プロローグ
目を覚ましましたか。
ああ。落ち着いてください。ここは教会。安全な場所です。
私の名前を覚えていますか?
はい。そうです。
私はアレット。あなたの担当“聖処理シスター”です。
夢を見ていたようでしたので、勝手ながら、起こさせてもらいました。
念のため……その内容を伺っても?
やはり、いやらしい夢を見ていたのですね?
二度と現実に戻りたくないと思うほどの……極上の快楽を与えてくれる夢。
どうやら、恐れていた事態が起こってしまったようです。
あなたは以前、サキュバスの呪いにかかりました。
そのときは、“聖なる処理”……私の体を使って、呪いを精液と一緒に吐き出してもらう“聖処理”を行い、確かに浄化することができました。
しかし、一度呪いにかかってしまうと……どうしても、他のサキュバスの呪いにもかかりやすくなります。
実は最近、街で新たなサキュバスの個体が発見されました。
教会の人間が追っていますから、見つかるのは時間の問題でしょうが……
どうやらあなたは、そのサキュバスから改めて呪いを受けてしまったようですね。
体が衰弱する前に、一刻も早く、聖処理を行わなければなりません。
ああ、ご安心ください。
今回も、適切な処置を行えば、命の危険はありません。
私があなたの担当聖処理シスターとして、責任を持って解呪いたします。
ただ、かかるのが二回目ということは……
呪いは、あなたの心と体の根幹にまで、侵食してしまっているようです。
今回の呪いが進行すると、体が衰弱するだけでなく……最悪、精神がサキュバスに支配されてしまう恐れがあります。
そうなると、人間でありながら、命が尽きるまでサキュバスに奉仕するようになってしまうのです。
一度そうなってしまえば、あなたに呪いをかけたサキュバスが討伐されても意味はありません。他のサキュバスを探し出して、それに仕えるようになるでしょう。
そこで、自分はサキュバスのものではない……と、あなたの精神に楔を打ち込む必要があります。
つまり……
しばらく、私と……
疑似的な恋人になっていただきます。
心の中を、恋人への愛情で満たすことで……
サキュバスの精神汚染が侵食してくる余地を無くすのです。
その間、通常の聖処理も行います。
恋人関係になりつつ射精をしてもらうことで、体と心の解呪を、同時に行います。
これを教会は、“恋人聖処理”と呼んでいます。
はい? 何か質問でしょうか。
ええ。これは、あくまで疑似的な恋人関係。あなたの命を救うために必要なことですから。
男女の関係になっても、神は許してくださいます。
……はい? そういうことではなく?
ああ。私の好き嫌いの話ですか。
そもそもこれは、一般人であるあなたを巻き込んでしまった、教会の不手際の補填ですし……
あなたと私は、心も体も相性が悪くないようですから。
決して、嫌ではありませんよ。
それに……あなたも、ある程度は、私に好意を持ってくれているでしょう?
恋人聖処理をするのは問題ないと判断しました。
他に何か質問はありますか?
では……
ん……
んちゅ……んちゅ、んちゅ、ちゅう、ちゅ、れろ、れろ、れろ、んちゅ、んちゅ、ちゅう、ちゅっ、ちゅぅ、ちゅう……。
はぁ……。
短い間ですが。
これから、私とあなたは恋人です。
どうぞよろしくお願いいたします。