Track 12

リリフローラ怒りのちりめんじゃこ

リリフローラ:  ……別に怒ってません。  なんであたしが怒ってると思うんですか。怒る理由がありません。  昨日、あなたとドクター・エリスがイチャイチャしてたことですか?  なんでそんなことであたしの顔色を窺うんですか。変ですよ。  別にイチャイチャしてたっていいじゃないですか。ドクター・エリスも、あたしと同じセクサロイドなんですから。  あなたが好きな方を使えばいいんじゃないですか。  あなたはやっぱり、ドクター・エリスみたいな頼りになる大人の女性が好きなんですよね。  あたしはドクター・エリスとは正反対の子供っぽいセクサロイドですから、無理にあたしを使わなくてもいいですよ。  こんな……一人じゃ頼りなくて、味があるのかどうかも分からない、チリメンジャコのような女……。  ドクター・エリスは凄いですよね。自分もセクサロイドなのに、あたしを作り上げたんですから。  頭いいです。あたしとは違います。  ドクター・エリスは誰が作ったんでしょうね。  そういえばドクター・エリスは、よく寝言でマグノリアがどうとか言ってますけど、マグノリアってなんでしょうね。  昨日なんか、寝言で寂しそうに何度も呟いてましたよ。  大方、ドクター・エリスを作った人間の名前かなんかじゃないですか。知りませんけど。  ドクター・エリスは、マグノリアとかいう人をあなたに重ね合わせてあんなことをしたんじゃないですか。知りませんけど。  フンッ……。  ……すみません。  こんなこと、思っても口に出さない方がいいって分かってるんですけど、なんか、嫌な考えが次々に湧いてきて……。  頭の中が濁って、処理の仕方が分かんなくて……。  どうしてこんな……こんな醜い感情が湧いてくるんでしょうか……こんなの、セックスには必要ないのに……。  あの、お願いがあるんですけど……。  今日は、あたしと……セックス、して貰えませんか。  今までは手とか足で済ませちゃってて、その、あたしの中に挿れたこと、ないじゃないですか。  別に挿れるのを避けてた訳じゃないんですけど……いえ、あの……本当のこと言うと、ちょっと避けてました。  初めの頃は、ただ挿れるタイミングを逃してただけなんですけど、なんか、段々怖くなってきて……。  もしセックスで満足して貰えなかったら、申し訳が立たないというかなんというか……。  あたし、どんくさいから、上手くいかないことが色々あるんですけど、そういうのはなんていうか……あたしは元々、そういう色々な事をこなす為に作られた訳じゃないから、上手くいかなくても当然だって思ってた部分もあるんです。  でも、セックスだけは……。  うぅー……やっぱりやめましょう、今日は……。  こんなウジウジした奴とエッチなことしても、楽しくないでしょう……。  ……なんですか、この汚いの。  あ……これ、あたしがあげた輪ゴム……。  まだ持ってたんですか……捨ててください、汚いから……。  ……何やってるんですか、そんなもの口に入れたら臭いし汚いですよ。  それ、あたしが一回舐めた後でベッドの裏に落として、ホコリまみれになったんですから……。  ……んふっ、なんなんですか、その顔。自分で口に入れたくせに。  ほら、もういいですから。吐き出して。  ……何回見ても汚いですね、これ。  んふっ……えへ、えへへへへ。  やっぱりしてもいいですか、セックス。