05 教会の外にて
(教会の外、シス??は夜風に当たりながら考え事をしていた)
はぁ……勇者様、明日の朝にはまた旅立ってしまわれるのでしょうね……。
せっかくお会いできたのに……はぁ。
うっ……胸が痛い……あぁ、勇者様……。
(教会の扉を開け、勇者が出てくる)
……あ、勇者様。
どうされたのですか、眠れないのですか?
勇者様にも、そのような時があるのですね。
……あ、あの。
明日の朝にはもう、旅立ってしまわれるのですか?
(勇者:プレイヤ?次第だが、おそらくそうだな)
プレイヤ?次第、ですか……。
でもあのお方の事ですから、やはり……。
(シス??は何かを言いかける)
ゆ、勇者様……!
……い、いえ、なんでもありません……。
……あの、なぜ勇者様はわたくしのようなシス??にも優しくしてくださるのですか?
わたくしは、見ての通り子供のような容姿です……。
だからみんな、わたくしのことを子供扱いするんです。
そんな身体じゃ、勇者様が来てもお相手できないな、なんて……。
なのに勇者様はわたくしと交わって下さいました……とても、とても嬉しかったです。
仮に勇者様がこのような村を訪れることがあったとしても、わたくしではお役に立てないと思っておりましたから……。
嫌、ではないのですか?
わたくしのような小さいシス??でも。
(勇者:嫌じゃない。君は可愛いからね、一目惚れしたんだ)
か、か、可愛い……ですか……!?
それに、一目惚れ、なんて……!?
そ、そんな……冗談をおっしゃらないでください!
……ほ、?気、なんですか?
…………。
嬉しい、です……。
あの、勇者様……。
わ、わたくしも、その……勇者様のことが……。
(草むらが揺れる。そして飛び出す魔物)
はっ……!?
ま、魔物……!?
村の中に現れるなんて滅多にないのに……!!
ゆ、勇者様、ここはわたくしが!!
(シス??の前に歩み出る勇者。そして拳一つで魔物を?す)
えっ……勇者、さま……?
ま、まさか、あの魔物を武器なしで……!?
な、なんてお強い……これが勇者様のお力……。
そのお力で、世界を支配しようとする魔の手を、退けようとしていらっしゃるのですね。
(シス??は、自分が勇者を独り占めしようと思うのは良くないことだと悟る)
……あの、勇者様。
わたくし、勘違いをしておりました。
勇者様を独り占めにしてしまいたい……このままずっとこの村にいてほしいと……。
プレイヤ?様がもう二度とこのゲ??を起動することなく、このままの世界で、毎日勇者様と一緒に入れたらいいのに、と……。
そんなこと、あってはならないのに、勇者様にお会いしたときから、心のどこかでそのような考えが潜んでいました……。
でも、気づきました。
私のような一人のシス??が勇者様を独り占めにしたいなど、おこがましいことだと……。
勇者様。
わたくしはこの村で、勇者様が世界を?うその日を待っております。
いつまでも、待っております。
ですから……もし、その日が来たら……いつかまた、この教会を訪れてはいただけないでしょうか……。
(もちろん、と答える勇者)
(シス??は嬉しくて、涙がこみ上げてくる)
あ、ありがとうございます……ゆ、勇者様……必ず……必ず生きて帰ってくださいね……。
約束、ですよ……。
ずっと、ずっと待っていますから。