01 吸精の城 序章
01 吸精の城 序章
(魔物を討伐し、とらわれのお姫様を救いだした勇者とその仲間たち。
お祝いのパーティの真っ最中。
しかし、これはサキュバスが見せた幻覚であった…)
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シルフィーナ:
勇者様、勇者様。
どうしたのですか? ぼーっとされて。
え? い、今更どうしたのですか?
はい、私は、姫、ですよ♪
魔物に捕らわれていた、姫、シルフィーナにございます♪
ふふっ。
夢でも見ているかのようですか?
私だってそうです。
あれだけ長年私たちを苦しめてきた魔物が、
この城から、この世界から姿を消したなんて。
勇者様、目をつぶってください…
んっ…
ちゅっ。
私の唇の感触、頬に感じられましたね?
これは、夢なんかじゃないですよ…。
見てください。
皆の、幸せそうな表情…。
このようなパーティを開けるようになったのも、すべては勇者様のおかげ。
ふふっ。あれを見てください。
私の城のものたちが、さっそく勇者様のお連れにぞっこんのようで♪
サヤ:
戦士様、
戦士様の素晴らしい剣術、おみそれいたしました。
できれば、どのような訓練をされているか、教えていただければと…
メア:
僧侶さま♪
ほらほら、お酒、どうぞっ♪
いいじゃない、のんじゃおうよ~♪ おいしいよっ♪
えへへっ♪
マイア:
魔導士様…
魔導士様は本当になんでもご存じなのですね……。
あのォ、城の書庫に、古代の知識が書かれているという本がありまして。
是非解読いただければと…
ふふっ。
シルフィーナ:
もう…、あの子達ったら。あんなになれなれしくして。
後で厳しく言っておかないと。
でも…私が勇者様にべったりですから、強くは言えないですね……。
んっ…。
あの、勇者様…。
パーティを抜け出して、バルコニーへ、行きませんか?
私、ちょっと風に当たりたいです…
誰もいない、バルコニーで、一緒に外を眺めて…
いろんな話をしたい……
それで、その後は……♪
ちゅっ♪
さ、さ、皆が手品に釘付けになってる、今のうちに…
うふふっ…♪
01 吸精の城 序章 おわり