別れは自分で選ぶはずだったのに
うぅ、うぅん……。
私、どれくらい眠っていたのかしら……。
外はまだ暗いようですわね……。
ということは、エッチをしてから、
それほど時間が経っていないのかしら……。
でも、なんだか凄く、体が重たいわ……。
腕も足も、まるで鉛を付けられたように
鈍く感じて……うぅ……!?
あぁ……っ、背中が……、急に痛みだして……、
うぅ……、どうしたというの……、あぁ……っ!
ま、待って、勝手に背中の羽が
広がっていく……、うぅっ!?……あぁっ!
う、嘘……、私の羽が……、
私の女神の羽がボロボロに
なっていますわ……。
これでは、私の女神の力が
無くなってしまいます……、
あぁ……っ、全身が…、痛い……、
うあぁ……っ!
はぁ、はぁ、あぁ、ごめんなさい、
眠っていたのに、
起こしてしまいましたね……。
私……、どうやら、長く下界に
居過ぎたようです……。
もっと貴方と一緒にいたかったのに、
天界に戻らないといけない時が
きてしまったようですわ……、うぅ……っ!
私、貴方のお役に立てなくて、
本当にごめんなさい。
でも、私は、貴方と過ごせた日々が
とても楽しかったです……。
貴方と共に過ごした時間は、
私の宝物です……っ。
なんですか……?
また、ここに戻ってきてくれるよね?
とおっしゃるのですか……?
あぁ……、ごめんなさい。
女神は、本当は下界に住まう人々の生活に
関与してはいけないのです。
でも、私は貴方が心配で……、
いえ、愛してしまったから、掟を破り、
一緒に過ごしていたのです……。
うう……、でも、
急に別れの時がくるだなんて、
思いもしておりませんでしたわ。
こんなに辛い別れになってしまうなら、
最初から貴方の傍にいなければ
よかったのに……、
私は、なんて愚かしい
女神なのでしょう……、う、うぅ……。
そんな悲しいことを言わないでと
おっしゃるのですね?
ふふ……、ごめんなさい。
貴方との出会いを後悔するなんて、
いけないことですわよね。
とても楽しい日々を共有できたのに、
貴方にとても失礼なことを
言ってしまいました、ごめんなさい。
あ、あ……っ!
体から光が漏れ出てしまっている……。
私には……、もう時間がありません。
可愛くて愛おし貴方……。
もう貴方に会えないと考えると、
胸がとても苦しいです。
こんなにも人を愛したことは
ありませんでした。
優しい貴方のことを、
天界からずっと見守っていますわね。
貴方にどうか、神のご加護が
ありますように……。
それでは、さようなら、大好きな貴方、
きっと幸せになってくださいね……っ!
さようなら……っ!
今までありがとうございました……っ!
(間)
あ、イタタタ……。
腰を強く地面に打ち付けて
しまいましたわ……。
女神の力を失うと、
このような危険な思いを
しなくてはいけないのですね……。
はぁ……。
……ん?って、まあまあ、
あの子の畑のど真ん中に落ちて
しまったのですね。どうしましょう。
せっかく育った作物を
踏んづけてしまいましたわ……。
あぁ……。これでは、またあの子に
迷惑をかけてしまいます……。
ここは、女神の力で作物を元に
戻してあげなくては……、
……と言いたいところですが、私、
もう女神ではないのですのよね。
……って、ん……?あぁっ!
あそこに見えるのは、
愛しのあの子ですわっ!
うふふ、こちらに気づいて
一生懸命走ってきてる♪
必死なお顔も可愛いですわね♪
私はこちらですわよ~っ。
早くいらしてくださ~いっ!
うふふっ!
ご無沙汰しておりますわね!
ずっと会いたかったですわ!
え……?どうしてここにいるのって?
うふふ、実は私、貴方と
エッチなことをして、
神様に怒られてしまったのです。
人間と愛し合うなんて言語道断だ!
と言われて、私も頭にきて、
神様を喧嘩をしてしまったのです。
そして、怒った神様に女神の力を
完全に奪われて、ただの人間に
されてしまったのです。
天使や妹たちは、
私に同情しておりましたが、
でも、私は女神ではなくなったことを
悔やんではおりません。
だって、人間になれたことで、
ずっと下界で、いいえ、貴方の傍に
ずっといられるようになったのですから。
でも、貴方は女神ではなくなって
しまった私のことを、どう、
お思いになられるのかしら……。
特別な力を使えなくなってしまった、
ただの人など、必要ないとお思いに
なれるのかしら……。
え……?私が女神か女神じゃないかなんて、
どうでもいい。
一緒にいてくれればそれでいい、
とおっしゃってくださるのですね。
あぁ……、嬉しいですわ……。
やはり、貴方は心の優しい
素敵な方ですわね。
私、以前よりもずっと沢山、
貴方にお仕えさせていただきますわね。
これからはずっと一緒ですわよ、
大好きな貴方。
そうだ、再会のキスをしましょう。
うふふ、目をつむってくださいね、
それでは、いきますわよ。
また私と出会ってくれて
ありがとうございます、チュゥ。
二人で幸せになりましょうね♪