雨の日の待ち合わせ
雨の日の、駅改札。
主人公、紫との待ち合わせ場所で待っている。
いつも紫が先についているので『今日こそは自分が先に来て待っていたい』と考えていた。
紫、慌ててそこにやってくる。
Se:走る足音が近づいてくる音
「【息を切らして。台詞終わりまで苦しそうに】ごめんなさい!
お待たせ……しましたよね?
まさか、こんなに早く来ていると思わなくて……!
私も……だいぶ早く来たつもりだったんですけど……」
主人公、先に来て待っていた理由を告げる。
「えっ……『いつも私の方が早くついているから、今日は自分が』……って?
そうだったんですか……
【少しためらいがちに】あの……ごめんなさい。
【感情を抑えきれずに】その……嬉しいです。
私のこと、そんな風に思って、待ってくれていたんですね。
【笑って】だってまだ、待ち合わせの時間より、一時間も早いですよ?
『紫だってかなり早い?』
……それは、そうですけど!
私は……待っているのが好きなので。
あなたも?
そうですか……なら、嬉しいです。
ふふ。今日はお越しいただき、本当にありがとうございます。
一日、よろしくお願いしますね。
行きましょうか!
駅から家までは少し歩きます。
【主人公に手を差し出され】はい。手を繋ぎましょう。
……ふふ、暖かい。
あなたの手は、いつも暖かいですね。
雨、急に降ってきましたね。
濡れなかったみたいで、良かったです」
今日は紫の両親が不在なため、ひとりで過ごす紫を心配した主人公が泊まりに来た。
紫とは交際して 1 年程度だが、家に行くのはこれが初めて。
主人公は紫の自宅の場所を知らないので、迎えに来てもらっている。
Se:雨の音(激しい振り)
Se:カチャ、と傘を開く音
<可能であれば、ここから自宅まで「傘の中で会話している」と言うのが伝わる、少しこもった声で。雨の音も小さく流す>
「【主人公に傘を持ってもらい】あ……傘、ありがとうございます。
ごめんなさい……てっきりお持ちだと思って、自分の分しか持ってきていなくて……
【しみじみとした調子で】でも嬉しい……相合傘、ですね。
改めまして……
今日は本当に、わざわざありがとうございます。
家にひとりになる、私を心配してくださって。
父と母には……今日『昔から仲のいいアカネちゃんに泊まりに来てもらう』って言っているんですよ。
ふふ……
【◆】私……家族に嘘をつくのは初めてです。
【◆『じゃあ、今日は自分をアカネちゃんって呼んでもいいよ』と冗談を言われ。なぜか
慌てたように】ええっ?
……『じゃあ、今日はアカネちゃんって呼んでもいいよ』なんて、そんな。
【◆言い聞かせるように】そんなはずないじゃないですか。大丈夫ですよ。彼女とあなたは……違いますから。
それより……傘、小さいですよね……
肩、濡れてしまってる。
家についたら、すぐに着替えて、お風呂に入ってくださいね。
あ。あれです。
あの、日本家屋が、うちです。
大きい?
とんでもないです。
【◆謙遜しつつ、どこか父を侮蔑するような冷たい雰囲気で】父と言うよりも……祖父の持ち物ですから」
<ここまで傘の中>
Se:家の鍵を開ける音
Se:ドアが開く音
Se:ドアが閉じる音
「ふう……結構濡れちゃいましたね。
大丈夫ですか?
【『紫こそ』と言われ】私は平気ですよ。
……あなたが、濡れないようにしてくれていたから。
いつも、本当に優しいですよね……
ありがとうございます。
【『それじゃあ、お邪魔します』と言われ】はい、どうぞ。
今日はこれからずっと……ふたりきりですね。
【軽く髪の毛にキスされ】あっ……ふふ。
【唇にキスされ】ちゅっ。もう……早く着替えなきゃ、だめですよ。
身体、冷えてしまいますよ。
階段上ってすぐが私の部屋です。
まずは、そちらで準備してください。
お風呂はもう沸いているんです。保温してあります。
いらしてすぐに入られるかな……って思ったので」
主人公『紫も身体が冷えているだろうし、自分ではなく、紫が先にお風呂に入ってほしい』と伝える。
「【困ったように】えっ……そんな……
だめです。私は、濡れていませんし。
あなたの方が心配です。
【主人公、譲らない】そんな……困ってしまいます。
【『じゃあ、一緒に入る?』と言われ】えっ!?
一緒に……ですか?
【一見断りそうな声で】あ……はい……
あなたが嫌でなければ……
ぜひ、そうしたい、です。
ごめんなさい……実は、ちょっと、期待していたんです。
私。今日はあなたと一緒にお風呂に入りたい、です」