二人は恋人(エピローグ)
うー。やばい。あー。恥ずかしい……
何か、勢いで凄いこといっぱい言ってたような気がするんだけど。
なんか……うん、なんていうか……
あ、うん。やっぱダメ。やめよう、これ。思い出すだけで心臓に良くないね、あはは。
うん。割と全部、忘れて欲しいかも。
あ、そうだ!
あ、いや、ごめん。言っておこうと思ってて、忘れてたことが一つあってさ。
君ね。まだあのお店の会員証、持ったままでしょ?
私、知ってるんだから。戸棚の普段開けない引き出しの左奥。あそこに隠してるでしょ。もう。自分の手で、さっぱりすっぱり捨てること。ていうか私、もう触りたくないし。あんなもの。
ね。分かった?
フフ♪
なーに? ひょっとして、私が隠し場所を知ってたことに驚いてるの?
ぷ、フフ、あはは!
……やれやれ、君もまだまだ修行が足りないなぁ。フフ♪
あのね。ちょっと考えたら分かると思うんだけどさ。
まず最初の時点でね?
君、本当にあの会員証、出しっぱなしにした記憶、あった?
ないでしょ?
フフッ。
まぁ、つまり、そういうことだよ。あはは♪
色々、考えたんだけどね。見なかったフリをすることもできたし、勝手に捨てて、君の反応を見てみるっていう意地悪な方法だってあった。っていうか、これがM性感じゃなくて、別のフェチのお店だったら、こんな風な挑戦は私もしなかったよ。絶対。
本当、よりにもよって、っていうかさ。アレを見つけたときの私のショックも想像してみて欲しいよね。あはは♪
でもさ。何か、良かったよね。はは、良かった、って一口に言うと妙な感じだけど。
私達がこうなったこと。こうなってしまったこと。
うん。凄く嬉しかった。
君が君で良かったし、私が私で、良かった。
それじゃ、本当にアレ、捨てといてよね。
今の君にとってアレは、もう必要ないもの。そうでしょ?
フフ♪
愛してるよ。
じゃあ、頼んだからね。