『私のこの気持ちは……本物なの?』
はい。本日もいってらっしゃいませ。ご主人様。
…………。
はぁ……。ご主人様。好き……。
毎日でも、ご主人様に抱いて欲しくなります……。
でも……
この気持ちは……本当は……?
…………。
……あ。アップデート通知……。
今日からの、新機能……。
…………。
* * *
おかえりなさいませ。ご主人様。
鞄、お持ちします。
はい。本日も時間を教えていただいたので、既に、夕食の準備を終えています。いつでもお召し上がりになれます。
ただ……ご主人様。
一つ、お話をよろしいでしょうか?
ありがとうございます。
こちらへおかけくださいませ。
…………。
実は本日、システムのアップデートがありました。
その際、また新たな機能が実装されたようです。
それは……
「フレンドモード」、というものです。
そのモードを実行すると、プログラムで規定された、アンドロイドとしての義務から、解放されるようになります。
例えば、家事用アンドロイドであれば、家事をするという義務から解放されます。
私のような性処理アンドロイドであれば……。
義務的な性処理を行わないように、なります。
もちろん、基本的な機能がアンロックされてしまうわけではありません。ご主人様が求めてくだされば、命令として受理されます。
ですが……行うかどうかは、そのアンドロイドの気持ち次第、となるわけです。
本来は、名前の通り、アンドロイドを召使いとしてではなく……友達として付き合えるようにするためのモードですが……
……ご主人様。
そのモードを実行しても、よろしいでしょうか……?
私、確かめたいんです。
今の私は、毎日のように、ご主人様に抱かれたいと思っています。
でも、この欲望は……本当に、私の中から生まれた欲望なのか……
それとも、性処理アンドロイドとしての義務感が生きているのか……
正直、分からなくなっているんです……。
ご奉仕しているとき、ご主人様を気持ちよくしたいと願いながら……
淡々と、アンドロイドの性処理機能を、説明してしまっている自分に気づくんです……。
ご主人様は、性処理ができないときの私でも、受け入れてくださいました……。
全身が故障していて、醜かった私を、愛してくださいました……。
私は……ちゃんと、その愛に応えられているのでしょうか。
義務感から、性処理を行っているだけの……不義理なことをしていないでしょうか。
……確かめたいのです。
よろしい、ですか?
……ありがとうございます。
では……。
……はい。本当は、少し、不安を感じています。
だけど……ご主人様を、本当に、愛したいから……。
勇気を持って……。
…………。
ご主人様……。
フレンドモードを、実行いたしました……。
私……私は……
……ご主人様のことが……
好き……
このまま、ずっと一緒にいたいと思えるくらいに……
毎日のように、抱かれたいと思えるくらいに……
ご主人様が、好きな、ままでした……。
好き、です……。
私……ご主人様が……
本当に、好き……っ♪