プロローグ
☆プロローグ
おはようございます。
部屋にいらっしゃいますでしょう。
ここを開けてください。
失礼します。
何の用件で来たか、お分かりでしょう?
私は警視庁の射精管理部、性処理課所属の者です。
あなたに射精義務違反があったので、参りました。
知っての通り、20歳以上60歳以下の健全な男性には、一週間に一度の射精義務があります。
少子化対策として、法律で制定されたことを、あなたもご存知でしょう。
男性機能は、使わなければ使わないほど、徐々に衰えてしまいますから。
射精報告のやり方はご存知ですね? 中に射精したコンドーム、もしくは自慰行為に使用したティッシュを、最寄りの射精管理センターに郵送するだけです。
インターネットを使える環境であれば、配布されたIDを使ってログインし、射精したと分かるような写真を撮り、サーバーにアップロードしていただくだけでも構いません。
なのにあなたは、その報告を、三回も怠りました。一回二回なら何かの手違いと解釈し、警告のみで済みますが、三回となると、悪意による過失があったと認めざるを得ません。
何か申し開きはありますか?
…………。
なるほど。つまり、仕事が忙しすぎて、自慰行為をする時間も体力もなかった、ということですね。
わかりました。では、後ほど社名をご連絡ください。
自慰行為すらできないほどの激務を課したあなたの会社は、明確な射精妨害となります。後ほど、監査が入ることでしょう。
しかし、残念ながらそれは、〝やむを得ない理由〟には該当しません。
ここで言う〝理由〟とは、例えば病気や怪我といった、物理的に不可能な場合を指します。もちろん、個々人の心理的・メンタル的な理由も考慮はされますが……
あなたの場合は、いずれにも該当しません。
よって、射精義務違反の罰則を受けていただくことになります。
つまり……
あなたには本日から五日間、休みを取っていただき……
恋人がいれば、恋人の手によって。
いないのであれば、性処理課の射精担当官……つまり私の手によって、強制的に射精をしていただきます。
本来、射精とは、男性に与えられた極上の快楽です。
それを担当官によって思い出していただき、今後は射精を自ら進んで行うようにしてもらう、というのが、この罰則の意義です。
罰則による休暇は強制です。
そのため、この休暇によって、あなたが務めている会社からの人事評価が悪くなることはありません。万が一、待遇が悪くなった場合、すぐに私どもか射精管理センターへご相談ください。
もっとも……あなたの会社の業務内容は、すぐ是正されることになるかと思いますが。
あなたに恋人はいないようですから、私が射精させることとなります。
ただ、私はあくまで、担当官としてあなたに接します。恋人に対するような甘い雰囲気はなく、事務的・義務的な射精となりますが、それはご容赦ください。
説明は以上です。
何か他に質問はありますか?
はい。どうぞ。
…………。
ああ。なるほど。
〝強制的な射精〟、という言い方だと、確かに怖い印象がありますね。
ただ、この罰則期間中は、二十四時間ひたすら射精を強制される、というようなことはありません。
一日一回以上……つまり、五日で計五回以上射精していただくのが、基本的なノルマです。
また、担当官による射精は、事務的なものにはなりますが、痛いことや苦しいことはしないとお約束します。
男性に、純粋な射精の快楽を思い出していただく、というのが、この罰則の意義ですので。
もし、射精担当官として、私が合わないと感じた場合は、ほかの担当官に変わってもらうこともできます。
遠慮なく申し付けてください。
以上です。その他に、何か質問は?
いいでしょう。
では、早速、罰則を受けていただきます。
私がしっかり射精させて差し上げますので、そのつもりで。