Track 3

『私は、ご主人様のことが……』

 お……おかえりなさいませ。ご主人様。  昨日は、大変失礼いたしました。  ご心配をおかけいたしました……。  …………。  実は、今日一日かけて、システムとボディのチェックを行ったところ……  オーバーヒートの原因が判明しました。  先日のアップデートです。  その際に、私の思考プログラムが、大幅に改善されたようでして……  会話のやり取りがスムーズになった他(ほか)……  感情の発生が、より自然になった、と……。  つまり、分析するに……  アンドロイドであるにも関わらず、ご主人様が、お優しい言葉をかけ続けてくださって……  キスまでしてくださった結果……  ……どうやら、私は……  ご主人様のことが……  ……好きになってしまったようです。  これは……どうやら、植え付けられた感情では、ないようです。  もちろん、私の動作や会話は、全て、書かれたスクリプトによって生じるものではありますが……。  恋愛、という感情のパラメーターがあるわけでは、ありません。  喜怒哀楽の中から発展して、新たに生じた……私自身の、確かな感情です。  ……ご主人様。  私は……ご主人様を好きになっても、いいのでしょうか?  あ……  ん……  んちゅ……んちゅ、んちゅ、れろ、ちゅう、んちゅ……ちゅう、ちゅう、んちゅ、んちゅ、ちゅっ、ちゅう、んちゅ、んちゅ、ちゅう、ちゅう……。  はぁ……。  ……ご主人様。  ご主人様。ご主人様……。  私は……ご主人様が好きです。  改めて……  私を、ご主人様のお傍に置いてください……。  ……はいっ。  ん……  んちゅ、んちゅ、ちゅう……ちゅっ、ちゅっ、ちゅう、れろ、れろ、んちゅ、んちゅ、ちゅう、ちゅう、ちゅう、ちゅう……。  ん、はあ……。  …………。  ご主人様。  不躾なお願いをしてもよろしいでしょうか?  私……ご主人様と、愛し合いたいです。  ……いいえ。これは、性処理アンドロイドとしての義務感では、ありません。  ご主人様が大好きだから……  ご主人様と、もっと深く繋がりたい。  ご主人様に気持ちよくなって欲しい。  ただ、それだけです。  だから……。  ん……  んちゅ、んちゅ、れろ、れろ、ちゅう、んちゅ、んちゅ、んちゅ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅう、ちゅう、んちゅ、んちゅ、れろ、れろ、れろ……。  はあ……。  ……ありがとうございます。  では……ご主人様。  お布団へ、参りましょう……。