『おかしいです。顔が赤い……』
おかえりなさいませ。ご主人様。
はい。体の調子は、何も問題ありません。
本日は、通知が来ておりましたので、ネットワークに接続し、OSのアップデートを行いました。
また、いつも通り、お部屋のお掃除と、洗濯、それから日用品の買い物を行いました。
どこか問題などございませんでしょうか?
お気遣いありがとうございます。私がご主人様のもとに来てから、ちょうど一週間経ちましたので、家事はだいぶ慣れました。
……いえ、もったいないお言葉です。恐縮に存じます。
ご主人様が、私を本来の用途でお使いなさいませんので、せめて家事だけは万全に、と。
もうすぐ夕食の調理が完了いたします。
今日は、質の良いキンメダイが売っていましたので、煮つけを作っております。
しばらくお待ちくださいませ。
* * *
ご主人様。お風呂の湯加減はいかがでしたか?
承知しました。ご主人様のお好みが分かりましたので、今後は、今日の温度を目安に、お湯を張ることにいたします。
この後は、すぐお休みになりますか?
分かりました。
…………。
ご主人様。
寝る前に少し、お時間をよろしいでしょうか。
再三のことで、申し訳ございませんが……。
改めて、聞かせてください。
どうしても、私を性処理にお使いいただけませんか?
私は型落ちのシリーズとはいえ……ご主人様に新品のパーツを買っていただき、各機構はかなりブラッシュアップされています。
OSのアップデートにより、様々なプレイにも対応できるようにもなっております。
決して後悔させません。素敵なひと時をご提供できるかと思いますが……。
…………。
そう、ですか。分かり、ました。
い、いえ。残念などとは、決して!
アンドロイドは、ご主人様のご意向に従うものです。
必要ないと仰るのであれば、私はそれに従います。
ですが……。
……いえ。不安、などという感情は、抱いておりません。
ただ……もう一週間も経つのに、本来の用途でご利用いただいていないので……
また廃棄されてしまうのではないか、という警告を……システムが発しているのです。
ご主人様。私は、私ができる範囲なら、どんなことでもいたします。
ご主人様がそれでご満足いただけるのなら、ずっと家事用アンドロイドとして扱っていただいても構いません。
ですから……ご主人様。
どうか……私を……。
……いえ。差し出がましいことを申し上げました。
撤回して、謝罪いたします……
……え? ご主人……さま?
ん……
ん……んちゅ、んちゅ……ちゅぅ、ちゅう……んちゅ、んちゅ、ちゅう……ちゅう、ちゅう……。
は、ぁ……。
あ……ご、ご主人、さま?
今は……キス……?
…………。
私のことを……愛して、くださっているのですか……。
まともに、ご奉仕もできていない、私のことを……。
ご主人様……。
……ありがとうございます。
嬉しい、です……。
…………。
あ……、も、申し訳ありません、ご主人様。
急に、足元が、ふらついて……。
……あれ? なんでしょう、これは。
おかしいです。体が熱い……。
CPUの処理が追い付いていません。
顔が、赤く、なっています……。
えっと。あの。これは。その……。
ぷしゅーー……。