第1話・訪
[大雨の日、主人公の住んでるマンションのインターホンが鳴る]
【正面・近距離】《インターホン越し加工》
(雨に打たれ、弱ってる様子の少女)
えっと……あの……お前……か?
(主人公の声を聞いて少しだけホッとした様子の少女)
私だ……マナだ。
その……急に押しかけてすまんな。
あー、うぅ……えっと、その……だな……
(主「とにかく上がってきてよ」)
ああ、すまない……じゃあ、お邪魔させてもらうよ。
[主人公の部屋の前まできた少女]
や、やぁ……久しぶり。
こうやって会うのは2ヶ月ぶり、だな。
(主「びしょびしょだけど……」)
ん……ああ、この格好……今日は雨がすごくて……
お陰でびしょびしょになってしまったよ。
うぅ……へっくちっ(くしゃみ)
すんっ(鼻をすする)
(主「大丈夫?」)
ん……大丈夫だ。
……ふふ、笑ってくれ。
実はな……(これまでのことを話そうとする少女)
(主「話は後、さっさとお風呂入って着替えて」)
ん……風呂か?
でも……持ってきた着替えもびしょびしょだし……その……
(主「いいから」)
……わかった。もう後がない身だ。今日はおとなしく、お前の言う事を聞くよ。
[お風呂から上がってくる少女を居間で待ってた主人公]
(主「温まった?」)
【正面・中距離】
ん?ああ、おかげさまで、随分温まったよ。
(少女の顔を覗き込む主人公)
【正面・近距離】
……あんまりジロジロみるなよ……恥ずかしいだろ……
(主「目が腫れてる」)
目が?
んー、まあ、そうだよな。
さっきは濡れてたから目立たなかったかもしれないが、雨に打たれながらずっと泣いていたからな……
そこ……ソファの隣、座ってもいいか?
(主人公の隣にくっつくように座る少女)
【正面左寄り・近距離】
えっと……昨日から連絡できなくて済まなかった。
携帯の充電、ここに来る途中で切れてしまって。
本当は連絡しておきたかったんだが……急な事態でな。
実は……私、家出をしてきたんだ。
(主「家出?」)
いや、正確に言うと家出ではないか。
以前、私に両親がいないことは話したよな?
それで、似たような境遇の人間が集められた施設のようなところで暮らしていたんだが……
今年、ついにその猶予期限も切れてしまってな。
結局殆ど行けなかったが、春に学校を卒業して、このまま置いてもらうわけにも行かなくなってしまって……
うまく仕事とかできたらよかったんだが、ほら、私ってこんな性格だろ?
人間と関わりたくなくて、頑張って引きこもっていたんだが……タイムリミットだと。
それで、出てきた。
言っておくが追い出されたわけではないぞ?自分の意思で、勝手にだが、出てきたんだ。
(主「それは大丈夫なの?」)
いや……全然大丈夫ではないのだが……
(緊張して手にぐっと力を入れる少女)
そ、それでだな。
ここからが本題だ。
その……お前さえ良ければ……私を、少しの間でもいいから、ここに置いてもらえないだろうか?
前に言っていただろう?「行くとこなくなったらうちに来れば」って。
わがままなのはわかっているし、断られたらすぐにでも出て行くよ。
だが……もう私にはお前しかいないんだ。
最初にゲームで出会って、姫とナイトになったあの日から……
半年前に初めて会ったときも、先日のデートで……その、初めて抱きしめられて、唇を重ねて……
もう私の心は、全部お前のものになってしまっているんだ。
責任をとってくれ、なんて言うつもりはないが……
このまま真っ暗な人生へ落ちて行く前に、最後に、お前と言う光に、賭けてみたいと思ったんだよ。
【正面・至近距離】
だから……っ!
(肯定の意味を込めて少女を抱きしめる主人公)
ん……
うぅ……ありがとう……ありがとう……う、うぅ……
(そのまま抱きしめあい、唇を重ねるふたり)
【キス】
んむっ、ん……んふ……んむ、ん……んちゅ、ちゅぷ……
んむ、ぷぁ……ふふ……
【正面・至近距離】
お前と出会えて、よかった。
本当は、ここに来るのも怖かったんだ。
実は他に同居してる人間がいて、私の居場所はないんじゃないかとか、
前にダブったグッズを交換するときに聞いた住所を勝手に使って、怖がられたらどうしようとか……
(主「でも、それがなかったらと思うとちょっと怖いよ」)
ん……そうだよな。もしお前の住所、知らなかったらどうしていたんだろうか。
もう今は温かい気持ちになれたから、そんな事全然考えられないな。
本当に、ありがとう……愛、してるよ……(「好き」じゃなくて「愛してる」は初めて言った)
(主「うん、僕も愛してる」)
【キス】
んむ、んちゅ……ちゅぷ、ちゅむ……ちゅ……んちゅ、ちゅる……
んむ……ふへへ……キス、本当に幸せになれるな……
(二人してソファーの背もたれによりかかり、手をつないで温度を確かめる)
さっきのが悪夢だったみたいに思うよ……んむ……んちゅ、ちゅ……ちゅぷ、ちゅ……
(主人公から舌を入れてくる)
んむっ……んっ、っふ……んむ、れる、ちゅる……えりゅ、れる、ちゅむ、んぷ……ん……
【正面・至近距離】
っふは、はぅ……お前、こんなキスもできるのか……?
(主「嫌だった?」)
いや、少しびっくりしただけだ……初めてだったし、舌入ってきた瞬間、ゾクってして……
ん、大丈夫だ……もっとしてくれ……
【キス】
んむ、ちゅる、ちゅぷ……はぷ、ぇりゅ、れる、ん……んぷ、ちゅる……
ふへへ……幸せでおかしくなってしまいそうだな……
【正面・至近距離】
えっと……だな。それで……
今日の全部が上手くいって、私はお前の恋人として、この家に居候させてもらう世界線に入ったわけだが……
あいにく、私には何もできることがないんだ。
家に置いてもらうのに、お金もなければ家事もできない。
なにせ純度100パーの引きこもり少女だからな。
そんな私でもできること……な?わかるだろう?
その……言い方が悪いかもしれないが、お前には、私を好きに使って欲しい。
(主「それは……」)
いや、別にもう恋人同士なんだし、そんな理由をつける必要もないとは思うが……
(主「でも、そういうのってもっとゆっくりでもいいんじゃないかな?」)
ふふ……お前、そこまで私に遠慮しなくてもいいんだぞ?
お前が私を大切にしてくれているのを感じて、本当に嬉しく思うが……
私にも、けじめというか、ちゃんとお前のものになったんだって印をつけて欲しいんだ。
(主人公に抱きつくようににじり寄る)
【左側・至近距離】
なぁ、いいだろう?
それとも、私とは嫌……だったか?
【正面・近距離】
……そうだよな、こんな小さくて貧相な体で、見た目にもあまり気を使ってるとは言えないし、魅力、ないよな。
(主「いや、逆にそういうとこは興奮するけど」)
……そこは好きなのか……ん、直接言われると変態っぽいな。
(主「そこまで言うなら、わかった。でも、避妊具買ってこないと」)
あー、えっとだな……
こう言う事態も想定して、避妊具、来る途中にコンビニで買ってきたんだよ。
もし全部がうまく行って、する流れになっても、お前、絶対そういうこと気にするだろうと思ってな。
恥ずかしかったけど、気持ち的にはそれどころじゃなかったんだよ。
なんとしてもお前のものになりたいって、どこかで失敗したら全部終わりだったから……な。
(主「ありがとう」)
ふふ……私こそ、選んでくれて、ありがとう。