Track 1

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①姉弟の連休のはじまり

私の弟は、夏休みになるとひとりで遊びにくる。 そして夏休みの終わり頃まで、ずっと一緒にいる。 大学入学を機に地元を離れ、独り暮らしをしている私の部屋へ…… 最初はビックリしたけど、今はもう慣れた。 発展途上の寝顔を見ていると、不思議なくらい癒される。 この子は、私が物心ついた後に産まれた。 年が離れているのは、両親が再婚をしたから。 つまり、血が半分しか繋がっていない。 そんなことは関係ないとばかりに、私たちは仲良くなった。 なにをするにもついてきて、なにをしてても楽しい。 産まれたてから見てきた弟は、離れていても成長著しい。 でもまさか、実家を離れてもついてくるなんて……しかもひとりで。 最初は道に迷っちゃって……でも泣きついてこなくて。 遅いから心配になって電話したら、半泣きになってるのをグッとこらえているのがわかった。 男としての自覚が芽生えてきたのか、私の前では弱音を吐かなくなった。 寂しいような、嬉しいような……不思議な気持ちが駆け巡る。 そして今年もやってきて、遠出に疲れてベッドを半分占領。 ヤレヤレとその隣に潜り込み、向き合う形で寝そべる。 去年よりも少し狭く感じる。 この子は少しずつ、オトナになろうとしている。 外見が大きく変わると、中身もそれに伴って変わる。 どう変わっていくのかなんて、本人すら知らない。 できれば……かわいいままでいてほしいな…… なんて思いながら、その日は眠りについた。

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