマッサージは下手ではない』ということにして自信を持っておきますね」 「といっても、先輩以外の肩を揉む予定は今のところさっぱりありませんけれど」 「そういえば先輩? いつもこうして肩揉みをさせて頂いていますが……こう……先輩から何か他にリクエスト等は、あったりしないでしょうか?」 「先輩はいつも満足と言ってくれますが、やはり毎回肩揉みだけですとこう……マンネリ? 倦怠期?に入ってしまいそうですので」 「なので、何か他に要望があれば遠慮せずにお願いします。善処致しますので!」 「大丈夫ですよ、先輩。ちゃんと肩の他にも各種マッサージ等は予習済みですので、要望には応えられると思います!」 「というわけで先輩? ご要望を何なりとどうぞ!」 「……ふ、ふむふむ…………ふむ?」 「……お耳……ですか? それは耳の周辺をリンパマッサージする、というようなものでしょうか? それだったら私も見たことがありますが――」 「こう……お耳の周囲を指で揉み解したりなぞったり――」 「……あら、そのようなマッサージではなく、ですか? ではどのようなマッサージなのでしょうか」 「……ふむ……ふむふむ……」 「……な、なる……ほど……? さ、さすが先輩です。それは私も知らないマッサージです」 「先輩の仰る耳攻め?マッサージ?というのがどのようなものかイマイチ分からないので、あまり上手く出来るか分からないですが……先輩の疲れを癒すため、労を労う為に一生懸命頑張らせて頂きます!」 「……というわけで……先輩? 肩のほうも大分解れてきましたし……先輩のリクエストの『お耳のマッサージ』に移ろうかと思いますが――」 「あっ、解れてきたというのは私の手の感覚で分かる範囲で、ということなので、もうちょっと肩揉みを、というのでしたら続けても構いませんよ?」 「先輩、どうします? 肩揉み、続けます? それとも……」 「ほっ。耳攻めに移行して良い、ということはちゃんと肩揉みに満足して下さった、ということですね。良かったです」 「では、肩揉みはこれぐらいにして……」 「……えーっと……それでは、先輩? お耳攻め――耳へのマッサージ、させて頂きますね」 「……これをマッサージと言って良いのか、とても疑問の残るところではありますが……」 「先輩がマッサージと言うのであれば、きっとマッサージなんでしょう」 「先輩の仰ることでしたら間違いがありませんからね、先輩♪」 「と言うわけで、先輩? 先ずは……どのようにすれば良いか教えて頂けると助かります」 「少々お時間を頂けるのであれば、動画等で流れを確認させて頂きますが――」 「あっ、有難う御座います! さすが先輩です! 先輩が教えてくれるというのなら、これ以上に勉強になることはありません!」 「それでは先輩? お耳へのマッサージというのがどのようなものか私に教えてください」 「あまり自信はありませんが……私、頑張って覚えます!」 「えーっとまずは……」 「ふむ……ふむふむ……」 「……ふむ? ……ふむぅ……ふ……ふ、ふむ……ふむ……」 「……え、えええっ……そ、そんなことまで……ふ、ふむ……ふむ……ふむ……」

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