プロローグ
目を覚ましましたか。
あぁ。警戒しなくても大丈夫ですよ。安全な場所ですから。
はい。ここは、街の教会です。
窓からの景色に、見覚えがあるでしょう?
教会には寝室があるので、そこに寝てもらっていました。
さて。
ご自分がどうして教会にいるか、覚えていますか?
はい。あなたは、森に倒れていました。
それを、私と仲間たちが発見して、ここまで連れ帰ってきたんです。
では、なぜ倒れていたのかは、分かりますか?
ええ。分からないでしょうね。それも仕方ありません。
一つ、質問があります。
何か……いやらしい夢を見ていた記憶はありませんか?
この世のものとは思えない、極上の快楽を与えてくれるような夢。
単刀直入にいいましょう。
あなたは、サキュバスの呪いにかかってしまっています。
いやらしい夢を見た、というのは、その証拠です。
元々、私と教会の仲間たちは、国王から命じられて……サキュバスの討伐をするために、森を調査していました。
無事に討伐することはできましたが……サキュバスの住処(すみか)の近くに、あなたが倒れていることに気が付きました。
私たちが間に合わなかったせいで、あなたを巻き込んでしまった。
深く、お詫び申し上げます。
サキュバスの呪いは、少しずつ精神が摩耗していく呪いです。
残念ながら、かけた張本人がいなくなっても、体に呪いは残り続けます。
このままだとあなたは、一週間で死んでしまうでしょう。
少し体が気怠(けだる)くありませんか? それは、既に呪いが浸透し始めている証拠です。
ああ。慌てないで。安心してください。
命が助かる方法はあります。それも、確実な方法です。
それは……
あなたの男性器を刺激して……
何回も何回も射精させることで……
呪いを、体から吐き出すのです。
これが、確実かつ、唯一無二の方法です。
ですが、ただ単に射精させるのでは意味がありません。
サキュバスは、あなたの精神の深いところまで潜り込んで、呪いをかけています。
そのため、あなたの穢(けが)れた欲望……本来、秘匿(ひとく)されるべき淫猥な性癖を、全て晒していただいた上で、睾丸が空になるまで精液を出していただかなければなりません。
これを、教会では“聖なる処理”……略して“聖処理(せいしょり)”と呼んでいます。
そして、そのためのお手伝いを、私がさせていただきます。
私は教会のシスターではありますが、悪魔に対する対処法の訓練を受けた、“聖処理シスター”でもあります。
安心して、私に身をゆだねてください。
……混乱されているようですね。
それも無理ありません。
ですが、痛いことや苦しいことはありませんから、安心してください。
あなたにとっては、ただ、しばらく男性器を気持ちよくする日々が続くだけ、と考えていただいて結構です。
呪いが悪化したり、他の人に転移する可能性もありますので、外に出てもらうわけにはいきませんが……
食事も睡眠も十分に提供します。退屈なら本も持ってきましょう。
あなたの家族には、教会から連絡させていただきます。
説明は以上です。
よろしいですか?
……いえ、例えあなたが否認したところで、ここには居ていただくことになるのですが。
街の安全と、あなたの命のためです。ご了承ください。
はい?
あぁ。申し遅れました。
私の名前はアレット。
今後、あなたを担当することになる……聖処理シスターの、アレットです。
以後、お見知りおきを。
それでは。これから精一杯、聖処理を務めさせていただきますので。
どうぞ、よろしくお願いいたします。