タイトルコールとこの音源の楽しみ方
;ナレーション(タイトルコール)
///;夏。蝉しぐれ。川べり
;SE 駆け足(草原)近づいてくる
;9/前遠 なるたけ遠く
「おーーーーーい」
;SE 足音 接近
1/前
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」
「遅れてごめんね! 夏葉、時間ちょっとうっかりしてて、
走らなきゃ! って思ったんだけど、
暑くてあんまり走れなくって――あ!」
「お水。うれしい! ありがとー!」
;SE ペットボトル受け取る→キャップあける
「(ごくっ! ごくっ! ごくっ! ごくっ!)
――ぷあぁ! きく~っ! おいしいっ!!」
「(ごくっ! ごくっ! ごくっ! ごくんっ!)
ふぁ……あー。
汗かいちゃって抜けたお水が、そのまましみこんでくるみたい」
;SE ペットボトルつぶす。ぺこっ
「お水、すっごい助かっちゃった! さすがっ……
ええと――ええと、なんて呼べばいいかなぁ。
その……あなたのこと」
:息を詰めて話聞く――期待してたより嬉しい!
「(呼吸音)――(呼吸音)!」
「あはっ! うん、わかった!
"ご開祖ちゃん"だね。なんだかかわいくて呼びやすい!
ご開祖ちゃん――ご開祖ちゃん!! えっへへ~」
「じゃ、ご開祖ちゃんも夏葉のこと、夏葉って呼んで! じゃなくて! ええっと、あ! そうだった!」
「ご開祖ちゃんって、初代のひめみや様なんだよね?
今のひめみや様よりずうっと昔の――一番最初の!」
「うん……うん――あ! やっぱりそれって本当なんだ!
夏葉もね? 一番最初にご開祖ちゃんのこと見たときから、そうじゃないかなーって思ってたの」
「だからなの! 夏葉が『さすが』って思ったの。」
だってね? 今のひめみや様も、夏葉が喉かわいてると、いっつも麦茶くれるから」
「うふふっ、そうなの。優しいとこ、似てるの。
今のひめみや様と、ご開祖ちゃんって」
「けど……ご開祖ちゃんはずうっと前にひめみや様を卒業して――
いまは、トチガミ? っていうのしてるんでしょう?」
「えへへ、すごくないよ~。だって知ってるの、お兄ちゃんに教えてもらってたおかげだから」
「おにいちゃん、夏葉にもちゃんと教えてくれるの。
今してるお仕事のこととか、そのまわりの人間関係……
あやかし関係? カミ様関係のこととかも!」
「ななつらおのなな様が新人――新カミさま? で、
ご開祖ちゃんがずっとまえからのトチガミさまって」
「……うん。……うん。……え、わ!
みたい! 夏葉、それってみてみたい!!」
:SE 「わ」から合わせてて、気が急成長して葉が生い茂る
「あ――うん。そのちっちゃな木のこと見たらいい――
わ!? わ! わわわわわっ!!!」
「…………(ごくっ)――っ!」
;SE ダッシュの足音 1/前→;11/右遠
;11/右遠(マイクに背中)
「すごい! すごいすごいすごいすごい!
木、夏葉のひざこぞうくらいまでしかなかったのに!
こおんなに大きく! すごい! すごいっ!」
;SE ダッシュ ;11/右遠→1/前
;1/前
「夏葉、びっくりして感動しちゃった!
ご開祖ちゃん――ほんとに土地の、ものべののカミ様なんだね~!」
「あ!? けど――だったら――
(SE ポーチから手紙取り出す)
これ、なんで? 『おねがいごとある』って、お手紙」
「夏葉がカミ様にお願いするんならわかるけど――
ご開祖ちゃんが――カミ様が夏葉にお願いあるの?
書き間違えとか、出し間違いとかじゃなくって??」
「……(呼吸音)――うん……うん。あ! わかった!
そんなことなから簡単! 夏葉、それじゃあ読んだげる」
「読むよ~…………………………ぁぅ……」
;小声
「あの、あの、ご開祖ちゃん。ちょっと、ちょっと来て、ちょっと」
;小声
「この字って――きょうしゅうたん? きょうしゅうたんってよむの? わかった。覚えた。きょうしゅうたん。きょうしゅうたん」
;小声
「それじゃ、今度こそ読むね。(す~~っ)」
「『あやかし郷愁譚! 妹 夏葉!』 って!!!?」
「夏葉! あやかしじゃないよ~! 人間だよ!!?
ただの人間で、おにいちゃんの妹で――え? なに?
『その草むらに』?――って!!!?」
;SE 草かきわけ
;2/右前
「おにいちゃん!!? どうしたの!?
しっかりして、おにいちゃん!
どうしてこんなところでねちゃってるの!!?」
;顔だけ反対側向けて
「え? なに、ご開祖ちゃん?
うん……うん……うん……あ、そうなんだ」
「おにいちゃん、ものべのにいろんなあやかしを呼んでくるためにがんばってて――
それでもう……こんなになるほどくたくたに疲れ切っちゃって――」
「だから、夏葉が――おにいちゃんのこと元気にしてあげるために、いやして、はげまして、おうちのあったかなお布団のなかで、ゆっくりぐっすり眠れるように――」
「『ばいのーらる』? っていうのを活かして、
おにいちゃんとたくさんたくさん、お話すればいいんだね? わかった!」
「最初は? うん。おにいちゃんにヘッドホンかイヤホンつけてあげればいいの?
……へ~! ヘッドホンかイヤホンがないと、バイノーラルって、一番効果的には楽しめないんだ」
「でも、こんなとこにヘッドホンかイヤホンなんて――
って、わ。ご開祖ちゃんほんとに準備いいんだね~。
えへへ、ありがと。借りちゃうね!」
;顔向き直って
「それじゃ、おにいちゃん。夏葉がつけてあげるね~
――ん、しょっ――っと!!!」
;SE ヘッドホン装着
「えへへ? 上手についてる?
ちょっと、試してみるね??」
;3/右 接近囁き
「みぎみみ~ みぎみみ! みっぎみみ~ (ふーーーーーっ!)」
「えへへ、よさそうな感じかな?
そしたらこんどは~」
;3/右→1/前→;7/左
「ぐるーーーーってまわりこんでぇえ」
;7/左 接近囁き
「ひ・だ・り・み――って?」
;7/左
「わ! おにいちゃん、目が覚めた! やった! よかったぁぁ~!!!」
;SE どんっ、って感じ。密着してあまえる
1/前
「あのね? おにいちゃん、夏葉ね?
え? (呼吸音)――あ! そうなんだ!
聞こえるのは全部聞こえてたんだ!!」
「なら、ご開祖ちゃんの話も――あれ?
あれあれあれれ? ご開祖ちゃんは???」
「あ……うん――そうなの?
用事が済んだからいっちゃった……
いっちゃったんだね、ほんとに。む~~」
「そんなに忙しいんだね。
ご開祖ちゃん――トチガミさまのお仕事って。
って、わ!」
「おにいちゃん、もう立っても大丈夫なの?
え? そうなの? 夏葉のおかげで元気百倍なの?
やったぁ! えへへっ!」
1/前→;3/右;→5/後
「そーれーじゃーあーあ~」
;5/後
「えへへ? おにいちゃん。夏葉のことを、おんぶして?
わ!!!」
;SE 駆け足
「やったー! 早い早い! おにいちゃん号!
このままおうちへ! 夏葉のことを連れてって!!!」
;環境音 F.O.