プロローグ 山奥の風鈴屋
//SE セミの鳴き声
//SE 土を踏む足音
//SE 木造りの引き戸を開く音
//SE 風鈴の音
//ダミーヘッドマイク・リン→9(正面・遠い)
【リン】
「あ、いらっしゃいませ」
【リン】
「こんな山奥にまで来て頂き、誠にありがとうございます」
【リン】
「わ、わっ。何だか久しぶりのお客さんでテンション上がっちゃいますわ」
【リン】
「フウちゃん。フウちゃーん!」
//SE 階段を降りる音
//ダミーヘッドマイク・フウ→10(右前・遠い)
【フウ】
「なに? お姉……」
【リン】
「お客さまにお茶入れてくるから、少しの間お相手お願いします!」
【フウ】
「え? ちょ!」
//SE 走る音
//声 だんだん遠くなっていく
【リン】
「粗茶ですがお構いなくー!」
【フウ】
「いやまだ淹れてないから……」
【フウ】
「えーっと……その……お姉ちゃん、行っちゃったし……」
【フウ】
「お客さま? それで、今日はどのコースをしたいの?」
【フウ】
「え? ここがどんなお店かも分かってない……の?
はぁ……お姉ったら、また先走ったんだ……ごめんね」
【フウ】
「ここは、風鈴屋。お姉は、ウインドチャイムショップって言ってる。
風鈴の音をゆったりと聴きながら……マッサージする場所」
【フウ】
「これも何かの縁だと思って、マッサージされてみない?
20%引きのクーポンあげるからさ」
//SE 走る足音
//声 だんだん近づいてくる
//ダミーヘッドマイク・リン→16(左前・遠い)
【リン】
「おまたせしましたお客さま~!」
【フウ】
「お姉、この人マッサージ受けるって」
【リン】
「えぇ!? ホントですか、嬉しいなぁ!
お客さま、今月になって初めてのお客さまですよぉ!」
【フウ】
「……殆ど道楽みたいな店だから。繁盛してないんだ」
【リン】
「しかもしかも! お客さまが持っているソレ……、
当店20%引きのクーポンでは無いですか!?」
【リン】
「ほんの数枚だけ観光課のカウンターにこっそり忍ばせた、
全部手書きのクーポン券! も、も、もしかしてお客さま……」
【リン】
「このお店に来るためだけに、こんな山奥まで…………!?」
【フウ】
「お姉、ちょっと落ち着いて……。
興奮しすぎて鼻血出てるから……」
【リン】
「う、うぉっと。すいませんすいません……。
こんな嬉しいお客さま、はじめてで……」
【リン】
「それでは……改めまして、ご来店ありがとうございます」
【リン】
「本日は私、風見 リンと」
【フウ】
「私、風見フウが」
//声 同時
【リン】
「ご相手させていただきます」
【フウ】
「ご相手させていただきます」
//声 同時ここまで