お別れ
とうとう今日になっちゃったわね……。
昨日、勢い余ってあんなこと言っちゃったけど、
心配だわ……。
もし僕が勝っちゃったら、
本当に私の元を去って旅に出ちゃうのよね……。
僕がいない生活を想像しただけで寂しくなっちゃう……。
はぁ……。なんで勝負しようだなんてよく考えもせず
言っちゃったのかしら……。
もっとしっかり考えれば、僕のこと引き止める方法は
いくらでもあったはずじゃない……。本当に私のバカ……。
でも、今更後悔しても仕方ないわね。
私が僕に勝てばいいことだもの。
それに、僕の方がまだおチビちゃんなんだから、
きっと大丈夫よ……って、僕ぅ!?いつの間に来てたの!?
……え、さっき着いたばっかりなのね……。
そう……、それなら私の独り言も聞かれてないわよね……。
ほっ……。
僕、それじゃ、準備はいいかな。
昨日も言ったけど、私と戦って僕が勝ったら
旅に出させてあげるわ。
でも、僕が負けちゃったら私とこの安全な島で
のんびりイチャイチャしながら過ごすのよ。
いい?それじゃいくわよ…お水攻撃っ、はぁぁっ!
え、嘘ぉ……。この前水かけっこして遊んだ時、
私のお水、ちっとも避けれなかったのに、
何で今日はそんなに軽々とかわしちゃうの!?
…か、考えてても仕方ないわっ、
もう一度、いくわよ……っ!はぁぁっ!
な、何で……。やっぱりおかしいわ。
私のお水が全く当たらないなんて……。
まさか僕、水かけっこしてた時、
私に合わせてわざとお水被ってたの……って、キャァア!
あ、あ、あ……。嘘……。
僕に押し倒されちゃった……。
私の方がお姉さんなのに、
僕の気配りに気づかないでいたなんて…、
情けないわ……。
僕は、私の知らない内に体だけじゃなくて、
心も大人の男の子に成長してたのね。
私ったら、ずっと傍にいるのに全然、
気づかなかった……。駄目なお姉さんだわ……。
うふふ、でも勝負は僕の勝ちね。
昨日、約束した通り、旅に出ていいわよ。
でも、危ないところには行かないでね。
いくら僕が私より強くなったからといっても、
世界には恐い人が沢山いるんだから…って、
うふふ、これからどんどん大人の男の子に
なっていく僕には余計なお世話かな?
色々な国に行って、この島では体験できない文化や
風習に出会うと思うけど、新しい出会いにばかり
夢中にならないで、旅の途中でたまには
私のことも思い出してね。
そして、僕がいつかこの島に帰ってきた時、
他の国であった出来事をいっぱい私に教えてね。
なぁに?泣いてるのって?…もう!当たり前じゃない!
ずっと一緒にいた大好きな僕が離れていっちゃうのよ!
寂しくて悲しくて涙だって出ちゃうわよっ。
もう、鈍感なんだから!
ほら、いつまでも僕がここにいたら私も
未練がましくなっちゃうわ。
船着き場にイカダがあるから、
すぐに旅の支度して、出発しなさいっ。
もう……、なぁに?ほっぺ貸してって……、ん……。
もう……、お別れのキスしてくれたのね。
まだおチビちゃんなのに、
大人みたいなことして……。
そんなことどこで覚えたのかしら……。
ほっぺにチュなんてされたら、益々、
寂しくなっちゃうじゃない……。
でも、いい加減、私も僕離れしないと
いけない時期なのよね。
寂しいけど、お互いの成長の為に一度、
距離を置かないとね。
僕の無事を祈ってるわ。それじゃ、
楽しんでいらってらっしゃいね。
さよなら、私の僕……。
(イカダの上で..)
……ぷはぁ!うふふ!一緒懸命、
イカダ漕いでるのね!
って、あらあら、そんなにビックリしたら
イカダが転覆しちゃうわよ!
落ち着いて、魔物じゃないわ、私よ私…!
うふふ、何でいるのって?
僕のこと送り出してあげた後、
やっぱり私、寂しくなっちゃって……。
だから、泳いでついてきちゃった!
それじゃ、僕のためにならないって?
うふふ、いいじゃない。
私も僕と一緒に旅したくなっちゃったの。
いつ帰ってくるかわからない僕の帰りを
待つなんて退屈だわ。
それなら、僕と一緒に旅して、
僕と同じ経験をした方がよっぽど有意義な
時間を過ごせるもの。
うふふ、可愛い子には旅を
させろなんてことわざは嘘ね。
一緒に旅をした方がずっと楽しいもの!ねえ?
なぁに、その呆れた顔…。
僕だって本当は一人で心細かったんでしょ。
だって、さっきイカダ漕ぎながら私の名前、
呟いてたもの……。
うふふ、聞いてたのって?うふふ、
こっそり盗み聞きしちゃった♪
うふふ、照れちゃったのね。
もう、可愛いんだからっ。
ねえ、僕の目指してる国まで、
まだまだかかりそうかな?
それなら少し休憩したらどうかな?
私のおっぱいからお水飲む?うん?
そんなことしたら興奮してイカダが
転覆しちゃうって?
うふふ、それもそうね。そうしたら、
目的地に着いたら、観光する前にどこかの宿に泊まって、
沢山エッチなことしましょう。
私、僕に触りたくてウズウズしてるの。
ね?いいでしょう?うふふ、ありがとうっ!
優しい僕が大好きよ。
これからもずっと一緒にいましょうね、
だぁい好き、チュゥ!