トラック2 悲報
しっ、しつれいしますっ!! 大変、大変だよ!
えっと……その、落ち着いて聞いてねっ!? 隣の街にお出かけになっ
た君のお父さん、帰りに乗ってた馬車が崖から落ちて重症なんだって!
たったいまお知らせが来たの!
お、落ち着いてっ! その、重症だけど、直ぐに病院に入れられたおか
げで命に問題はないって!
手伝ってあげるから、直ぐに着替えて! いま外に馬車を用意してくれ
てるから、用意が終わったら直ぐに乗れるようにしといてってお母さん
が!
うん! 急ごっ! みんなでお見舞いに行って、元気を分けてあげよう
よ!
まだ来ないね、代理の領主様……みんな迎えに行ったっきり帰ってこな
いし……。
あの……さ、代理の人が来たらわたしが案内するから、君はお父さんの
側に居ても大丈夫だよ……?
一緒に待っててくれるの……? うん、それは嬉しいけど……。
うん……君のお父さんのことは、残念だったね……。死んじゃうことは
なくっても、ずっと寝たっきりで目覚めないなんて……。
わたしも、すごくお世話になって、優しくしてもらってたから……悲し
いな……。
……うん、そうだよね。いつか君のお父さんが目覚めた時、今まで通り
に出来るように、このお家を守ってかないとだよね……。大したことはで
きないかもしれないけど、わたしもお手伝いするから!
今、何もできないのは仕方ないよっ! わたしたち、まだまだ
子供だもん! 代理の大人の人に領主様をやってもらうのは間違ってない
よ!
だ、だからそんなに落ち込むことないよ!
え〜と、その、あ、そうだっ! 領主様の代理をしてくれる人って
どんな人なの? わたし、代理の人が来るっていうのは聞いたけど、
どんな人が来るのかは知らされてなくて……。
へぇ〜、君の親戚の人なんだ。優しいおじさんかぁー。ちょっと身構え
てたけど、優しい人って聞いて少し安心した……かな?
でも、やっぱりちょっと遅いね……。なにかあったのかな……。やっぱ
り、君は休んでて大丈夫だよ? 代理の人が来たら一番に君のとこに案内
するから……。
うん! 休んでて! わたしも少しは役に立ちたいもん! いってらっし
ゃい〜。