Track 7

『私のこの気持ちは……本物なの?』

 はい。本日もいってらっしゃいませ。ご主人様。  …………。  はぁ……。ご主人様。好き……。  毎日でも、ご主人様に抱いて欲しくなります……。  でも……  この気持ちは……本当は……?  …………。  ……あ。アップデート通知……。  今日からの、新機能……。  …………。 * * *  おかえりなさいませ。ご主人様。  鞄、お持ちします。  はい。本日も時間を教えていただいたので、既に、夕食の準備を終えています。いつでもお召し上がりになれます。  ただ……ご主人様。  一つ、お話をよろしいでしょうか?  ありがとうございます。  こちらへおかけくださいませ。  …………。  実は本日、システムのアップデートがありました。  その際、また新たな機能が実装されたようです。  それは…… 「フレンドモード」、というものです。  そのモードを実行すると、プログラムで規定された、アンドロイドとしての義務から、解放されるようになります。  例えば、家事用アンドロイドであれば、家事をするという義務から解放されます。  私のような性処理アンドロイドであれば……。  義務的な性処理を行わないように、なります。  もちろん、基本的な機能がアンロックされてしまうわけではありません。ご主人様が求めてくだされば、命令として受理されます。  ですが……行うかどうかは、そのアンドロイドの気持ち次第、となるわけです。  本来は、名前の通り、アンドロイドを召使いとしてではなく……友達として付き合えるようにするためのモードですが……  ……ご主人様。  そのモードを実行しても、よろしいでしょうか……?  私、確かめたいんです。  今の私は、毎日のように、ご主人様に抱かれたいと思っています。  でも、この欲望は……本当に、私の中から生まれた欲望なのか……  それとも、性処理アンドロイドとしての義務感が生きているのか……  正直、分からなくなっているんです……。  ご奉仕しているとき、ご主人様を気持ちよくしたいと願いながら……  淡々と、アンドロイドの性処理機能を、説明してしまっている自分に気づくんです……。  ご主人様は、性処理ができないときの私でも、受け入れてくださいました……。  全身が故障していて、醜かった私を、愛してくださいました……。  私は……ちゃんと、その愛に応えられているのでしょうか。  義務感から、性処理を行っているだけの……不義理なことをしていないでしょうか。  ……確かめたいのです。  よろしい、ですか?  ……ありがとうございます。  では……。  ……はい。本当は、少し、不安を感じています。  だけど……ご主人様を、本当に、愛したいから……。  勇気を持って……。  …………。  ご主人様……。  フレンドモードを、実行いたしました……。  私……私は……  ……ご主人様のことが……  好き……  このまま、ずっと一緒にいたいと思えるくらいに……  毎日のように、抱かれたいと思えるくらいに……  ご主人様が、好きな、ままでした……。  好き、です……。  私……ご主人様が……  本当に、好き……っ♪