トラック06 『初めての発情期?(前編)』
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ふっふっふ、一週間の長きに渡る詰め込み学習が成果を上げました。
中間テスト全教科の平均点超え! こんな偉業を成し遂げてしまうとは……。
さすが私、やればできる子なのです。
学年順位も下から数えた方が早い私が生まれ変わってしまいました……。
いつも小テストでは見るも無残な点数しか取ってこなかったので、
先生もこの結果を見れば驚くはず。
さっそくテストの結果を先生に見せに行きましょうー。
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こんにちはー。保健室の先生ー、急患ですー。
お腹ペコペコでお昼休みを迎えた白猫 愛里(はくびょう あいり)のご到着ですよー。
はい。今日も真面目に授業に出席したので、恒例のお弁当をお恵みくださいー。
……っとと、その前にー。先生に見せたいものがあるんです。
じゃじゃーん。中間テストの答案が返ってきたのですよ。
どうぞどうぞ見て下さい。
どうですか?
どの教科を見ても素晴らしい点数の数々ではありませんか~?
そうでしょうそうでしょう、
愛里が赤点じゃないなんて凄いぞー……ってそうじゃないですよ先生!
今回は赤点回避なんてもんじゃないのです、
実は全教科がー……平均点を超えているのです!
サボり魔である私をあの手この手で学校へ駆り出した先生のお手柄ですね、これは~。
日頃の感謝も兼ねて、お願い事を一つだけ聞いてあげても良いですよ~♪
おや、良い点数を取ったからって逆に何かお願いされると思ったんですか?
何を隠そう、私は恩には報いるタイプの物の怪ですからー。
さあ何でも聞いてあげますよー?
先生が言うのなら本当に、な・ん・で・も、聞いてあげますよー。
ふむふむ、今後は物の怪の禁術を使うのは止めなさい?
なんだそんなことならお安い御用……って、禁術を使ったことバレてるー!?
そんな……私の「記憶化かし(きおくばかし)の術」は完璧だったはずなのに……。
え? 薄ぼんやりと記憶は残ってる?
ってことは、私が勘違いで先生にえっちなことをしたことまでバレてるってことでは!?
あぁぁあぁぁー……。記憶残っちゃってましたかー……。
物の怪の禁術を使ったなんて知れ渡れば、
両親がどんなに怒るか想像するのも怖いぃぃぃ~……。
な、何ですか? 黙っておいてもいいけど要求が一つある?
分かりましたよ先生、私も子供じゃないですからね。
黙っておく代わりに肉体関係を要求するなんて先生も……。
え、違う? 今後学校をサボったら、即刻両親に禁術のことを言いつけるー!?
せ、先生の鬼、悪魔ー!
そんな要求を突き付けられたら、もう迂闊にサボれないじゃないですかー!
いや、まあ、物の怪の禁術を人間に使ったー……
なんてバレることを考えれば、お安いくらいですけどもー……。
……あ、あと私が先生を無理やり襲ったわけですから、普通に犯罪ですしね……。
ご、ごめんなさい……。イヤ……ですよね。
物の怪の猫又に、金縛りの術を使われて身動き取れないまま襲われちゃうなんて……。
先生はサボり魔でダメダメな私にも優しいから、
その……私、あんなことしても許されるかもなんて思ってましたが……。
やっぱり許されることじゃないですよね……。
こうして禁術が完全に効かなかったのは、バチが当たったのかもしれませんね。
先生……?
怒ってないんですか? 私、あんなことしたんですよ……?
……え、私のことが心配?
「誰にでもああいうことをしてるんじゃないか」、ですか?
いやいや、あんなえっちなこと、誰にでもしてるわけないですし!
あの時は先生が他の人を好きなのかもって勘違いしてて、
それでちょっと暴走しちゃったわけで……。
先生じゃなければ、あんなことしませんっ。
……先生がサボり魔の私を気に掛けてくれたから、
こんな私でも授業をサボらないようになったわけですし。
最近はクラスに溶け込めてきたみたいで、
ちょっとした雑談なんかも出来るようになりましたよ、えっへん。
だからですね、私は先生が好き……です。
なので誰にでもえっちなんてしてないので、その点だけは安心してください。
きっと私が先生にあんなことをしちゃったのは、
生まれて初めての発情期が来てしまったからなのかもしれません!
だって先生も私のことが好きなら、保健室のベッドでえっちなことしちゃっても良いかもー……
なんて考えが浮かんじゃってますし……。
せ、先生……顔赤いですよー? 私も赤くなっちゃってるかもしれませんが……。
金縛りの術で先生にえっちなことした時もそうでしたが、
もしかして先生まんざらではなかったり……?
もしそうなら……一回だけえっちしませんか?
ちゃんとえっちなことして気持ち良くなってイかないと
発情期の衝動は収まらないって、妹の恋(れん)ちゃんも言ってました……。
こんなこと先生にしか頼めないので……。
先生はイヤじゃ……ないみたいですね? 私は……もちろんイヤじゃないですよー。
えへへ、良かった……。恥ずかしいですけど、先生にシてもらえるのなら、私……嬉しいので……。
じゃあ先生、お昼休みが終わらないうちに……お願いします……。