あまおね活との出会い
彩乃「それは、ある日のお昼休みのことでした」
彩乃「その日に限って、先に控室で休憩していた二人、優花さんと杏さんの話し声がとても気になってしまって…」
優花「そういえば…ねえねえ、杏!このあいだの男の子、どうだった~?」
杏「はい、とっても楽しく過ごしましたよ~ 恋人みたいに寄り添って、美味しいものとか食べたりぃ…」
優花「違うよぉ!そっちじゃなくて、もっと刺激的なほう!!」
杏「あー、そっちですかぁ…う~ん、そんなに悪くはなかったんですけどねぇ…ちょっと、がっつきすぎかなーって」
優花「ウソッ!?もしかして、いきなり求められたとか?」
杏「いえいえ、一緒にお話しているときに、突然抱きつかれただけですが~」
優花「突然!? そそ、それでどうなったの?その先は!?」
杏「ふふふ、私からも優しく抱きしめてあげました♪それから、頭を何度かナデナデしてあげたら、おとなしくなってくれましたよ~」
優花「それ、杏に撫で回されて骨抜きにされただけじゃ…」
杏「ふふっ、そんなことないです~♪やさしくやさしく、撫でただけですから」
優花「そっかぁー。たしか相手の子…6つ年下だったっけ?まあ、やりたい盛りだもんね。あまおねよりもやりおね希望だったんじゃない?」
杏「そうかもしれませんね~」
彩乃「艶を帯びた杏さんと優花さんの声に導かれるように、息を殺して立ち聞きしていた私はドアノブを回してしまいました」
彩乃「失礼します…あ、あの!あまおねって言葉が聞こえたんですけど…」
杏「彩乃さん、おつかれさまぁ~。やっと入ってきてくれましたね。盗み聞きしちゃ駄目だぞっ♪」
彩乃「うっ、バレてる…ああっ、あの、すみません…でも、べ、べつに私は…」
優花「まあまあ、あたしらの声が大きかっただけっしょ。彩乃は悪くないって!」
彩乃「優花さんやさしい…あはは…ごめんなさい…」
杏「ううん、意地悪なこと言っちゃってごめんなさいね。それよりも、彩乃さんも『あまおね活』に興味あるのですか~?」
彩乃「は、はいっ! できればもう少し詳しく聞かせてもらえるとうれしいかなーって?」
優花「へぇ~、おとなしそうな顔してるのに…彩乃もけっこう好きなんだ? ふふふふふ♪」
彩乃「な、なんですか!もうっ」
杏「あらあら、真っ赤になっちゃって…彩乃さんは、年下の男の人ってお好きなのかしら?」
彩乃「ええと、そうですね…嫌いじゃ、ないです。それがなにか?」
彩乃(むしろ好き、めっちゃ好きです!でもこの二人には、言えないよぉ…)
杏「あまおねっていうのは、男の子がお姉さんに甘えたい願望のことを略した言葉なの」
優花「それで、甘えたがりの男の子を目一杯甘やかしてやろうっていうのがあまおね活なんだよ」
彩乃「あまおね活…」
優花「少し前までは一対一で交渉するしかなかったけど、最近だとマッチングアプリがあるから便利だよね」
杏「そうですね、おかげで時間も場所も年齢もほとんど指定できるから、気楽にあまおね活できるようになってるし。」
彩乃「気楽に、あまおね活…あまおね…」
優花「うんうん、甘えたい男の子を甘えさせてあげるの、結構楽しいよ!」
杏「今日も仕事が終わったら、二人であまおね活しようかって打ち合わせしていたところなの」
彩乃「あの、お二人は次のお相手と会う約束とか…されているのですか?」
優花「してるよー。デートだけならそんなに時間かからないし、短い時間で新しい出会いを楽しめるし!」
杏「それにお互いが望めば、かなり高確率で気持ちいいこともできちゃいますし…ためしに彩乃さんもやってみては?」
彩乃「えっ、わ、わた、私ですか!?」
優花「んふふ、さっきから興味津々って感じじゃん?めずらしく彩乃がうちらの話に食いついてくるからさ!」
彩乃「そんなこと、ない…わけじゃ…ないですケド…あまおね活……」
杏「くすっ、試しにほら…このアプリをダウンロードしてみるといいですよ」
彩乃「あっ、そんな!杏さん、勝手にインストールしちゃ…った…」
優花「いいからいいから♪気に入らなかったら消しちゃえばいいじゃん」
彩乃「ううっ、そっ、それはそうですけど!杏さんも、優花さんも今日は強引ですぅ…」
優花「少しくらい強引な女性のほうが好かれるみたいよ?」
杏「最近はおとなしい男の子が多いですからね。むしろ引っ張ってくれるお姉さんが人気みたいですねー」
彩乃「そういう意味じゃないですっ!でも、教えてくれてありがとうございました」
杏「どういたしまして♪ 彩乃さんなら、きっといい相手が見つかるような気がするわ」
優花「そうだよねー。優しそうな顔立ちだし、胸もあたしより大きいし、そのうち人気殺到のお姉さんになっちゃったりして!」
彩乃「ひわわわわ、あ、あんまりからかわないでください! 失礼します!」
彩乃「もう、あの二人ときたら…でも、あまおね活、かぁ…あとで少しだけのぞいてみようかな…」