1.プロローグ ~炸裂~
1.
…もし。そこの旅の御方(おかた)。見るからにパーティーメンバーが欠けておられるように見えます。どうでしょう。ここで出会ったのもなにかのご縁。この私を、特別優秀なこの私をパーティーに加えてはいかがでしょうか?
…ふふっ。名前、ですか…。私の名前を知りたいですか?いいでしょう! よくぞ聞いてくださいました!! 我が名は“めぐりん”! アークウィザードを生業(なりわい)とし、最強の超級(ちょうきゅう)魔法(まほう)、“炸裂(さくれつ)魔法(まほう)”を操(あやつ)る、者(もの)…っ!
ふっ…決まりました…。いえ、なんでもありません。こちらの話です。で、いかがですか? こんな優秀な人材を放っておいていいのでしょうかいえよくありません!ありませんとも!! さぁ、今すぐにでも長期契約を交わそうじゃありませんか…っ! …なるほど。なかなか疑い深い方ですね。いいでしょう。さっそくフィールドへと駆け出し、私の実力を見せつけてあげようじゃありませんか!!
おぉ! さっそくジャイアントロールの群れが歩いていますよ! これはもうさっそく私の奥義、“炸裂魔法”を見せつける時が来たようですね! いいでしょう。では詠唱(えいしょう)に入るので、しばらくお待ちください。
『白より白く、光より明るき純白に、我が真価(しんか)の混交(こんこう)を望み給(たも)う。逢魔(おうま)の時(とき)来たれり、時空の境界に堕ちし世界の理(ことわり)の中より、衆生(しゅじょう)の英知(えいち)となりて現出(げんしゅつ)せよ! 回れ、回れ、回れ。我が力の奔流(ほんりゅう)に望むは崩落(ほうらく)なり。時の中へと消(き)え果(はて)る力なり。森羅万象のものすべてを飲み込む力となりて来たらん! これが人類史上最大の超級魔法!! これこそが、究極の奥義! 穿(うが)てっ! エグズプローーージョンッ!!!』
………はふぅ。最高、でぇす……。パタッ…。あ、すみません…。この超級魔法“エグズプロージョン”を使うと、魔力が回復するまでにかなりの時間を要します。すみませんが、宿までおんぶしていってください……。