トラック1 幼馴染は見習いメイド
失礼します坊っちゃま。朝でございますよ。
も〜……じゃない! こほん、あらあら、
まだお眠りになっているのですね。
ほら、起きてくださいませ。朝ごはん……じゃない、えっと、朝食もも
う出来てますよ?。
おはようございます、坊っちゃま。旦那様とお母さ……メイド長も
お待ちしておりますよ。
え? 話し方……? もしかして気になられますか……?
うーん……しょうがないなぁ。二人きりの時だけだよ? 君は領主様の
息子で、わたしはただのメイドの娘なんだから、幼馴染とはいえ本当なら
こんな馴れ馴れしくなんてしたらダメなんだからね!
む〜、確かに小さい時は普通に
お話ししてたけど……。あの頃は身分とか全然知らなかったもん。
でも今はちゃんと分かったからね! お母さんみたいな立派なメイドさん
になる為に、わたしも身分を気にしなきゃ!
へっ……? 君のお父さんは気にしまくていいって言ってたの?
ええ〜!? そうだったの!?
う〜ん、でもそうだよね。君のお父さん、ここの領主様なのに、
全然人の事を身分で区別したりしないもんね……。
お母さんから聞いただけなんだけど、普通の貴族の人は、自分より
も身分の低い人には何をしてもいいって思ってる人が多いんだって。立場
の低いメイドさんとかは、本人が嫌がってるのにむりやり愛人……?
にさせられちゃったりするんだって。
あっ、でも愛人ってたぶん恋人の事だよね。わたし、君の愛人にしても
らえるならすごく嬉しいな。だって身分が違ってもずっと一緒に居られる
もん!
まあ……君が嫌なら別に……いいんだけど……。
わっ! ちょっと……! 急に手を握ってきて……どうしたの……?
も、もしかして……君もわたしの事……好き……とか……?
え、えぇっ!? ほ、本当にそうなのっ!?
君も……そうだったんだ……。
で、でも、君は良いの? わたしただのメイドの娘だよ……? 君みたい
に身分の高い人は、隣の街の領主様の娘とか、そういう人と付き合うのが
普通なんだよ?
わたしが……良いの? そ、そうなんだ……嬉しい……!
その、それじゃあ……改めて言うね……? わたしも……君の事が好き
……♡
ふふ♪ わたしたち、両思いだね♡
あ、でもあくまでわたしたちの関係は、まだ領主の息子とメイドの娘だ
からね! こうして恋人同士でいるのは二人きりの時だけだよ?
うん♪ いいお返事だね♪ それじゃあ、これからもよろしくね♡