プロローグ
おじゃましまーす。
ふーん、ここがあなたの部屋ね。
なんていうか、男の子の部屋、って感じ?
え? どういうことかって?
ご想像にお任せしまーす。ふふふ。
ところで……あのね?
私が……あなたの部屋に来たっていうのは、要するにそういうことじゃない?
それでね……ベッドに行く前に一つ、あなたに言っておかなきゃいけないことがあるの。
私ね……。
人間じゃないの。
サキュバス、なの。
あ、その顔、信じてないでしょ?
証拠、見せてあげよっか?
どう? 驚いた?
そりゃ驚くよね。
いきなり、あなたの服も私の服も、綺麗さっぱり消えちゃったんだもんね。
これで信じてくれたかな?
うんうん。物分りが良くて助かるわ。
もちろん、私が人間じゃなくたって、あなたの私への愛は変わらないよね?
嬉しい! あなたなら、そう言ってくれると思ってたわ!
それとね……もう一つ、お願いがあるんだけど、聞いてくれる?
あのね、サキュバスが何を食料にしているか、知ってる?
精液?
もちろんそれもあるんだけどね……私の場合はちょーっと違うっていうか……。
私の大好物はね……男の人の……ううん、人間の……。
た、ま、し、い。なの。
ふふふ。体がビクッ、と跳ねたわね。
今のは恐怖心によるものかしら? それとも、興奮しちゃった?
君は察しがいいもんね。もう私が何を望んでるか、わかっちゃったよね。
お願い……君の命を……魂を……全てを……私に食べさせて……。
私のこと、好きでしょ……?
私のためならなんだってできるって……私の他に大切なものなんてないって……言ってくれたよね……?
あれは、嘘だったの……?
ねえ……大好きな女の子と、永遠に、本当の意味で一つになれるんだよ……?
男の子として、これ以上の幸せは、ないわよね……?
ほら……言って。
私と一つになりたいって。
私に全てを捧げるって。
ふふふ。ありがとう。
それじゃあ、早速だけど、ベッドに行きましょうか。