Track 5

5.約束

......ど、どうも。うぅ、う、昨日の僕、思い出すだけで脳ミソぶちまけそうです。 柄にもないどころじゃない。なんというかその、ひゅぅうッ...... 偉そうなことばっかり言ってごめんなしゃい......。 いやぁそのぉッ、分かってます、分かってるんですけど、でもやっぱり、 謝っちゃいますよぉ。僕の本能が謝罪を絞り出してくるんですぅう。 んもぉお、無理をしすぎました。 おや、貴方も随分とアレですね。アレ。ああ、肝心なときに言葉が出ない僕。 変わってんだか変わってないんだか。 あ、そんな、貴方まで謝らなくていいんですよ。元気出して。ふぁいとっ♪ 昨日をなぞっちゃうようなこと言いますけど、 僕が落ち込んだときは、貴方に支えられてます。 貴方が落ち込んだりしたとき、そこは僕の出番ですっ。 ほらよく学校で習いませんでした?人っていう字は、二人が支え合って、 みたいなの。あれですよあれ。 爬虫類説とか色々ありましたけど、やっぱり僕はひとですから。タブン。 精一杯、支えさせていただきますッ。 あっ、僕じゃ頼りないですか?ウムム......口で言うより行動で示そう。 ふっふーん!ならばッ、ひとつだけお願いを聞いて差し上げましょう! 本日は特別デーです。僕が貴方の願望を叶えちゃうデーです。 口から火ぃ吹けとか、手から電撃出せとか、何でもいいですかほんと。 貴方の為なら、僕に不可能はございませぬ。何だってやってやりますよォ。 ..................ほあ。 今、なんと。 え。ちょっと、え。ちょっと、ちょっとちょっと。 ちょっと待って今のがもし僕の聞き間違いだったら、未来永劫、 赤林檎として生きていかなきゃいけません。お顔真っ赤っか。なので。 もう一度、お願いいたします。はい。 ......はい。はい。ええと、あの、分析に時間を要します。ので。 えー、えーつまり。えー。ケッコン、ですね。血の跡じゃなくて、それは、 結ぶ、婚姻のほうですよね。そうですよね。 え、あの、それ、って、ハネムーンですか。ハチブーンじゃなくて、 ハネムーンのやつですか。 ぁ、あ、あ。 あぁッぁぁ、ぁ、あ、ど、どうしよ、まさかそんナ、ちょっと、あの、 つまり、きゅ、求婚、ですか。ぷろぽーず、ですか。それは。 ぁあぁあどうしよッどうしよッどうしよおッ!ぁあっぁ、うれしっ、 うれしいけど、はずかし、こわいっ、しんどいっ、しあわせっ、つらいっ、 ぅゲホッゲホッ!ガハッ、けほっ、けほっ......うぅうぅッ、 超、超超超超×無限大ッ、うれしい、よ、それは、うんッ......。 え、ぁ、ま、まって、お返事する、するから、お返事させて、 僕も、僕、も、貴方と......けっけけっけっけ、結婚、したい。 したいッ、したいッ、するッ!しますッ!しますぅッ! ふぁぁああぁ、なに、もう、これ夢だったらどーする?いや、なんか、 そういう夢、何度も見たような気がする。でもこれは、現実、現実なの。 ......いぎぎッ、ほっぺたいったィッ!うわぁ現実だこれ現実だリアルだ。 な、んか、まだ、信じられない感が強すぎますけど、......あ、貴方......、 顔、真っ赤ですよ。完全に赤林檎だ......、ってもぉおおッ。 なんで言った側がそんなに照れてんですかッ。可愛いなぁもおおッ! いつも言われっぱなしだからッ、今日は言ってやりますッ。可愛いッ可愛いッ。 好きすぎて愛しすぎて可愛すぎるんですぅ貴方はッ!うがーッ! ふーッ、ふーッ......。あぁヤバ、胸がドキドキ、ドキがムネムネ、はぁ、はぁ、 心臓が鍛えられる、ふぅッ、ふぅッ、今こそ......ドォル・クゥル。 スゥゥ......ハァあーーーーーー......。 ......貴方の願いが、貴方の本気なら、僕もまったく同じです。 貴方と出会った頃、叶わない夢だって思いながら、こっそり......、 胸の奥にしまってた願いでした。 本人も開けられないくらい、たくさん鍵掛けたはずなのに、 貴方のたった一言で、それ、開けられちゃいましたね......。えへへへ。 ......はい♪とっても幸せな気持ちです。貴方は......?......そっか♪ うん。死にたいとかいう感情は、いつの間にか消えました。 んんん~~~~~~~~、ぷはぁッ! なんだか、長い長い時間を......この瞬間の為に生きてきたような気がするなぁ。 ンン、まーた大げさなこと言ってますかね、僕。あはは。 ......なんか、不思議なんです。 幸せなのに、嬉しいのに、ちょっとだけ......寂しい気持ちもあったりして。 ......えっ、貴方もですか?わあ、ほんと不思議ですね。 ん、そう。この通話が終わったら、貴方と離れ離れになってしまいそうな、 そんな変な感じがする。ふふっ、いつも同じことしてるのにね。 大丈夫です。僕はここにいます。ここにいて、貴方のそばにもいるんです。 いつまでだって、居続けるんですよ。 貴方も、そうしてください。いつまでも、僕のそばに居続けてください。 ドォルと、縫子との......永遠の約束、ですっ♪