Track 6

ご主人様>恋人

先輩? ……もう、眠っちゃいましたか? ふふっ、そうですよね。あんなにたくさん出して、たくさん気持ち良くなって、疲れちゃいましたよね よいしょ……隣、失礼します。ご褒美に腕枕、してもらいますね? お布団の中、先輩の体温であったかい。それに先輩の匂い……まだえっちなも匂いも残ってますけど、安心します 先輩。今日のデート、すっごく楽しかったです 洋服屋さんでは困った顔をしながら、私に似合う服を選んでくれましたよね 先輩は女の子の買い物は長いって呆れてたかもしれませんね けど、今日は特別長くなっちゃいました。だって先輩が隣にいてくれたから。好きな人が見ていてくれたから 先輩が、好きな人がもっと好きになってくれるような、いろんな姿の私を見せたくなっちゃうんですよ? それに約束通り、最後までずっと手を繋いでくれましたね ぎゅって握ったら握り返してくれて、とってもドキドキしてました 先輩を好きになった時から何度も想像した、理想のデートで、本当に夢みたいで楽しかったなあ…… ねえ先輩。……私が勇気を出したように、先輩もきっと勇気を出して、私を信頼して、自分がマゾだって言ってくれたんですよね 最初は驚きましたし、先輩に酷い事するのはやっぱり辛いけど、それで先輩が気持ち良くなってくれたなら、先輩の信頼に応えられているのなら私、嬉しいです でも……私、怖いんです。先輩のご主人様が私に務まるのかって イジメられるのが気持ちいいって気持ちも、好きな人をイジメたいって気持ちも、私には全然分からなくて こんなに先輩のことが好きなのに、先輩の彼女なのに。先輩の気持ちが全然分からないんです…… 好きな人に酷い事をして、傷つけるような事を言って……それって本当に恋人なんですか……? 私は先輩の恋人です。恋人、なんです だけど先輩にとっての私は……恋人なんかじゃなく、恋人のフリをした、ただのご主人様なんじゃないですか……? もしも、私なんかよりもマゾの人の気持ちが分かる、先輩の理想のご主人様が目の前に現れたらって思うと、不安で堪らなくなるんです ……好きな人を疑うなんて、ご主人様どころか恋人失格ですね ……おやすみなさい、先輩 んっ、ちゅっ…… 私の……大好きな人