ご挨拶とアメ「月下」
「はい、センセ、今宵(こよい)は珍しいアメを、ご覧に入れます、約束でしたね」(センセは先生
の訛った呼び方)
「はい、センセ、申し遅れましたが、ここ『つづらみち』を、いつもごひいきに、ありがとうござい
ます。今回は私(わたくし)、『みわ』がセンセの、お相手いたします。どうぞ、よろしく、お願い
いたします。」
「はい、センセ、今宵(こよい)、ご覧に入れまするはアメ、でございます。」
「ただの、アメでは、ございません」
「聴くも、味わうも、すべてがアメ、外国由来のアメ砂漠(さばく)、砂(すな)アメの『月下』
(げっか)、でございます。」
「まあるいアメの中に、その砂?を、砂時計のように閉じ込めた、嗜好品(しこうひん)、でござい
ます。」
「普通の製法(せいほう)では、すぐに、中で固まってしまって、オシャカになってしまうのですが、
これは中国の、広東(かんとん)、からその技術を、持ち帰りましたポーランド人が、東北の理想的
な気候の中で、丹精(たんせい)込めて、作り上げた一品(いっぴん)、でございます。」
「(エヘン、と軽く咳払いをする)口上(こうじょう)は、不要ですか?では早速、閉じ込められた
る砂のほど、ぜひとも、耳で、味わってくださいまし。」
「お耳に聴かせますので、私の膝に、頭をさ、お乗せ下さい。」