先生にだけ、君の弱いところ見せて?
いいよー、入ってー。
いらっしゃい、副部長さん。お疲れだねー。
今日は、君が最後の生徒かな。希望調査の紙は忘れてない?
よろしい。
それじゃあ始めよっか。
君の志望は医学部だったよね…ってあれ、教育学部志望、って
どしたの急に? 成績のことなら心配いらないし、お医者さんになりたいんだって…
…言いづらい、のかな? 大丈夫、秘密は守るし、先生ちゃんと受け止めるよ。
えっ、私?私に…憧れて?
くふっ、あはははっ。そうか私か。なぁんだー、かわいいとこあんじゃーーん!
でも嬉しいな、そんなこと言ってくれて。
部活の時とか結構厳しいこと言ったりもしてるから、嫌われててもしょうがないって思ってたもん。
でもどうしちゃったの?今までそんなこと一度も言ってなかったよね。親御さんには、もう相談したの?
ワケあり、って感じだね。
大丈夫だよ、何でも先生に言ってみ?
その為の進路相談なんだしね。 それに、先生と君の仲じゃない。
うん、うん…そっか、そうなんだ。
ご両親はずっと医学部にって。
それで喧嘩しちゃって…か。
話してくれてありがとうね。
でもね…まだ悩んでること他にもあるんじゃない?
ふふっ、分かるよ。
顔に書いてあるもん。すっごく寂しかったって。
勿論、言いたくないことは言わなくてもいいけど…
まだ吐き出したいことがあるんだったら、全部先生に聞かせて?
…うん…うん…あー…大変だったね…うん…
って…泣い、てる?
わわっごめん!
落ち着いて。そうだよね、言いづらいこともあるよね。
ゆっくりでいいの。無理して言うことは全然ないんだよ。
…違う?
先生が優しくて?
そっか…泣くところが欲しかったんだ。
大丈夫。今ここには君と先生しかいないから、
わぁーーっていっぱい泣いていいんだよ。
先生ね、ずっと心配だったの。
部活では皆を纏めあげて、忙しいのに勉強も一切手を抜かなくて。
それでいつも皆の前では明るく振る舞ってるけど、時々凄く辛そうな顔するでしょ。
だから本当は無理してるんじゃないかな、一人ぼっちで怖いよ、苦しいよって、
気持ちを抱え込んじゃってないかなって思ってたの。
やっぱりそうだったんだね。
ううん、だめなことなんかじゃないよ。
むしろ、こうやってその気持ちを先生に打ち明けてくれて嬉しかった。
…辛くて誰にも言えないときは、誰かに抱きしめてもらいたいよね。
今日だけは、先生がお母さんになって、君を抱きしめてあげる。
いいよ、おいで。
ふふっ、素直な子。
ん、ぎゅーーーっ…。
よしよし、よーしよし。
怖かったね、辛かったね。
でもそれを誰かに伝えるのも怖くて、ずーっと一人ぼっちだったんだよね。
よしよし、よーしよし。
偉いよ、君はすっごく偉い。
自分の中の苦しい気持ちと向き合って、それを認めて打ち明けるのって、
本当に難しいことだもん。
先生はちゃあんと知ってるよ。
君がいつも部活が終わった後も一人で練習してるのも、
同じパートの後輩をどうやって纏めていくかで悩んでるのも、
それでこの前後輩と揉めちゃったのも。
それだけでも大変なのに、朝はやくから学校に来て勉強してるのも知ってるの。
だからね、自分のことをダメな子なんだなんて思わないで。
自分で自分を否定しないで。
それって、一番自分のことを傷つけることになっちゃうから。
先生と約束して欲しいな。
もしこれから辛いことがあったら、どんな小さなことでも先生に教えて欲しいの。
ね、出来るかな?
ふふっ、君はやっぱりいい子だな、うん。
先生の自慢の生徒だよ、よしよし。
ん、どしたの?もっと先生に甘えたい?
そっかそっか。本当はこうやって誰かに甘えたかったんだ。
いいよ、そうやって自分の気持ちに正直になる練習、していこうね。
それで、どんな事して欲しいの?
んふふ、そっか。君、ほっぺたすりすりするの好きなんだ。
もう、赤ちゃんみたいなんだから。
先生のほっぺたにすりすりしたいの?いいよ。
すーりすり。すーりすり。すーりすり。すーりすり。
いいんだよ、先生にならどれだけ甘えてもいいの。
家族にも、後輩にも先輩にも、友達にも隠さなきゃいけないもの。
君の一番弱くて、情けなくて、恥ずかしいとこ。
どんなに見ても、先生は君のことぜーったいに嫌いにならないよ。
え、なんでか?
ふふっ、そんなの簡単じゃん。
君は私の生徒だもん。
君のことも、他の皆も。私、自分の生徒の事はみーんな好きなの。
ほんとだよ?
だってそうじゃなかったら、こんな大変な仕事、絶対やってないもん。
えっ…、嫌?
皆じゃなくて自分のことだけ見てて欲しい…先生が…好き?
そっか、ありがとうね、勇気出して言ってくれて。
でもね、ごめんなさい。君と私はあくまで先生と生徒だし、今は君にとっても大切な時期だから…。
うーん、そうだよね。
そんなこと当然わかってて、それでも好きなんだもんね。
じゃあ、代わりに何か一つだけ君のお願い聞いてあげる。
それじゃ駄目?
それでいい?
じゃあ何が欲しい?
…え、おっぱい?
おっぱいが吸いたい?
流石にそれはちょっと…、あーもう、そんな悲しそうな顔しない、はぁ…。
…ちょちょ、ちょっとタンマ。えーと…
じゃあさ、代わり、になるかは分からないけど、私の指。
おっぱいだと思って吸ってみるっていうので…どう?
すっごく目をキラキラさせちゃって…はは、もう丸っきり赤ちゃんだ。
じゃあ、ほら。
先生の指、好きなだけちゅぱちゅぱしてごらん。
はい、せーの…あーん。
うわ、がっつきすぎ…(笑)。
ううん、ごめんねー、いいんだよー。ほら、先生の指に集中して。
先生の指のことは、おっぱいだと思って、いっぱいちゅぱちゅぱしようね。
ちゅぱちゅぱ。ちゅーぱ、ちゅぱ。ちゅーぱ、ちゅぱ。
ちゅっちゅがじょーじゅ、ちゅっちゅがじょーじゅ。
凄いでちゅねー、とってもじょーじゅにちゅっちゅ出来てまちゅよ。
あはっ、体ビクビクしちゃってる。
そうだよね、寂しがりの君は赤ちゃん言葉で優しく囁かれると頭トロトロになっちゃうんだもんね。
可愛いよ。
ほら、指を吸うのが止まってるぞ?
よーしよし、その調子。
背中もさすってあげるね。
大丈夫、大丈夫。先生がついてるよ。
大丈夫、大丈夫。怖くなーい、怖くなーい。
ってあれ、もうこんな時間。
はい、じゃあ今日の進路指導は、これでおしまい。
名残惜しいのは分かるけど、ほら、涙ももう収まったでしょ?
うん、だから今日はこれで…
え、何?最後にお別れのキスして欲しい?
うーん、キスか…、キス、口付け、ね…
よし!じゃあ目、閉じて?
よろしい。じゃ、いくよ…
ちゅっ…
ふふっ、びっくりした?
だよね、瞼にキスは驚くよね。
今の流れだと唇かほっぺたにするのかと思うもんね。
このキスはおまじない。
君が先生の事をいつでも思い出せるようにね。
辛いことがあったら、目を閉じてこのキスの事思い出してみて。
どう…かな?
うん、ありがとう。
先生のおまじない、忘れないでね。
うーん、じゃあこの面談の続きは明日のお昼休みってことで…ハハハハ…うん、バイバイ、気をつけてね。