第4話『まひろと特別自宅警備』
まひろの部屋。
SE:まひろのお腹がなる。ぐ~~ぎゅるる……
まひろ「うあぁ~……腹減った……。
今日は昼メシ遅いなぁ……もう2時過ぎちゃうぞ。
はっ、まさかまた兵糧攻め……昨日何か悪いことしたっけ……?
うう……さすがにもう我慢の限界だぁ!」
SE:まひろ部屋のドアを開け、廊下をドタドタ進む
まひろ「みはりのやつ、部屋で寝てるんじゃないだろうな!」
SE:みはりの部屋のドアをバンと開けて
まひろ「おいみはり!オレのごは……ん……」
みはり「はー……はー……ん……お兄……ちゃん……?」(つらそうに)
まひろ「あ……?
あ~~~、生理。わかる~…」(同情)
SE;みはりガバッと起き上がって
みはり「風邪よ!………はぅ」
SE:ドサっと倒れる
まひろ「わ~~~!ごめん!!
ほ、ほらーオレもこの前さ……
……って、そんなことより!……大丈夫か!?」
みはり「あ……はは……。んー……平気……。
薬も飲んだし……寝てれば治るよ……ゴホッ
あ……お昼……ごめんね……?
リビングの戸棚に……カップ麺があるからさ……
今日はそれで我慢……ゲホッゲホゲホ」
まひろ「お……おい……」(汗)
みはり「ああ……ほら……うつしちゃうから……」
まひろ「う……うん……」
SE:ゆっくり扉を閉める
まひろ「………みはり………」
場面転換、リビング。
SE:カップ麺を探す。ごそごそ。
まひろ「あ、あった。カップ麺……」
SE:湯を注ぐ音。
まひろ「…………」(神妙な面持ち)
まひろモノ「そういやあいつ、
ここんとこ実験とかで随分忙しそうにしてたっけ……。
あんまり寝てないみたいだったし……
その上いつも通り家事までこなして……
一方オレは……自由気ままのぐうたら三昧……」
まひろ「う……うう……クズだ……。
オレは……ゴミゴミの実のゴミ人間だぁ~~!!」
まひろ「………よし」
SE:椅子からガタッと立ち上がる
まひろ「やるぞ……やってやる!家事くらいなんだ!
せめてみはりの風邪が治るまでは兄貴らしく……
……そう、これもいわば、自宅警備だ!」
SE:ジャキーン!
場面転換、脱衣所。
まひろ「……さーて、最初は洗濯だな!
とりあえず……全部洗濯乾燥機に放り込んで……と」
SE:洗濯機に洗い物を入れて扉を閉める(ドラム式です)
まひろ「えーっと、洗剤洗剤……ん、なんかいっぱいあるな。
なになに……漂白剤……ふむ………じゅう……なん剤……?
中性……アルカリ性……ま、混ぜるな危険……?
………うぅ……じゃ、じゃあ……よし、コレだ!」
SE:ドップ、ドップ、ドップ…(計量せずボトルから直接)
まひろ「んー、これくらいでいいかな……?」
SE:ピッとスタート音、回り始める洗濯機
まひろ「ふーう。激しい戦いだった……」
SE:移動、ガチャガチャと掃除機を用意する
まひろ「次は掃除だ!さすがに掃除機は使えるぞ」
SE:掃除機ON。ブオーン……
まひろ「~~~♪ (軽い鼻歌)」
まひろ「あ……そういやみはりの食事も必要だよな……。
風邪だし──うん、やっぱおかゆかな。
仕方ない、用意してやるか……」
SE:(掃除機OFF )
まひろ「………。どうやって作るんだ……?」
SE:スマホを取り出し電話かける。
かえで「はい、もしもーし!まひろちゃん?どしたのー?」
まひろ「あ……かえでちゃん……あの……今平気……?」
かえで「ん?なになにー?」
まひろ「ええっと……お粥の作り方、教えて欲しくって……」
かえで「お粥―?超簡単だよ~~!
けどそれなら、みはりに教わるほうが……って、
あ、ひょっとしてあの子、風邪でも引いた?
大丈夫……?あたし作りいこっか?」
まひろ「え……ホント!?」
まひろモノ「助かった~~!…………って……。
いやいや……これじゃあ結局いつもと一緒だ……!
今日のオレは……ひと味違うぞ!」
まひろ「……ううん。今日は……自分で作ってみる」
かえで「
…
!
…うんうん、それがいいね。みはりきっと喜ぶよ。
じゃあ作り方だけどー、
そうだなぁ、冷凍ご飯があれば早いんだけど……
無かったらまずはお米を洗って、水と一緒に鍋に入れて……
あ、水の量はお米に対して……」
(説明の途中でフェードアウト「水の量は」くらいで完全OFF ?)
場面転換、みはりの部屋(みはり視点になります)
みはり「スー……スー……」(寝息)
SE:ドアをノックする音。
みはり「……んん……、お兄ちゃん……?
なぁにー……?」
SE:そっとドアを開ける音、食器の音。
まひろ「ほーらみはり、お粥、作ったぞ」
みはり「…………
へ………?」
SE:みはり思わず身体を起こす。
みはり「え……うそ……!?お兄ちゃんが……!?」
まひろ「あ……味は保証しないからな……!」
SE:土鍋をそばの机に置き、茶碗によそう。
まひろ「………ほい」
みはり「…………!う……うぇ……
うええぇ~~~ん………」(ちょっと子供っぽく)
まひろ「おおい!なんだよぉ!」(びっくり)
みはり「ぐす……ぐす……
だ…だってぇ……お兄ちゃんが……ごはんっ……」
まひろ「(照れ)……いいから食べろ~~」
みはり「うん~~…いただきまぁす……むぐ……」
まひろ「ど……どう?」
みはり「………味がないよぉ~~~…」
まひろ「あ、塩……
い、いや!あれだ、塩分控えめってやつ」
みはり「量も多いし……」(むぐ…むぐ…)
まひろ「うぅ……」
みはり「でも嬉しい~~~……」
まひろ「……あ、はは……」
みはり「ふふ……」
(小さく軽く笑い合う二人)
SE:レンゲがカチャリ。
みはり「……ふぅ。ごちそうさまぁ。
……お陰でちょっと元気でたかも」
まひろ「……そっか。さーて、そんじゃあ………
服脱いで。」
みはり「……………は?
……なななっ、なに急に!?
兄妹でそんな……!いや、今は姉妹だけど……」
まひろ「だれが姉妹だ!ほら、後ろ向いて」
SE:モゾモゾ(服をたくし上げる)
みはり「う、うええっ……!?うそうそ脱がすの!?
……ひゃん!!………あ、気持ちいい……」
まひろ「汗かいてるだろ?背中拭いてやるよ」
SE:拭いてる音。
みはり「…………。
う……うう~~……」
まひろ「ええ……だからなんで泣くんだぁ!」
みはり「ぐす……熱のせい~~~!」
みはりモノ「もう、なんなの今日は……調子狂っちゃうよ……」
まひろ「まったく……よし、こんなもんかな」
みはり「……お兄ちゃんのケダモノ」
まひろ「そういうのいいです……
あ、前は自分で拭けよ。」
みはり「当たり前でしょ!
……もー」
SE:もぞもぞ(みはり身体をふく)
みはり「……ふー。さっぱり……
ごめんね、なんか気を遣わせて……」
SE:みはり服を着る
まひろ「ま、まあ……こういうときくらいはな……。
ほら、着替えたら早く横になれ。
暖かくしろよ。じゃあ……電気消すぞ」
みはり「……うん。
……お兄ちゃん」
まひろ「ん?」
みはり「……ありがと」
まひろ「………ん」(きまり悪そうに)
SE:パチっと電気を消し、そっと出て行くまひろ
みはりモノ「ふふ……風邪に感謝しなくっちゃ。
なんだか少し、昔に戻ったみたい。
一緒に遊んでくれてた頃の、優しいお兄ちゃん……
まだまだ普段はダメ人間だけど……
最近は……前に比べて会話も増えたし……
やっぱり、女の子になったのをきっかけに、
いろいろ上手く回り始めた感じ……。
計画は……(ふわぁ……)正解、だった……かな……」( 寝落ち)
場面転換。翌朝のリビング。
SE:朝の効果音。鳥の声とか。
みはり「お兄ちゃんおはよー!」
まひろ「お、もう平気なのか?」
みはり「ふふ、おかげさまでね。
よーし、じゃあさっそく
溜まった洗濯ものを片付けますか」
SE:歩いて行くみはり
まひろモノ「ふっふっふ……溜まってないんだなぁそれが……
あいつ、また感激して泣いたりして……」
SE:(遠くで)洗濯機を開け、洗い物を取り出す音
みはり「……うえ~~ん!
大事なおしゃれ着が……色移りがぁ……」
まひろモノ「……あ、あれぇ?」
SE:怒り気味に歩いてくるみはり
みはり「……お兄ちゃん……?」( 怒)
まひろ「はっ……はいっ……」(汗)
みはり「…………はぁ。
まだまだお嫁にはいけないね……」( 優しく)
まひろ「いかんわ!!」
まひろ「まったく……誰が嫁だ……って、
あの、オレ、ホントに元の姿に戻れるんだよな……?」
みはり「ん~~……(少し考えるみはり)
……ねぇお兄ちゃん、もし今元に戻ったらどうする?」
まひろ「へ?どうっておまえ………(マジメな口調に)
そりゃあ……うん、そうだな。まずは―― やっぱ、朝から晩までエロゲ三昧!!
男の限界に挑戦だ~~!」
みはり「………(呆)……はぁ。
これはもうしばらく時間がかかりそう……」
SE:去って行くみはり
まひろ「……へっ?
………あっ!今の無し!
ごめん!待ってぇ!
みはり~~~~!」
まひろナレ「はぁ、やれやれ……
どうやらオレの女の子生活は、まだしばらく続きそうだ」
(おしまい)